各社からさまざまな新商品が登場する現在。でも、その商品って本当にいいモノなんでしょうか?よく考えてみると、ちょっとツッコミどころもありませんか?

「新商品ポリス」(タイアップ募集中!)では、新R25編集部が企業にお邪魔して、商品やサービスに読者目線(?)で切り込みます。はたして担当者はツッコミを見事跳ね返し、商品の良さをアピールできるのか…。

今回ツッコミに行ったのは、今年の7月にSNSで話題になっていたこのサービス!

出典 https://www.taishokudaikou.com

退職代行サービス「EXIT」! 会社を辞めたいとき、自分の退職を代行してくれる…というものです。ただ、どうもうさん臭い…。本当にこんなサービスが存在しているんでしょうか?

今回は、EXIT株式会社の代表・新野俊幸さんと岡崎雄一郎さんにツッコんできました!


【岡粼雄一郎(おかざき・ゆういちろう)/左】1989年生まれ。私立開成高校を卒業後、アメリカの州立大学へ留学、ボクシングに熱中し、中退。解体工、型枠大工、歌舞伎町での勤務を経て、現職 【新野俊幸(にいの・としゆき)/右】1989年生まれ。青山学院大学卒業後、ソフトバンクに入社。リクルートテクノロジーズ、サイバー・バズを経て、現職

ツッコミ1:本当に退職できるの?

福田:
7月に御社のサービスがツイッターでバズっているのを拝見し、退職代行という存在を知りました。

正直、サイトを見たときちょっとふざけてるのかなって思いましたが…

新野さん:
電話で「本当に存在したんだ」って驚かれる方もいらっしゃいますが、我々は本気で退職を代行しています

岡粼さん:
2017年5月に始めて、今のところ約1000件は対応していますね。退職率は100%です

福田:
1000件も…!


岡崎さんの見た目に、ちょっとビビってます

福田:
退職代行って具体的にどんなことをしているんですか?

新野さん:
私たちが行っているのは、本人に代わって会社に退職の連絡をするだけです。

福田:
えっ、それだけなんですか!?

新野さん:
それだけです。というのも、我々が会社に行ったり、何かを交渉したりすることって許されてないんですよ。

ちゃんと顧問弁護士をつけて、僕らがやっていい範囲・やっちゃいけない範囲というのは理解しています。

福田:
てっきり雇用保険や年金の手続き、席の片付けとかまでやってくれると思ってました。

新野さん:
保険証や離職票を送っていただくように会社にお伝えはします。

もし送っていただけない場合は基本的な知識としてのサポートはしますよ。健康保険の資格を喪失したので、資格の喪失証は最寄りの年金事務所でもらってくださいとか。

でも、退職届はご本人から会社に郵送で送ってもらってますね

福田:
なるほど…。じゃあ荷物の整理や業務の引継ぎなども、自分でやらないといけないんですね。

岡粼さん:
荷物が残っている場合、会社から郵送していただきます。時間がある場合は、「私物とかは片付けておいてください」と伝えておりますね。

業務に関しても、「引継ぎ事項をメモとかにまとめておくのが無難です」って言ってます。

ただ、ちゃんと引継ぎができていないことや、ご本人しかわからないことがあった場合、会社とご本人の間に入って連絡を取り次いでいます

退職代行は実際にどんな流れで行われているのか?



福田:
退職代行って実際どんなフローなんですか?

新野さん:
まずはLINEかツイッター、公式HPに連絡をもらいます。その際に必要な情報は、「会社の責任者の名前」「会社の連絡先」「退職希望日」などです。

その後にお金を振り込んでいただき、我々が会社に「退職」の電話をします。

福田:
めちゃくちゃ簡単ですね…。代行の電話のときは、どのように伝えるんですか?

新野さん:
○○さんが御社を退職したいと申しております。今日からご本人は会社に行けません。何か連絡事項があれば我々からご本人に伝えさせていただきます」って感じですかね。

福田:
意外とあっさり。拒否されたらどうするんですか?

岡粼さん:
されたとしても問題ありません。というのも、本人が「辞める」という意思を明確に表明したのであれば、会社の了承は必要ないんですよ。

福田:
それじゃあ会社の言い分は無視するんですか?

岡粼さん:
会社の言い分も理解できるんですが、「本人はもう会社には行けない状態です」と伝えます。

本人から退職届は郵送で送ってあるので、会社としてはどうしようもないですよね。

ツッコミ2:会社から訴えられることってないの?

福田:
会社から「訴えるぞ!」って言われることはないんですか?

新野さん:
たまに「訴える」って言われることもありますけど、基本的に脅しですね。実際に訴えられたことは1回もありません。

福田:
怖い…。退職の連絡をしたときって、相手はどんな反応なんですか?

新野さん:
多いのは「いやいやいや! 社会人としてそれはおかしいだろう」という感じですね。「あとは、ちゃんと本人の口から聞かないと受け入れられない」とか。

岡粼さん:
まあこちらに言われても仕方がないので、「お気持ちはわかりますが…」ってひたすら謝ってます

福田:
それって、メンタルやられません?

