【世界の絶景】一度見たら忘れられないアゼルバイジャンの首都バクーの奇抜なザハ建築「ヘイダル・アリエフ・センター」
カスピ海に面したコーカサスの国、アゼルバイジャン。
日本人にはあまりなじみのない国ですが、産油国アゼルバイジャンは近年建築ラッシュ。「コーカサスのドバイ」とも呼ばれるほど、モダンで前衛的な建物が次々と建てられています。
アゼルバイジャンを代表するモダン建築のひとつが、首都バクーにある「ヘイダル・アリエフ・センター」。2012年5月にイルハム・アリエフ大統領が出席し、正式に完成のお披露目が行われました。
「ヘイダル・アリエフ」とは、1993年から10年にわたって第3代アゼルバイジャン大統領を務めた前大統領で、現在のイルハム・アリエフ大統領はその長男にあたります。
その独創的なデザインから、ヘイダル・アリエフ・センターは瞬く間にバクーのアイコンとなり、世界の建築・アート好きも多く訪れる人気スポットとなりました。
総面積57519平方メートルの広大なカルチャーセンターで、館内にはアゼルバイジャンの歴史や文化、ヘイダル・アリエフ前大統領の個人史を紹介するミュージアムのほかに、企画展が行われる美術館やコンサートホールなど、さまざまな文化施設が設けられています。
このヘイダル・アリエフ・センターを手がけたのは、実は日本でも話題になった人物。
彼女こそ、新国立競技場設計の国際コンペで一旦選ばれたものの、2500億円を超える建設費に非難が集中し、建設計画が白紙撤回されたザハ・ハディド氏です。
ザハ・ハディド氏はイラク生まれのイギリスの建築家で、2002年に大英帝国勲章コマンダー (CBE)を受章、さらに2004年には女性初のプリツカー賞を受賞するなど、現代の建築界をリードしてきた巨匠。2016年3月に急逝するまで、日本を含め世界各地に斬新な建築物の数々を残しました。
著名な作品も多い一方で、デザインが奇抜すぎるあまり、コンテストで優勝しても建設には至らなかった例も多く、「アンビルト(建たず)の女王」の異名もとっていたほどです。
ヘイダル・アリエフ・センターは、アゼルバイジャンのオイルマネーがあったからこそ実現したプロジェクトだといえるでしょう。
広大な人工芝に囲まれた真っ白なヘイダル・アリエフ・センターは、貝殻のような、宇宙船のような、なんとも不思議な形をした建造物。
これがまた、見る角度によってまったく異なる姿を見せてくれるのです。
真横から見ると魚のようなフォルムですが、斜め横から見ると中央が盛り上がったキャンディのような姿に。
正面は曲線の内部がガラス張りですが、正面から右に回り込めば、一面が真っ白。
さまざまな表情を見せてくれる複雑な曲線づかいが生み出す造形美に、ただただ圧倒されます。
正面のガラスにバクーのビル群が映りこんでいる光景も幻想的。
距離や角度によって多彩な景色が楽しめるよう、計算し尽くされているのがわかります。
周囲の芝生にはカラフルなカタツムリやウサギなどのオブジェが点在し、真っ白な建物をさらに引き立てています。
カタツムリとビル群のコラボや、ウサギとヘイダル・アリエフ・センターのコラボ。
あちこちにフォトジェニックな光景が広がっているこの場所は、建築好き、アート好きのみならず、写真好きにとってもたまらないスポットです。
ヘイダル・アリエフ・センターから階段を下った先にある芝生には、「I love Baku」のオブジェがあり、観光客に人気の撮影ポイントとなっています。ハートが「love」と「Baku」の「B」の両方を表現しているところが面白いですね。
外観とその周辺だけでも一見の価値があるヘイダル・アリエフ・センターですが、入場券を購入した人だけが入れる内部も見ごたえがあります。
外観同様、曲線づかいが際立つ近未来的な雰囲気は健在。
アゼルバイジャンの伝統衣装や遺跡からの発掘品、バクーを代表する建築物のミニチュア、アゼルバイジャン内外から集めた人形など、ザハ建築ならではの造形美とともに、3フロアにまたがる多岐にわたる展示が楽しめます。
時期によって入れ替わる企画展も開催されており、筆者が訪れた際には、アルフォンス・ムハ(ミュシャ)の展示が行われていました。
館内に点在するオブジェにも注目で、1階のホールには草間彌生氏が2011年に制作した「明日咲く花」のオブジェがあります。思いがけず、日本が誇る世界的アーティストの作品に出会えるなんて嬉しいですね。
外も中も楽しめる、ヘイダル・アリエフ・センター。
今やバクーを代表する観光スポットとなったこの場所で、アートでフォトジェニックなひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
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