天皇陛下が即位を宣言した「即位礼正殿の儀」。2019年10月22日に執り行われた、令和の幕開けを改めて感じさせる儀式だ。

その歴史的瞬間を、多くの人がテレビ越しにお茶の間で見守ったことだろう。前回の即位の礼と比べて画質が良い、技術の進歩だなあ...そんなことをしみじみ感じた人もいたかもしれない。

しかしその中に、今回の儀式をブラウン管テレビで見ていた人間がいた。


本当に令和なの?(画像はHMizuno@hmc8002さん提供)

「令和の即位礼正殿の儀を昭和のブラウン管で見てる人って全国に何人くらいいるんだろ?」

10月22日、そんな投稿をしたのはツイッターユーザーのHMizuno(@hmc8002)さん。投稿されたレトロなテレビには、令和の「即位礼正殿の儀」が映し出されている。画質は粗く、映像は画面からはみ出し、時空が歪んでいるような違和感。いったいこの人は何時代から中継を見ているのだろうか...。

HMizunoさんの投稿に対し、他のユーザーからは、

「まだ生存しているブラウン管テレビがあったとは」
「すげー しかも、チャンネル回すやつ!」
「そもそもどうやって写しているんだw」

といった声が寄せられている。昭和かどうかは分からないが、HMizunoさん同様にブラウン管で見たというユーザーも何人か見られ、ブラウン管愛用者は今でも健在のようだ。

驚くべきことにHMizunoさんは20代後半の男性。平成生まれの投稿主が、なぜブラウン管テレビで「即位礼正殿の儀」を見ようと思ったのだろうか。Jタウンネットが、当人に詳しい話を聞いた。

ブラウン管テレビは日常的に使っていた

HMizunoさんによれば、これは型番「14CP-D30」の三菱のブラウン管テレビで、メーカーが公開する販売年度一覧表には1983年との記載がある。つまり、昭和に誕生した型のテレビで間違いないということだ。

HMizunoさんは学生の頃からレトロなテレビを日常的に使用しており、現在所有しているテレビはこの1台のみだという。なぜブラウン管を使い続けているかを聞くと、

・ブラウン管の画や音が好みである
・インテリアとしての見た目が気に入っている
・テレビ上に物が置ける
・アナログな要素に魅力を感じている
・修理や改造を楽しめる(最近の製品は構造上、改造が難しいとのこと)

などを理由に挙げている。投稿したテレビも自身で修理したり、音をよくするためにスピーカーを改造したりするなど、かなり愛着があるようだ。

また、ブラウン管で地デジ放送が見られる仕組みだが、RFコンバータという機器を使って地上デジタル信号をアナログテレビ用の信号に変換、さらにそれをアナログVHF 1chに変換しているとのこと。

よってテレビのダイヤルは1chにセットしたまま、地デジチューナーについていたリモコンでチャンネルを変更しているということだ。


マーガリンのケースに必要な電源回路を入れている

HMizunoさんはブラウン管で「即位礼正殿の儀」を視聴したことについて、

「生中継を通しではありますが歴史的な行事をリアルタイムで見ていること、そして陛下のお言葉を拝聴し、非常にありがたく、感動しました」

と話す。次に年号が変わったとき、同じようにブラウン管で即位の礼を見たいかという問いには、

「いいえ、次回は新しいデバイスで見たいと思います。
近年の技術開発状況から、おそらく次回は『平面の画面』で見る時代は終わっていると想像されます。VRシステムでその場にいるかのような映像で放送されるかもしれませんし、もしかしたら脳と通信するデバイスが登場して家に居ながらにして現地にいるのと全く変わらない体験ができるかもしれません」

としていた。

そのうち、今私たちが使っているデバイスも、「平成レトロ」と呼ばれてしまう時代が来てしまうのかもしれない。