ファストフード店のサブウェイといえば、だ円形のパンを使った野菜たっぷりのサンドイッチでおなじみです。サブウェイの主力商品であるサンドイッチを巡る裁判において、アイルランドの最高裁判所は「サブウェイのサンドイッチは甘すぎるため、『パン』に分類することはできない」との判決を下しました。

Sandwiches in Subway 'too sugary to meet legal definition of being bread' - Independent.ie

https://www.independent.ie/irish-news/courts/sandwiches-in-subway-too-sugary-to-meet-legal-definition-of-being-bread-39574778.html

Subway sandwiches do not meet legal definition of being BREAD, Ireland's Supreme Court rules | Daily Mail Online

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8790713/Subway-sandwiches-not-meet-legal-definition-BREAD-Irelands-Supreme-Court-rules.html

今回の判決が下されたサブウェイのサンドイッチを巡る裁判は、間接消費税として物品や食品、サービスなどに課される付加価値税に関するもの。日本の消費税も付加価値税に分類されており、アイルランドにあるサブウェイ店舗で販売されるサンドイッチにも、9.2%の付加価値税が加算されていました。

ところがアイルランドの付加価値税には、物品や食品、サービスに課される税率が0%になる「ゼロ税率」という仕組みがあります。これは、人々の日常生活に密接に関わる必需品を中心に付加価値税を免除するというもので、主食である「パン」もゼロ税率の対象のため付加価値税は0%となっているとのこと。

この点に目を付けたのが、アイルランドのサブウェイ店舗を運営するフランチャイズ企業・Bookfinders Ltdでした。Bookfinders Ltdは、「サブウェイのサンドイッチは『パン』であり、ゼロ税率の対象として付加価値税は0%であるべきだ」と主張し、付加価値税の還付を求めて2006年から裁判を続けてきたそうです。



そして裁判開始から14年の時を経て、アイルランドの最高裁判所はついに「サブウェイのサンドイッチはパンではない」との判決を下しました。この判決は裁判官の印象ではなく、サンドイッチの生地に含まれる「砂糖」の量が多すぎるという点から導き出されたものでした。

アイルランドの付加価値税法ではゼロ税率の対象となるパンの定義が決められており、ゼロ税率の対象となるパンは砂糖・脂肪・パン生地改良剤といった成分の重量が、小麦粉の重量の2%を超えてはならないとされています。これは主食であるパンと、個人的な嗜好品である焼き菓子を区別するために設けられた基準だったとのこと。

一方、サブウェイのサンドイッチに使われる生地は小麦粉重量の10%が砂糖だったと裁判官らは指摘。サブウェイのサンドイッチはゼロ税率の対象となるパンの定義から外れるとして、付加価値税の還付を求めたBookfinders Ltdの主張は認められないとの判決を下しました。

なお、最高裁判所のDonal O'Donnell裁判官はBookfinders Ltdの控訴を棄却したものの、その着眼点については「独創的」と評したとのことです。