20日、都内で06年3月期連結決算を発表するヤフーの井上社長(撮影:吉川忠行)

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インターネット検索最大手ヤフー<4689>の井上雅博社長は20日、東京都中央区の東証で行った決算発表の席上、4月で創業10年を迎えた同社の「次の10年」について、◆SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)◆動画への対応◆携帯端末などパソコン以外でのインターネット利用◆地域─の4つのキーワードで方向性を示した。

 そのうえで、2006年4月に地域サービス事業部を立ち上げたのを例に、「今までのヤフーのサービスは全国サービスが多い。地域ごとに特色のあるサービス、人々の生活圏に属するようなサービスをしたい」と語った。

 ベストセラー「ウェブ進化論」(梅田望夫著・ちくま新書)で話題の「ウェブ2.0」と呼ばれるユーザー主導でネットサービスの質を高める新たな潮流について、井上社長は「利用者が作りあげていくメディアのアプリケーション(応用ソフト)のひとつ」との認識を示し、「ヤフーとしては、85ぐらいの全サービスを、SNSなどコンシューマ・ジェネレイテッド・メディア(ユーザ主導、作成によるコンテンツ)のサービスに持って行けるようにしたい」と語った。

 同日発表した06年3月期の連結決算によると、売上高が前期比47.5%増の1736億円、経常益が同32.5%の798億円、純利益は同28.9%増の470億円で、9期連続の増収増益となった。

 売上高が684億円と過去最高になったネット広告が奏功した。一方で、06年2月に発表したあおぞら銀行との提携解消で、6億円の特別損失を計上した。

 06年4−6月期の業績見通しは、前年同期は388億円だった売上高が500億−534億円になるとしている。井上社長は「米国と比べると、国民1人あたりの広告宣伝費が半分。全体で倍ぐらいに伸びる余地があるのではないか」と、今後の広告市場について展望を示した。【了】

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