過激派組織の所有する300以上の暗号資産アカウントを司法省が押収
アメリカ司法省が、イスラム原理主義組織ハマスの軍事部門・エゼディン・アル・カッサム旅団、スンニ派過激組織アルカイダ、同じくスンニ派過激組織で「イスラミック・ステート(IS)」を自称するISIL(イラク・レバントのイスラム国)が保有していた300件以上の暗号資産アカウントや現金、ウェブサイト4つ、Facebookページ4つを押収し、「サイバー資金調達作戦」を断念させたことを明らかにしました。
https://www.irs.gov/compliance/criminal-investigation/global-disruption-of-three-terror-finance-cyber-enabled-campaigns
Feds seize millions in Bitcoin from ISIS, al-Qaeda in 'largest ever' bust - Decrypt
https://decrypt.co/38633/feds-seize-millions-bitcoin-isis-al-qaeda-largest-ever-bust
本件は司法省、内国歳入庁、国土安全保障省、連邦捜査局(FBI)、ワシントン州検事局、国家安全保障部が共同で行ったものだとのこと。
アル・カッサム旅団は、テロ実施のための資金としてビットコインによる寄付を呼びかけていました。捜査チームは、旅団の口座との間で資金洗浄を行っていた150の暗号資産口座をすべて押収。また、寄付を行ったアメリカ在住者に対する捜査令状を取得し、捜査を行いました。
アルカイダは「慈善団体」を装い、インスタントメッセンジャーアプリ・Telegramなどのソーシャルプラットフォームを利用してマネーロンダリングを行っていました。潜入捜査官は慈善団体「Reminder for Syria」の管理者に接近、目的が地対空ミサイル購入のための資金調達で、最終的には「アメリカを破壊する」ことを目的としていることを聞き出しました。
ISILはコロナ禍に乗じ、FDA承認のN95マスクと称して未承認マスクの販売を行っていました。なお、N95マスクを大量に用意するのはそれほど簡単なことではないはずですが、「供給量は無制限」と称していたとのこと。
今回の動きで没収された資金の全部または一部は、本件が解決したのち、国家支援テロ被害者基金に充当される可能性があります。
なお、今回の件はコロンビア特別区で公開された没収訴状・刑事訴状によって明らかになったもので、あくまで司法省などによる「主張」にすぎず、法廷で有罪と証明されない限りは原則に従い「無罪」となるとのことです。