浦和DF槙野智章【写真:Getty Images】

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宇賀神のゴールに続き、完璧なコントロールショットを突き刺して2-0とリード

 浦和レッズの日本代表DF槙野智章は、24日の天皇杯準々決勝・サガン鳥栖戦で鮮やかなミドルシュートを決めて2-0の勝利に貢献した。

 2点リードの後半途中に鳥栖DFキム・ミンヒョクが退場処分となり数的優位に立ったなか、「恥ずかしながら……」と、まさかの事態があったことを明かした。

 浦和は20日にリーグ戦の大一番となった鹿島アントラーズ戦(3-1)に勝利してから中3日だったが、全く同じスタメンを並べた。この日は熊谷スポーツ文化公園が会場で、観衆も7867人。4万6000人以上を集めた埼玉スタジアムとの違いに、槙野は「普段とボールも違うし、雰囲気もガラッと変わる。気をつけようと話していた」と明かした。それでも、立ち上がりは少しバタバタとしたものになってしまった。

 そうしたなかで浦和は前半16分にMF宇賀神友弥のゴールで先制すると、同31分には追加点が生まれた。MF柏木陽介のパスにFW興梠慎三が抜け出すと、シュートを打てなかった興梠は丁寧にバックパス。そこに槙野が走り込んだ。「最近は力んでしまっていたものを、落ち着いて打つことができた」と話した右足のコントロールショットは、必死に飛びつく日本代表GK権田修一も届かないコースに決まった。

 そして後半、反撃に出る鳥栖は二人を交代して圧力を高めたが、アクシデントがあった。DFキム・ミンヒョクがまずは後半2分にラフプレーで警告を受けると同12分、接触プレーで鳥栖の選手がファウルを受けた場面で、村上伸次主審に強く異議を唱えてしまった。これで2枚目の警告を受けて退場になり、浦和は10人の相手に2点リードという展開を手に入れた。


鳥栖DFキム・ミンヒョク退場に気づかず、残り10分で周囲の声を経由してようやく把握

 しかし、この退場処分が直接的にボールに絡む位置ではなく、キム・ミンヒョクもすんなりとピッチから出ていったことで、槙野は気づいていなかったのだという。この後の時間帯のゲーム運びについて質問されると、「恥ずかしながら……」と切り出し、「残り10分くらいで、周りの選手から相手が10人だからもっとボールを回そうという声がかかって初めて気がついた」と明かした。

 数的有利をピッチ内で感じなかったという点で、槙野は「そういう意味では、難しい試合だったのだと思う。せっかく鹿島に良い試合をして勝ったなかにも、課題が残った」と気を引き締めていた。

 浦和は鹿島戦の勝利でリーグ3位以内が現実的な目標となり、天皇杯もベスト4に進出。いずれも来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権につながるだけに「この大会を優勝して、堂々とアジアの舞台に戻りたい」と、今季に獲得できる可能性のある最後のタイトルに向け、力を込めていた。


(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)