最下位転落の広島、3連覇した“黄金期”との違いは…専門家「これが本当にカープかと」
今季初登板の野村は好投で「上々」、野口寿浩氏は「大きなプラス」と評価も打線は…
■阪神 3-3 広島(22日・甲子園)
広島は22日、甲子園での阪神戦に3-3で引き分けた。1点を追う9回に逆転しながら、その裏に抑えの菊池保がリードを守れず。中日が勝ったため、最下位に転落した。
ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、今季初登板初先発で6回1失点と好投した野村の“復活”を「(チームにとって)すごく大きなプラスです」と評価。一方で、リーグ3連覇を達成した2016〜18年の“黄金期”と比較し「これが本当にカープかと思ってしまう」とチーム状態の悪さを指摘した。
勝ちきれなかった。1点を追う9回、広島は阪神・大山の失策で同点に追いつくと、代打・會澤のタイムリーで逆転。しかし、その裏に登板した抑えの菊池保が2死二塁から近本に右翼への同点打を浴びた。延長10回はDJ・ジョンソンがピンチを迎えながら無失点に抑えたものの、9回はあと1死で勝利というところまで来ていただけに、もったいない一戦となった。
数少ない収穫は野村の好投だ。負傷で出遅れていた右腕は6回5安打1失点とゲームを作った。野口氏は「上々でしたね。テンポも良かったですし、コントロールも良かった。序盤はカウント球で甘いボールがありましたけど、回を追うごとになくなっていきました。いい意味で野村らしかった。良くも悪くも、ある程度は点を取られながらも要所は抑えていくというピッチャーですから。これをどれだけ継続していけるかだけだと思うので、次回登板に期待したいです」と称賛。広島は投手陣が厳しい状況だけに「野村が先発ローテで回ってくれればものすごく大きい。すごく大きなプラスです」と期待を寄せた。
一方で、最下位に転落したチームの状態の悪さについては首をかしげる。
3連覇を達成した“黄金期”に対戦相手として「一番イヤだった」のは…
「この日の(阪神先発の)ガルシアを相手に1点しか取れないというのは、ありえない。打つほうは“笛吹けど踊らず”という感じで、佐々岡監督もどうしようかという感じでしょうね。この試合でも5番以降をガラッと変えてみたりして、苦心していることが伝わってきます。現状で期待できるのは鈴木、堂林だけ。この試合では西川が打ったので、その堂林と鈴木の前にランナーが出ていましたが、今まではそれもなかなかありませんでした。
今年の広島の課題は色んなところにあります。先発が揃わない、リリーフが揃わない、打線が苦しい……。全てが良くない。3連覇したときのカープを知っているだけに、これが本当にカープかと思ってしまいます」
ヤクルトの1軍バッテリーコーチを務めていた2018年にその強い広島と対戦を重ねていた野口氏。当時、どこに強さを感じていたのだろうか。そして、今年のチームとの一番の違いはどこにあるのか……。
「チーム全体で徹底してこうしよう、チーム全員で相手ピッチャーを攻略しよう……広島との対戦では、そういうことを感じるのが一番イヤでしたね。いやらしく、しつこくそれをやられて、投げているピッチャーが我慢できずに失点を重ねる。さらに、バッテリーもすごくしっかりしていました。ただ、今年は1人1人の状態が悪すぎて『チーム全体で徹底してやっていこう』ということ自体ができていない。監督は代わりましたけど、チームの方針としてはそれほど変わっていないはずです。ただ、今は1人1人の状態が悪いので、指示を出してもそれができないように見えます」
野村の好投という光明もあった広島。ポジティブな材料を増やし、強さを取り戻すことはできるのか。(Full-Count編集部)