ヨーロッパの17〜18世紀の肖像画を見ると、男性はくるくるのカーリーなかつらを付けています。

バッハやビバルディのような音楽家から王侯貴族まで大流行していました。

その原因は……性病だったそうです。

 

TIL An outbreak of Syphilis caused a surge in Wigmaking.

黒死病のあと、ヨーロッパでは性病がひどく流行して、梅毒患者であふれかえっていました。

当時はもちろん抗生物質はなく、傷口が開き、肌はただれ、視力を失う人や認知症を患う人もいました。

症状のひとつに、髪の毛の喪失がありました。

長い髪はトレンディなステータスとなっていましたが、性病にかかると頭が禿げることから、名誉も傷つくと思われていたのです。

それを隠すために、かつらの生産が一気に広まりました。白いパウダーでコーティングされ、ラベンダーやオレンジで香りもつけられました。

当初は荒れた肌を隠したり、恥ずかしさからくる必需品でした。

オシャレなものへと変わったきっかけは、フランス国王のルイ14世が病気のため17歳で頭が薄くなり、名誉を守るためにかつらを作らせたと言われています。


「ルイ14世の肖像画」

彼のいとこであるイギリス国王のチャールズ2世も梅毒による脱毛で悩んでいたことから、同じくかつらを装着しはじめました。

両国の王がかつらをつけていたことから貴族が真似を始め、さらに上流〜中流階級まで広がって、ヨーロッパの流行ファッションとなったのです。

かつらの値段は上昇し、大きなかつらが裕福さの象徴となりました。

両国の王が亡くなった後も流行はしばらく続きました。シラミも蔓延していたので、かつらのほうが処置が楽だったのも人気の理由でした。

絵画でよく見る高貴なかつらが性病きっかけとは、あまり美しいお話ではないですね。

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