「インド」

そう聞くと、遠い、暑い、治安が悪いなど、面白そうではあるが「旅行しづらい」という印象が、どこか頭に浮かんでしまうのではないだろうか。

今回は、そんな皆さんに朗報だ。

日本から比較的近く、治安の良いシンガポールに、魅惑の国インドを感じることのできるエリアが存在するのだ。それが今回紹介する、「リトルインディア」だ。

ここはその名の通り、サリーを着た女性たちが行き交うインド人街。道行く人、街並みなど、本当にインドに迷い込んでしまったかのような気分を味わえる。MRTリトルインディア駅、またはローチョー駅から徒歩5分と、アクセスも良い。

駅を出たら、まず、リトルインディアアーケードへ行ってみよう。

このアーケードには、インド音楽のCDショップ、インド雑貨や小物の店、インドの布地を売る店などが入っている。インド特有のカラフルな品々は、見て回るだけでも楽しめるだろう。中にはヒンドゥー教徒が寺院でお祈りをする際に欠かせない、黄色いジャスミンの花輪を売る店もある。

アーケードを出て右手の、セラングーン通りへ足を延ばせば、通りに並んだ店から聞こえてくるインド音楽と、呼び込みをする店員の威勢のいい声に、ここリトルインディアの活気を感じることができるだろう。

リトルインディアの中でも、とりわけおすすめしたいのが「スリ・ヴィラマカリアマン寺院」だ。先ほどのセラングーン通りをそのまま北東へ3分程行くと、左手に、鮮やかに彩られた神像のひしめき合う屋根(塔門)が見えてくる。

これがスリ・ヴィラマカリアマン寺院だ。

この寺院は、殺戮と恐怖の女神「カーリー」を祀ったもので、鮮やかに彩られた南インドのドラヴィダ様式となっている。

寺院内だけでなく、ぜひこのそびえ立つ塔門にも注目してみてほしい。

遠目に見てもその極彩色の神像たちは美しいが、近くで見るとより一層、細部まで作りこまれたヒンドゥー教の神々や戦士、動物などを楽しめるだろう。

入口で靴を脱ぎ中に入ると、前方に並んだ3つの祭壇が目に入る。左から順に、ガネシャ、カーリー、ムルガンを祀ったものだ。

この寺院の主神である、真ん中のカーリーの名は、サンスクリット語で黒を意味する。神話ではその肌の色は黒とされているが、神像などでは青色に塗られることが多い。

入り口付近を振り返れば、僧侶がダマルを叩き、シャハナーイという笛を吹きながら、インドらしい祭礼の音楽を奏でている。

鮮やかな服をまとった信者達が、果物や花を捧げ熱心に祈る姿も印象的だ。

ここ、リトルインディアは、その名の通り、インドの魅力がぎゅっと詰まった、小さなインドそのもの。シンガポールを旅行した際に立ち寄ってみるのはもちろんのこと、インドをもう少し手軽に感じてみたい人も、ぜひ一度訪れてみてほしい。

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