日産アリア(画像: 日産自動車の発表資料より)

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 国産EVのフロントランナー日産は15日、21年中頃に発売する新型電気自動車(EV)「アリア」の、世界初公開をオンラインで行った。日産のEVとしては、初のクロスオーバーSUV(多目的スポーツ車)と形容される新型車で、搭載される2種類のバッテリーの容量と、2輪駆動(2WD)か4輪駆動(4WD)の組合せで都合4タイプに分けられる。

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 タイプ1. 最もお手軽な価格(それでも約500万円程になりそうだが)に設定されるのが、65kwhのバッテリーを搭載する2輪駆動(2WD)タイプだ。モーターの最大出力は160kwで、最大トルクは300Nmを示し、最高速度は160km/h、0-100km/h加速は7.5秒、満充電での走行可能な航続距離はWLTCモードで最大450kmだ。

 タイプ2. タイプ1と同様の2輪駆動(2WD)だが、搭載されるバッテリーが90kwhとなり、モーターの最大出力は178kwと強化されるが、最大トルクは同じ300Nmだ。最高速度は2輪駆動(2WD)共通の160km/h、0-100km/h加速は7.6秒とほぼ同じで、満充電での走行可能な航続距離はWLTCモードで最大610kmだ。

 タイプ3. 65kwhのバッテリーにモーターが2基搭載される4輪駆動(4WD)タイプ3は、流石にモーターの最大出力が250kw、最大トルクが560Nm、最高速度が200km/h、0-100km/h加速が5.4秒と大幅にパワーアップする。ダブルモーターの負荷により満充電での走行可能な航続距離はWLTCモードでタイプ1よりも劣る最大430kmだ。

 タイプ4. 90kwhのバッテリーにモーターが2基搭載される4輪駆動(4WD)タイプ4は、最大出力が290kw、最大トルクが600Nm、最高速度は2モータータイプ共通の200km/h、0-100km/h加速は5.1秒と車種最高の性能を誇り、満充電での走行可能な航続距離はWLTCモードで最大580kmだという。

 タイプ3とタイプ4に導入されている「e-40RCE」(イー・フォース)4輪駆動システムは、動力性能を力強い伝達と共に、瞬時にトルクを4輪に伝える精密な車両制御の両立により、0-100km/hが5.1秒のタイプ4は、日産のスポーツカーの一翼を担う「フェアレディZ」のパフォーマンスに匹敵するそうだ。

 航続距離についてはFF駆動で90kwhバッテリーが搭載されるタイプ2の場合、航続距離がWLTCモードで610kmなのは前述したが、130kwが出力できるCHAdeMO急速充電器を利用すると30分間で最大370kmの走行が可能になる。30分の充電で通算約1千km走行できれば、実用性に問題はないだろう。

 車両サイズは全長4595mm × 全幅1850mm × 全高1655mmで、外寸は概ねトヨタの「RAV4」同等となるが、ホイールベースは「RAV4」が2690mmなのに対して2775mmとやや長い。

 モーターの小型化を進め、薄型バッテリーを搭載するのと、空調ユニットの設置場所を車内からモータールームに移設する。この結果、Cセグメントと分類される車体サイズでありながら、ワンランク上のキャビンに相当するゆとりがある、と自負する日産期待の新型車がおよそ1年後に市場に投入される。

 ※本文内のタイプ1〜4までの分類は、分かり易さを狙った筆者が便宜的に振り分けたものであり、メーカーの意志とは全く関係がありません。