トルコ共和国最大の都市、イスタンブール。ボスポラス海峡によって大陸を二分されるこの街には、エリアごとに全く異なる魅力があります。

ヨーロッパ側の新市街、ベイオールの一角にあるカラキョイ地区は、古い歴史と現代の文化や雰囲気が交差する、イスタンブールでも最も注目に値するエリアの一つです。かつては商業貿易の中心としてイスタンブールの経済を支えていた海峡沿いの地区、カラキョイの中で、最も目を引く美しい通りがフレンチ・パサージュです。

海峡側のケマンケシュ通りと陸側のムムハネ通りを結ぶ短いこの通りは、1860年頃に造られました。設計者や当時の所有者については詳しいことはわかっていませんが、イスタンブールにおいて初めてネオクラシック様式で造られた建築であることは確かで、1992年に改修されて以来、より一層美しい西洋風の姿に生まれ変わり、この辺りはまるでヨーロッパの街の一角のような雰囲気に包まれています。

ところで、イスタンブールにあるのになぜフレンチ・パサージュと呼ばれているのでしょうか。通りの名前の由来は、オスマン帝国時代にまで遡ります。

カラキョイ地区は、かつてガラタ地区と呼ばれていました。コンスタンティノープル陥落までは、ガラタはジェノヴァ共和国の居留地でしたが、その後、海峡に面するこの地区には、外国の大使や商人たちが住み着くようになったのです。

船でやって来た外国人がガラタの埠頭に到着すると、自国の名前が記された通りを通って陸に上がり、目的地に向かったといいます。つまり、当時フランスからイスタンブールにやって来た商人や大使たちが、この通りを通っていたということなのです。フレンチ・パサージュの名前の由来は、オスマン帝国時代のこの習慣の名残であると考えられているのです。

フレンチ・パサージュは、現在のカラキョイ地区のシンボルというだけあり、通りにはおしゃれなカフェや個人経営の小さな雑貨屋などが並び、特に流行に敏感な若者に人気のスポットになっています。

特に人気があるカフェが、ムムハネ通り側にあるムムズ・カフェです。フレンチ・パサージュのまさに一等地に建つこのカフェでは、テラス席からカラキョイの街並みを眺めることができるだけでなく、淡い緑を基調とした雰囲気のいい店内でコーヒーや食事を楽しむことができます。

カラキョイ地区は、オスマン帝国時代に商業の中心として栄えていた街の特色が色濃く残る一方で、その建物や街の造りを活かしながら、おしゃれなカフェやレストラン、さらに教会やモスクまでが残る、独特の文化が根付いている地区です。フレンチ・パサージュを歩きながら、古き良き西洋の文化の雰囲気が漂うカラキョイ地区を散策してみてはいかがでしょうか。

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名前 フレンチ・パサージュ(Fransız Geçidi Sokağı)
所在地 Kemankeş Karamustafa Paşa, Fransız Gç Sokağı, 34425 Beyoğlu/İstanbul

名前 ムムズ・カフェ(Mum’s Cafe)
所在地 Kemankeş Karamustafa Paşa, Fransız Gç Sokağı 1/16-17, 34425 Beyoğlu/İstanbul