パスタ専門家は見た目と味だけで「高級パスタ」を当てることができるのか?という実験ムービー、いいパスタの選び方も公開中
一口に「「パスタと言っても乾燥パスタ・生パスタといったカテゴリがあり、形や形状もさまざまで、具が入っているものや味付きのものもあります。このような多様なパスタについて、パスタ専門家は見た目と味だけで「どちらのパスタが高級なのか?」を当てることができるのかを実験したムービーが公開中です。おいしいパスタの見分け方も解説されており、パスタ好き必見の内容となっています。
パスタの格付けテストに挑戦してくれるのは、イタリア人の血を引くというパスタ専門家のマット・アブドゥーさん。
最初の問題は、短めの乾燥パスタ。
「乾燥パスタの材料は小麦粉と水だけとシンプルです。材料を混ぜ合わせて出来上がった生地を、パスタ用の成形機を使うか、平たくして丸めて切ってパスタの形にします。そしてその後に乾燥させるとドライパスタになります」
「乾燥パスタで重要なのは、弾性と塑性です。弾性は生地の伸縮性を指し、塑性は噛んだときの弾力を指します」
まずはA、Bそれぞれのパスタの見た目のチェックから。
アブドゥーさんは乾燥パスタについて見るべきポイントを解説してくれました。「パスタを買うときに重要なのは、『色』です。乾燥パスタについて一般的に言われるのが、『明るい黄色のものを買え』ということです。暗い色をした乾燥パスタには原料としてあまり良くない小麦粉を使用しています」
「A、Bの乾燥パスタを見比べてみると、Aはより暗い色をしています」
「色の次に見るべきポイントは、手触りなどの『質感』です」
「高級な乾燥パスタは、成形機のパスタが通る部分にブロンズを使っている場合があります。ブロンズの成形機による乾燥パスタは質感が良く、溝やヒダが多くなり、ソースが絡まりやすくなります。一方で、質の悪いパスタは、パスタがくっつかないように加工された大量生産向けのテフロンの成形機を使っています」
「Bの乾燥パスタを手に取ると、剛性がなく、なめらか過ぎます。テフロンの成形機による大量生産品の典型的な特徴です」とのコメントで、Bの乾燥パスタの見た目は不評。
次は味を見ていくことに。アブドゥーさん自身がAとBの乾燥パスタを茹でます。
いざ実食。
まずはAからチェック。
ゆであがったAは手で潰してみても、すぐに元の形に戻るため、弾性を備えていることがわかります。
「良いパスタならば、ゆであがった後もアルデンテの質感を維持します。アルデンテはイタリア語で『歯に〜』ということを意味しており、パスタの場合は、『噛んだときに食感がある』ということになります。Aはゆであげてから数分が経過していますが、まだ噛んだときに食感が残っています」とアブドゥーさんはAを高く評価しました。
Aのパスタの断面には白い線のようなものが見えます。アブドゥーさんによると、白い線は品質が高いことを示してくれるものとのこと。
次はBのパスタへ。「Bを見ると、パスタ同士がお互いにくっつきあっています。これは質の悪いパスタの典型です」
一度押しつぶしたBは元の形に戻ることはありません。
アブドゥーさんはBをパクリ。しかし、語るまでもないと思っているのか、Bの味には言及しませんでした。
アブドゥーさんには、AとBの乾燥パスタのうち、どちらが高級品なのかを選んでもらいます。アブドゥーさんはAの乾燥パスタが高級だと判断しました。
結果を見ると、Aは1パウンドあたり9.09ドル(およそ100gあたり216円)、Bは1パウンドあたり0.67ドル(およそ100gあたり16円)。Bは激安パスタでした。
「Aはちょっと高めの値段ですが味はとても良く、特別なイベントなどの時にはオススメです。Aは私の2歳の息子ですら大好きになる味だと保証できますよ」
2問目は生パスタ。
「生パスタについて最初に知っておくべきことは、乾燥パスタとは全く別物だということです。生パスタは乾燥パスタとは味・質感も異なりますし、デリケートな食品です。大抵の場合、生パスタには卵が使われています。品質の良い卵を使った生パスタは品質が良くなるということです」
