コパ・アメリカでは全3試合に出場した久保。堂々たるプレーぶりだった。(C)Getty Images

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 ブラジルでのコパ・アメリカに臨んだ日本代表は、2分1敗でグループステージ敗退となったものの、18歳の久保建英は堂々たるプレーを披露。チリ戦とエクアドル戦でセカンドトップとして先発し、小さくないインパクトを残した(ウルグアイ戦では途中出場)。

 開幕前にFC東京からレアル・マドリーへの移籍(新シーズンは、Bチームにあたるカスティージャでプレー)が決定したこともあり、この大会での久保のパフォーマンスは世界中から注目を集めた。

 スペイン・メディア『Managing Madrid』は、その俊英の特集を組み、コパ・アメリカにおけるプレーを分析。「ウイークポイント」と「ストロングポイント」に分けて紹介している。

●ウイークポイント

「カスティージャのラウール・ゴンサレス新監督が、久保に与える課題は少なくない。(初戦の)チリ戦では、何度も簡単に倒れ過ぎていた。チリは久保がボールを持つと身体を寄せて、頻繁にそれを奪取した。DFに背を向けてパスを受けた時には、身体の弱さから収められなった。

 久保はチリの選手のフィジカルの強さに苦しんでいた。これからヨーロッパで何が待ち受けているかを“味見”することができただろう。今シーズン(FC東京で)、フィジカル面が改善されたという触れ込みだったが、欧州で戦うにはもっと身体的に鍛えなければいけないのは明白だ。実際、チリ戦では9度もボールを奪われ、これはどの選手よりも多かった。
 

(第3節の)エクアドル戦でも、7度もボールを奪われた。身体が小さいが故に評価されにくいが、リオネル・メッシやエデン・アザールはDFに倒されないように上半身を鍛えている。マドリー・ファンは、久保がヨーロッパのサッカーにアジャストするまで、忍耐強く待つ必要がある。

 ただ、そのエクアドル戦では、スペースがあったこともあり、それほど悪い内容ではなかった。DFを苦しめていた。

 この2試合を通して、久保はいい時間帯と悪い時間帯がはっきりしていた。また、セカンドストライカーとしてプレーしたにもかかわらず、『パスではなく、自ら持ち込んでいけばいいのに』と思わせる瞬間があった。とはいえ、ゲームが進むにつれて、とりわけ後半は敵の守備陣を苦しめ、裏をかいて、フリーのチームメイトにパスを出すシーンもあった」
 
●ストロングポイント

「モハメド・サラーやマルティン・ウーデゴーのような、小柄な左利きの有望株の多くは、すぐに“新しいメッシ”と呼ばれる。なかでも、なぜ久保がそのアルゼンチン代表FWに最も近いタイプと言われるのか、その片鱗を見せた。彼はチリとエクアドルを相手に、合計14回のドリブルを試みて、そのうちの8つを成功させた。

 さらに、彼はパスというオプションがあり、素早くワンツーをし、ボールを受け取ると急加速してシュートするその能力は、たびたびディフェンダーを後退させた。攻撃を締めくくるために、シュートを打つことも恐れていなかった。

 最も印象に残ったのは、攻撃面でのインテリジェンスだ。久保は何度も小さなスペースを見つけてはボールを引き出した。チリ戦の前半は、敵に捕まり前進できなかったが、60分を過ぎてマークが緩くなった後は、スペースを活用していた。

 エクアドル戦でも同じだった。ボールを保持すると、対峙する相手に仕掛けるか、敵の最終ラインを切り裂く縦パスを送るか、ベターな選択をした。

 この試合で、久保は信じられないことに7つのキーパス(シュートに繋がるパス)を供給した。日本のベストプレーヤーだった。チームメイトがゴールに収めてくれれば、彼は2、3のアシストを記録しただけでなく、準々決勝でプレーしていただろう」

 記事は最後にこうまとめている。

「経験豊富な戦士たちと一緒にブラジルまで行ったことで、久保は評判を高めた。見るべき才能がそこにあった。マドリディスタは、期待すべきだ。新シーズンのカスティージャでは(今夏にサントスから加わったブラジル人の)ロドリゴと久保が両サイドに位置取り、頻繁にポジションチェンジをしながら、ディフェンスを翻弄してシュートを放つシーンが見られるかもしれない」

 コパ・アメリカでの“お披露目”により、さらに期待値が上がった感のある久保。白いシャツを纏ってどんなプレーを見せてくれるのか。注目は高まるばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部