岡粼さん:
最初は結構イヤでしたよ。他人のことで代わりに怒られるわけですから。

向こうが違法なことを言ってきても、言い返せないですし。


岡崎さんは7月に100件の退職対応をして、この業務を「EXIT」しそうになったらしいです

新野さん:
でも最近は企業の方も認知していただいて、「ああー、なるほど。ついにウチの社員も利用したんですね」という声も聞くようになりました。

なんなら人事担当者が興味深々で、「ちなみにこれって本当にすぐ辞められるんですか? ボクも使えますか?」みたいな話をされることもあります。

福田:
退職の連鎖が始まっている…!

ツッコミ3:やばいトラブルに遭ったこととかないんですか?

福田:
過去に企業の人が乗り込んでくるとか、やばいトラブルはなかったんですか?

岡粼さん:
基本的に電話だけの業務なので、我々が被害に遭うことはないですね。

あーでも、トラブルといえばカーチェイス事件がありました。



福田:
カーチェイス!? 日本で!?

新野さん:
建設会社で働いている20代の男性の案件だったんですけど、辞めるところまでは順調に進んだんですよ。

ただ、彼が会社から借りていた車を返せていなかったんです。

本人は「親方が怖いから絶対に会いたくない」と言っていたんですが、我々が代わりに返しにいくわけにはいきません。

なので、「バレないように会社の駐車場に置いてきてください」ってお伝えしました。

…そしたら、駐車場に親方が待ち伏せしていたそうです。

福田:
やばい。

新野さん:
本人もびっくりしてそのままUターンして逃げたんですが、親方も別の車に乗りこんで追いかけてきたんですよ。

そこから20〜30分くらい追いかけまわされたと。

福田:
刑事ドラマでしか見たことのない展開だ…


親方は仲間を呼んで、2〜3台くらいで追っていたそうです

新野さん:
結局彼は、近くのスーパーの駐車場に車を止めて、キーを刺したままにして逃げたんですが、駐車場から出るところで親方に追いつかれて捕まってしまいました

福田:
ええ!? 彼は無事だったんですか?

新野さん:
無事でした。実は、親方は全然怒ってなくて「いや、逃げなくていいじゃん! ちゃんと言ってくれればいいのに」みたいな感じだったんですよ。

本人が勘違いして勝手に逃げちゃっただけなんです。


「あの時はビビりましたね…」

ツッコミ4:みんなに“辞めグセ”がついちゃうんじゃないの?

福田:
こんなに退職が気軽にできるようになっちゃうと、みんなに“辞めグセ”がついちゃうんじゃないか?って思うのですが…

新野さん:
そこは非常にポジティブに捉えていて、個人にとっては辞めたいと思う職場があったら、すぐに辞めたほうがいいですよね

会社にとっても人材ミスマッチの早期解消になりますし。

岡粼さん:
我々からしたら、辞めたいのに辞められないということの方が危険だと思っています。それがうつ病や最悪の場合自殺に繋がってしまうかもしれません。

「EXIT」のユーザーのなかには、仕事が辛くて、自殺未遂をされていた方もいたんですよ。

新野さん:
退職で一番辛いのって、「周りに言いづらい」ってことですよね。それを我々が代行することで、その人の辛さを取り除ければと思っています。

このサービスは人の命を救えるものなんですよ。



新野さん:
それに、斜陽産業にいて辛い思いをしている人の退職を手伝って、彼らが成長産業に転職したら日本の経済はもっとよくなると思っているんですよね。

そのくらい、このサービスには可能性がある。

福田:
人の命から、日本の経済成長まで…! 

では「EXIT」というサービスは今後どうなっていくんですか?

新野さん:
退職だけじゃなく、辞めた後のサポートもしたいなって思っています。

今ちょうど、人材紹介会社と連携して、再就職のお手伝いをする準備中です。

岡粼さん:
あとは、仕事というシチュエーション以外に、もっとほかの“辞めたい”と思うことを手助けするサービスが出せたらいいなって思います。

たとえば離婚とか、PTA退会とか「みんなが辛いな、辞めたいな」と思うことに対して、僕らに何かできることがあるんじゃないかなって思いますね。

福田:
なるほど、イヤな思いをしている人を助ける…とても大きなミッションだと思います。

今日はありがとうございました!

「EXIT」は働く人々の命を救えるサービスだと知った今回のインタビュー。「気軽に退職」が、「日本の経済を成長させられる」というところまでつながっているとは思いませんでした。

働き方が見直されているといっても、まだまだ仕事や職場環境に悩まされている人が多いかもしれない現在。もしこの記事を読んでいるあなたの周りに「会社を辞めたいけど、言い出せない…」と悩んでいる方がいたら、ぜひこの記事をシェアしてあげてください!

〈取材・文=福田啄也(@fkd1111)/撮影=宮内麻希(@haribo1126)〉

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