まずは見た目から。「生パスタには乾燥の工程が存在しないため、自然と酸化していきます。酸化すると生パスタの表面に黒い斑点が生まれます。黒い斑点のある生パスタを食べても病気になるわけでもなく、まずいわけでもありません。しかし、その生パスタは作られてから数日が経過しています」
アブドゥーさんによると、AよりもBのほうがやや黄色い色をしています。Bは束ねられたものをほどいた見た目をしており、「別に束ねてたからといって値段に直接的な関係はありませんが、見た目的に悪いということは顧客が買う気になれないため、値段が安い可能性があります」とのこと。
一方のAは、小麦粉のパウダーが振りかけられており、手がかかっていることがわかります。アブドゥーさんは「第六感的には、Aが高価ですね」とコメントしました。
A、Bそれぞれの生パスタを調理して……
実食へ。生パスタをゆでるときの注意点は、同じ形の乾燥パスタに比べ、ゆで時間を半分かそれ以下にすることとのこと。
ゆであがった後のAはBに比べて黄色い色をしています。アブドゥーさんは「より黄色いほうが、良い品質の卵を使っている可能性があります」と語ります。
Aはゆであがった後も弾性がありました。ゆであがった後に時間が経ってもべちょべちょしたりくっついたりしないパスタは品質が高いということ。
Aを食べたアブドゥーさんは、「素晴らしい食感で、べたつきなどもなく、小麦にわずかに卵が加わった味わいを感じる素晴らしい味」と絶賛。
一方、Bを食べたアブドゥーさんは、「風味も食感も良く、Aに比べてやや弾力が強い。AとBも良い生パスタで、なかなか甲乙付けがたいね」とコメント。Bもなかなか高品質の生パスタのようです。
アブドゥーさんが選んだのは、A。
結果は、Aは1パウンドあたり9.9ドル(およそ100gあたり236円)、Bは1パウンドあたり3.99ドル(およそ100gあたり95円)でした。
見事に高額パスタを的中させたアブドゥーさんは大きくガッツポーズ。
「Aは見た目が素晴らしいので、他人の家に持って行くならオススメですね。でも、自分で食べるだけならBをオススメします」とのことでした。
3問目は、詰め物入りパスタ。中に具材を入れて包み込んだパスタです。
「生パスタを形状的に進化させたものが詰め物パスタといえます。なので、生パスタの優劣を見極めるポイントは、詰め物パスタにそのまま適用できます。卵を入れると生地が破れにくくなるため、中に具材を入れる詰め物パスタは、基本的には卵を使っています」
まずは見た目のチェックから。アブドゥーさんによると、形状から判断すると、今回の出題は詰め物パスタの中でも指輪状に具材を折り込むトルッテリーニとのこと。
Bは明らかに緑色で、生地の原料に緑色野菜を使っていることが一目瞭然。アブドゥーさんは、ほうれん草を使っていると予想しました。
一方Aは、やや大きめサイズのトルッテリーニ。品質の良い卵を豊富に使った見た目をしているそうです。
「見た目だけじゃわからないね」とアブドゥーさんは顔を近づけて香りもチェック。Aは見た目と同様に、質の良い小麦と卵の新鮮な香りがあり、酸敗臭のような異臭もないとのこと。
Bの香りもチェックしたアブドゥーさんは、「同じくらい良いね」と簡潔に述べました。
見た目や香りではAとBの価格がわかるような兆候はありませんでした。というわけで、ゆでます。
ゆであがったAとBはこんな感じ。AもBも、ゆでたからといって破れて具材が漏れることはありませんでした。
Aは触ってもべたつかず、良い質感。
一方のBは、見た目上のばらつきなどがなく、整った見た目。
ゆであがったA、Bの見た目から、アブドゥーさんは「Aは手で作られたもので、Bは大量生産品に見える」と判断しました。
次は味を見ていきます。アブドゥーさんはBからひとくち食べました。
「生地自体に練り込まれたほうれん草の風味がわずかに感じられます。中身は柔らかい茶色のチーズが入っていますが、色合い的にはこのチーズは安物に思えます」
次はA。Aは、「パスタ自体の味は素晴らしいけど、中の具材が良くないね」とのことでした。
