前半、ラックの攻防に加わる具智元(右端)=福留庸友撮影

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(13日、ラグビー・ワールドカップ 日本28−21スコットランド)

 具智元は泣いていた。

 前半21分、負傷交代。自慢のスクラムが組めなくなった。グラウンドを退くと、同じプロップの控えだった中島がそっと肩を抱いた。

 自陣22メートル付近、ピンチのスクラムだった。代わって3番に入ったのはバル。紺色の塊を受け止め、グッと押し込む。たまらず崩したスコットランドの反則を告げる主審の長い笛に、フッカーの堀江はしてやったりの表情をみせた。この日も相手を押しまくったスクラム。堀江は「1、3番(両プロップ)がリードしてくれ、頼もしかった」と言う。

 スクラムで勝たなければ世界で通用しない。小技が得意な日本ラグビー界は長く、この課題を後回しにしてきた。長谷川スクラムコーチの下、宮崎で網走で、ひざの角度、足の位置など細部を詰めてきた。バックスの福岡や松島が派手に走り回れるのも、一歩でも、一センチでも前へというFWの思いがあるから。長谷川コーチは「報われた。智元も、(バル)アサも心配なかった。攻めるスクラムができた」と感無量だった。

 前半の勝ち越しトライ。連続攻撃を仕掛け、最後に飛び込んだのは稲垣だ。「代表に入って7年間で初めてトライ。みんながつないでくれて、トライってこういう気分なんだなと思った」と稲垣は振り返る。珍しいプロップのトライ。このチームをがっちり支えるFW第1列へ、最高の贈り物だった。(森田博志)