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観光支援事業「Go To トラベル」によって、生命や健康が害されるおそれがあるとして、栃木県在住の夫婦と都内在住の女性が差し止めをもとめた仮処分で、東京地裁は7月20日、申立てを却下した。

東京地裁(品川英基裁判長)は、「Go To トラベル」は、旅行代金の半分に相当する金額を旅行者に支援するから、「旅行が促進され、その結果として、国内の人の移動が活発になることは否定できない」と指摘した。

しかし、「Go To トラベル」が旅行を強制するものではなく、旅行業者も可能な限りの対策を講じていると考えられるなどとして、「現在の状況とくらべ、ただち生命や身体、健康という重大な保護法益が侵害される具体的な危険が生じるとは言えない」と判断した。

●原告団は即時抗告を申し立てる方針

3人は7月16日、新型コロナ感染が拡大傾向にある中、7月22日からはじまる「Go To トラベル」によって、生命や身体、健康に回復不可能な危険を与えるおそれがあるとして、「少なくとも現段階でおこなうことは時期尚早だ」として、東京地裁に差し止めを申し立てた。

国に(1)「Go To トラベル」の利用申請書の受付をおこなわないこと、(2)受け取った利用申請書に基づいた支払いをおこなわないこと、(3)ツーリズム産業共同事業体に(1)と(2)を遵守させること――をもとめていた。

却下を受けて、原告団は「GoToトラベル事業のもたらす人格的生存権の侵害についてきちんとご理解いただけなかったことは、大変遺憾に思います」とコメント。7月21日にも即時抗告を申し立てる方向で調整しているとしている。