まるで高級料亭のような観光列車が、石川県内を走っていることをご存じだろうか。

金沢駅から和倉温泉駅の間を運行するその列車の名は、「花嫁のれん」。

結婚する娘の幸せを願って、色鮮やかな暖簾をもたせるという北陸の風習「花嫁のれん」から名付けられている(運行会社のIRいしかわ鉄道公式サイトより)。


とさろくさんのツイートより

石川県の伝統工芸品・輪島塗のような赤い色が、外装にも内装にもふんだんに用いられた花嫁のれん号。その上に色とりどりの花や紅葉、ちょうちょが描かれていて華やかだ。

座席の前には「桜梅の間」とまるで料亭や旅館のような札が掛けられていて、電車の中とは思えない。

こちらの写真を投稿したのは、ツイッターユーザーのとさろく(@ef651036jrf)さん。花嫁のれん号に乗車し、

「これが列車なの凄すぎるでしょ。高級料亭ちゃうぞこれ」
「マジで観光列車の中でも別格やぞ、乗ろう!」

と感想を呟いている。

車内の隅々まで和風

とさろくさんに、「花嫁のれん」のどんなところに魅力を感じたのか聞くと、

「まず、車内に最近の観光列車にありがちな『とりあえず木で暖かみを出す』というようなテーマのマンネリ化が無いんですよね。
花嫁のれんは金沢の特徴である加賀友禅などの優美さの雰囲気を車両全体で出すことに強いこだわりを持っていると感じました」

との答え。

JRおでかけネットの「花嫁のれん」紹介ページによると、この車両のコンセプトは「和と美のおもてなし」。輪島塗や加賀友禅、金沢の金箔など石川県の工芸品の魅力を味わえる装飾が施されている。


奥の壁は金ぴか(とさろくさんのツイートより)

「花嫁のれん」は2両編成で、とさろくさんが乗った1号車には8つの半個室がある。

「桜梅の間」「撫子の間」「扇絵の間」......といったように名前がついていて、各部屋の壁にはそれぞれ異なる友禅のデザインがあしらわれているという。違う席に乗れば、全く違う旅情が味わえそうだ。


絨毯は日本庭園の飛び石をイメージ(とさろくさんのツイートより)

花嫁のれん号の「和」へのこだわりは客席だけではない。「車内の隅々までこだわっている点もよいと感じた所でした」ととさろくさん。

例えば、軽食の提供や車内販売を行うアテンダントが和装だったり、和服を着た男女のアイコンがトイレの案内に使われていたりする。


禁煙を示すステッカーもキセルのイラストで、和風(とさろくさんのツイートより)

また、とさろくさんが「高級料亭みたい」と感じた理由は、列車のデザインだけでなく、中でのおもてなしの細やかさにもあるようだ。

「車内で軽食を食べられるのですが、配膳の方法とタイミングが心地よいものでした。それに加えてだいたいの傾向を熟知されているのか、ちょうど食べ終わり一息つき終わった時に弁当ガラの回収が来ます。驚く程にタイミングが完璧でした」(とさろくさん)

華やかな車内に丁寧なおもてなし。花嫁のれん号に乗れば、時代劇に出てくるお姫様のような気分を味わえるかもしれない。石川県に行くときには、ぜひこの列車に乗って旅をしてみたいものだ。