住宅ローンは組み方の工夫次第で支払う額を減らせるそうです(写真:den-sen/PIXTA)

『「よくわからないから」と不動産業者にお任せのプランで住宅資金を借りて、不必要に多い利息の負担をしている人をよく見かけます』と指摘するのはファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏。

同氏によると、住宅ローンの組み方を工夫すれば、総額にして数百万円単位で支払う額を減らすことができるそうです。竹下氏の新著『書けばわかる! わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』を一部抜粋し再構築のうえ、お得な住まいの購入の方法について探ります。

借りたあとでは簡単に変更できない

住宅ローンの仮審査で提示されるプランは、一言で言えば、審査にいちばん通りやすい設計になっています。例えば、返済期間は35年で、一般的な住宅ローンの最長期間で組まれることで「割る回数」が増える分だけ、毎月返済額が最少になっているわけです。

「これくらいの額なら返済できそう」と思って、そのままそのプランで契約してしまう人も少なくありませんが、ちょっと待ってください。

住宅ローンは、少しの工夫で総支払額を数十万〜数百万円も少なくできるのですが、いったん借りてしまったら、手間暇かけてお金もかけて借り換えをしない限り、変更は難しいのです。

つまり、借りる前のていねいな吟味がとても大切ということです。ここで、検討しておきたい工夫を4つ紹介しますので、できるものはないか確認して、自分のプランに生かしてみてください。

少しでも低い金利で借りると万単位でお得

多額の借り入れとなる住宅ローンは、ほんのわずか金利が変わるだけで、総返済額が数十万〜数百万円単位で変わります。例えば3500万円を借りる際(返済期間35年、元利均等)に、金利が0.1% 低いところで借りるだけで、利息負担総額は60万円超も少なくて済むのです。

同じ例を用いてもう少し具体的に見てみましょう。金利1.2%で借りると総返済額は4288万円になり、金利1.4%になると、総返済額は4429万円と141万円もアップします。

面倒くさがらずに調べてみる

住宅ローンの金利は、金融機関でさまざまです。例えば、全期間固定型ローンのフラット35(返済期間21〜35年)で借りる場合、2019年4月の適用金利の例では、金融機関によって1.270〜2.400%まで差があります。


同じ金利タイプでも、自分で探せば、業者が見積りとして提示した金利より低いところがきっと見つかります。今まで付き合いのなかった金融機関でも、向こうにしてみれば新規顧客獲得の好機なので、住宅ローンの申込みは大歓迎のはず。前向きに調べてみてください。

頭金を増やすと、より有利に借りられる

単純に、頭金を増やすと、物件価格のうち住宅ローンが占める割合が減るため、利息負担を少なくできます。加えて、頭金を住宅ローンの1〜2割ほど入れると、適用金利を優遇してくれたり、審査を有利に進めてくれたりする金融機関もあります。

手元資金にゆとりがあれば、さらに頭金に充当したり、親などから贈与を受けたりすることも前向きに検討してみてはどうでしょう。例えば、3800 万円の新築マンションを、頭金300万円、住宅ローン3500万円をフラット35で借りる場合(下図のプラン 法金利1.710%(2019年4月現在の返済期間21〜35年で最も多い適用金利)なら、購入費総額は4954万円です。

これが、親からの贈与で頭金を300万円プラスすると、同じ適用金利でも、購入費総額は4855万円となり、99万円もお得に住まいが手に入ります(下図のプラン◆法

頭金次第で適用金利が変わる

ところがフラット35 では、頭金を1割用意できるかどうかで適用金利が異なります。住宅ローン3500 万円に対し頭金350 万円以上用意できると適用金利が1.710% から1.270% に下がるので、この例では、購入費総額は4565 万円になります(下図のプラン)。


返済期間を1年でも短くしてみる

業者からの試算が35年返済や30年返済でつくられることが多いので、返済期間は5年刻みだと思っている人も多いのですが、希望の年数で自由に設定できます。例えば、33歳の人が32年返済にして年金開始前までの完済を目指したり、27年返済にして退職までに完済したりするプランで組むのもOKです。期間を短くしただけ金利分が減ります。

「元金均等返済」を検討してみる

住宅ローンの返済プランには、たとえ同じ金利であっても、実は「元利均等返済」と「元金均等返済」があり、とくに何もいわなければ「元利均等返済」で提案される現状があります。

「元金均等返済」はいわば“裏メニュー”なので、こちら側から頼まない限り提案されることはほぼありません。なぜなら、「元利均等返済」は、毎月返済額が同じ(均等)でわかりやすいため契約者への説明が簡単で、そのうえ、金融機関の懐に入る利息が多くなる返済方法だからです。

対して、「元金均等返済」は、毎月返済額が変わり説明が少し難しいうえに、利息総額は「元利均等返済」より少なく、金融機関のメリットも小さくなります。その仕組み上、借り入れ当初の支払利息が大きくなり、同じ条件であれば毎月返済額は「元利均等返済」よりも大きくなるため、審査が厳しくなります。


逆にいえば、その厳しい審査にパスして、借り入れ当初の毎月返済額を無理なく負担できるご家庭であれば、「元金均等返済」を利用すれば支払利息の総額は少なく、毎月返済額がどんどん減ることで家計にゆとりが出るので、メリットいっぱいの返済方法といえるでしょう。

例えば、将来的に教育費負担が重くなる、あるいは、共働きの一方が将来的に仕事を辞めるといった、将来よりも今の暮らしのほうがゆとりのあるご家庭にお勧めです。

以上のことを改めてまとめます。わが家でできそうなことがないか、1つでも多くチェックしてみましょう。

前向きに検討したい住宅ローンの節約技

1.同じタイプの住宅ローンでも、より安いところはないか探してみよう!
□インターネットで住宅ローンの金利ランキングなどを調べてみる
□勤務先に提携ローンがないか調べてみる
□所定の条件(頭金を増やすなど)を満たすと優遇がある金融機関をチェック

2.頭金を増やしてみよう!
□手元に残すお金にゆとりがあれば、もう少し充当してみる
□物件引き渡しまで時間があるなら、家計を見直して貯蓄に励む
□親や祖父母に、贈与を相談してみる

3.返済期間を短くできないか検討してみよう!
□1年でも短くしたほうが、毎月返済額は増えても、支払利息総額が数十万円単位で少なくできてお得に

4.元金均等返済を検討してみよう!
□借り入れ当初の家計に比較的ゆとりがあるなら、前向きに検討してみよう

5.借りた後、繰上げ返済してみよう!
□購入後でも「繰上げ返済」すれば、住宅ローンで支払う総額を効率的に減らせる