「普通」の存在でいたがる人の多い日本人は、マイノリティーを差別することで安堵感を抱きがちだ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

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社会的カテゴリー(性別、人種、年齢、出身地、職業など)によって、生じてしまう「偏見・差別」。してはいけないことだとわかっていながらも、なかなかなくならないのも事実だ。なぜ偏見や差別が生じてしまうのか、どうすればなくすことができるのか。東洋大学社会学部教授で、編著『偏見や差別はなぜ起こる?』(ちとせプレス)がある北村英哉氏に詳しい話を聞いた。(清談社 福田晃広)

社会集団から生まれる
偏見や差別

 人間が営む生活において、あらゆる状況や場面で偏見や差別が生まれているといっても過言ではない。

 たとえば、心の中で偏見だとは思いながらも、「女性のほうが家事や育児に向いている」「男性のほうがリーダーシップがある」といった固定観念(ステレオタイプ)を持つ人は案外多いのではないだろうか。

『偏見や差別はなぜ起こる?』(ちとせプレス)によると、社会心理学ではステレオタイプ、偏見、差別は、それぞれに定義があるという。

 まずステレオタイプとは「ある集団に属する人々に対して、特定の性格や資質をみんなが持っているように見えたり、信じたりする認知的な傾向」、偏見は「そのステレオタイプに好感、憧憬、嫌悪、軽蔑といった感情を伴ったもの」。そして差別は「ステレオタイプや偏見を根拠に接近・回避などの行動として現れたもの」としている。
 
 また、一般に社会心理学では、一個人の先入観ではなく、なんらかの社会集団、社会的カテゴリーから生じる偏見や差別を対象にしている。偏見や差別については、これらの区別を前提にして考えなければならないのだ。

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