アブドゥーさんが高価だと判断したのは、A。
結果を見ると、Aは1パウンドあたり13.98ドル(およそ100gあたり333円)、Bは1パウンドあたり7.66ドル(およそ100gあたり183円)でした。アブドゥーさんは「オーマイガー」と驚きの声を上げて、「Aは1パウンドあたり14ドルもするのか!」とコメント。
「中身に食材が入っているので、詰め物入りパスタは値段がちょっと高くなります。今回の問題は、AとBの中の具材がほとんど同じ味わいに思えたので、自分で購入するとしたらBを買いますね」とのことでした。
4問目は味付きパスタ。味付きパスタの中でも、乾燥タイプのものが出題されました。
というわけでさっそく見た目のチェック。Aは明らかに緑色をしています。緑色のパスタにはたいていの場合はほうれん草が使われているとのこと。
一方のBは見事な黄色。酸化による斑点も見られません。アブドゥーさんは「Bはおそらくサフラン味のパスタだろう」と予想しました。サフランは高級食材であるため、Bはかなり高級かもしれないとのこと。
次は調理してからの……
実食タイムへ。アブドゥーさんは一目みて「どちらもかなり美しい見た目です」と語りました。
Aは緑色のパスタの中でも、緑が濃いめだそう。緑が濃いめということで、原材料にほうれん草が多く使われており、値段が高くなっている可能性があるとのこと。
Aは弾性も良好。
Aを食べたアブドゥーさんは、「野菜の味はあまりしない」と一言。しかし、パスタ自体の味わいは良いそうです。
一方のBは、顔を近づける前から「レモンのような芳醇な香りがしている」とのこと。
Bのパスタをひとくち食べたアブドゥーさんは「絶対にサフラン」と断言。かなり強いサフランの味わいがするそうです。
アブドゥーさんは高級食材であるサフランがふんだんに使われたBを選びました。
結果は、Aは1パウンドあたり4.65ドル(およそ100gあたり111円)、Bは1パウンドあたり18ドル(およそ100gあたり429円)。Bは超高級パスタでした。
「高級な材料が使われている場合、パスタ自体の価格も跳ね上がります」とのことでした。
最後の問題は、グルテンフリーパスタ。
アブドゥーさんはグルテンの解説からスタート。「グルテンフリーパスタは、食物アレルギーの原因となる小麦粉に含まれるタンパク質『グルテン』を使わないパスタです。小麦粉はグルテンを有するので、市場に出回っているグルテンフリーパスタは、ほとんど米かトウモロコシが原料です」
次は見た目の比較。
Bはオレンジ色で、アブドゥーさんにいわせると「ドリトス色」
一方のAは、米か玄米が原料だとわかる色合いだそう。
アブドゥーさん自らゆでて……
実食。
ゆであがったAを見ると、すでにパスタ自体がちぎれています。グルテンは生地に弾性を与える性質があるため、グルテンフリーパスタは比較的もろい傾向があります。しかし、ゆでただけでちぎれるパスタはかなり値段が低いとのこと。
Aを食べたアブドゥーさんは、「舌の上に膜ができるような感じがあって、口の中が乾燥する」と述べ、Aはかなり不評。
次はBへ。ゆであがったBを見たアブドゥーさんは、「コーン菓子のような色合い」と表現しました。
Bを食べたアブドゥーさんは、「Bはかみごたえがあって、ゆであがってから時間がしばらく経過していますがアルデンテの歯ごたえが残っています。小麦粉のパスタとはまた違った味わいですが、かなり近い味ですね」とコメントしました。
アブドゥーさんが高価だと判断したのはもちろんB。
結果を見ると、Aは1パウンドあたり3.98ドル(およそ100gあたり95円)、Bは1パウンドあたり14.53ドル(およそ100gあたり346円)でした。
「もしグルテンが食べられなかったり、食べたくない場合にはグルテンフリーパスタがオススメです。Bのグルテンフリーパスタは毎日食べるには高価ですね」とのことでした。
アブドゥーさんはまとめとして、「一番重要なことは、それほど高いパスタでなくとも、十分な品質のものがあるということです。予算の中で、あなた自身が食べたいと思えるようなパスタを探してみてください」とコメントしました。