子育てと仕事の両立についてどう感じているのでしょうか(写真:monzenmachi/iStock)

昨今、働き方改革が叫ばれてはいるものの、依然として家事・子育てと仕事の両立は簡単ではないのが現状です。本稿では、子育てと仕事の両立に取り組む既婚者および同じ職場で働く人たち双方の意識をたずねた興味深い調査結果を、2回に分けて紹介します(本記事は第2回、前回は『妻が温度差を感じる「イクメン度自己評価」』)。今回のテーマは「子育てと仕事の両立をめぐる職場環境」です。
なお、本稿記載のデータは、(株)明治安田生活福祉研究所が行った「出産・子育てに関する調査」の調査結果を使用しています。

これ以上家事・子育ての負担を増やしたくない

子育てと仕事の両立について、まずは家庭の中での家事・子育てについて、夫婦がどのくらい負担を感じているかを見ていきます。子どもがいて現在仕事をしている25〜44歳の既婚者に、家事・子育てに携わっている日常の中で、「仕事に加えてこれ以上の家事・子育ての負担には耐えられないと思うか」をたずねたところ、男女とも末子の年齢にはかかわりなく、男性は「どちらかと言えば当てはまる」が4割台であるのに対し、女性は約7割となりました。


仕事と子育ての両立のためには、職場からの理解・協力があるのとないのとでは大きな差があります。それでは、実際に職場で子育てについて理解・協力してくれるのは、どのような立場の人なのでしょうか。

男女とも子育て経験のある同性の上司や同僚

現在、子どもがいて正社員または非正社員として仕事をしている25〜44歳の既婚者に、「自分の職場で、子育てについて理解・協力してくれるのはどのような人か」をたずねたところ、男性で最も割合が高いのは「子育てを経験している男性の上司」で、約5割となっています。次に、「特にいない」、「子育てを経験している男性の同僚」がそれぞれ2〜3割と続きます。

一方、女性で多いのは「子育てを経験している女性の上司」と「子育てを経験している女性の同僚」で、それぞれ4〜6割です。「子育てを経験している女性の上司」は20代後半56.4%に対し40代前半37.8%と、年齢層が低いほど割合は高く、「子育てを経験している女性の同僚」は20代後半44.2%に対し40代前半54.3%と、年齢層が高いほど割合は高くなります。また、「子育てを経験している男性の上司」は約3割、「特にいない」は約1割と、それぞれ男性より低くなっています。


男女とも、自分の子育てに理解・協力してくれるのは、子育て経験のある同性の上司で、女性の場合は、これに子育て経験のある同性の同僚が加わります。

育児休業取得の希望は、男性7〜8割・女性8〜9割

近年、男性の育児休業の取得を、ワーク・ライフ・バランスの中での重要施策として促す企業が増えているようですが、実際に育児休業を希望する人はどのくらいいるのでしょうか。

子どもがいない25〜44歳の既婚者・未婚者のうち、子どもが欲しい気持ちがある・あった男女に対し、「今後、子どもが生まれた場合に、育児休業を取得することについての気持ち」をたずねたところ、「ぜひ育児休業を取得したい」と「できれば育児休業を取得したい」を合わせると、男性7〜8割・女性8〜9割となっています。

「ぜひ育児休業を取得したい」割合について見ると、男性よりも女性のほうが取得意欲は強く(男性約2割・女性4〜6割)、女性のうちでは30代前半の子どもがいない既婚女性の取得意欲が最も強い(58.3%)ことがわかります。


子どもがいない25〜44歳の既婚者・未婚者のうち、「あまり育児休業は取得したくない」または「育児休業は取得したくない」人に、育児休業を取得したくない理由をたずねたところ、男性では「収入が減り家計が苦しくなるから」の割合が最も高く(子どもがいない既婚者64.4%・未婚者58.1%)、次に「配偶者が育児休業を取るから」(子どもがいない既婚者38.6%・未婚者17.9%)、「自分の仕事を代替してくれる人がいないから」(子どもがいない既婚者28.8%・未婚者30.4%)が続きます。

一方、女性では「家事や子育てに自信がないから」(子どもがいない既婚者28.7%・未婚者24.8%)と「収入が減り家計が苦しくなるから」(子どもがいない既婚者28.7%・未婚者23.9%)がほぼ同水準で並びます。

また、未婚女性のほうが、職場での子育て支援制度が十分ではないという思いが強いようです(子どもがいない既婚者4.3%・未婚者11.1%)。

さらに、子どもがいない既婚女性よりも、未婚女性のほうが「育児休業を取ることで職場での評価や昇進、配属などで不利な扱いを受けそうだから」の割合が高くなっており(子どもがいない既婚者4.3%・未婚者11.1%)、未婚女性としては、出産・子育てが職場における自分のキャリア形成に与える影響を不安視している様子がうかがえます。


復帰後のポスト・仕事内容によって満足度に大きな差

それでは実際に育児休業を取り、その後仕事に復帰した人は、復帰後のポストや仕事内容、年収がどう変化し、復帰後の仕事の満足度はどうだったのでしょうか。

まず、第1子の産後休業後または育児休業後に仕事に復帰した女性のうち、復帰後のポスト・仕事内容が「まったく同じだった」人は64.4%、「悪いほうに変わった」人は21.0%、「よいほうに変わった」人は14.5%となっています。

この女性たちに復帰した後の仕事に対する満足度についてたずねたところ、「満足」と「どちらかと言えば満足」と回答した割合を合わせると、復帰後のポスト・仕事内容が変わらなかった人で約7割です。また、復帰後のポスト・仕事内容がよいほうに変わったと思う人で「満足」21.1%・「どちらかと言えば満足」65.8%であるのに対し、悪いほうに変わったと思う人では「満足」1.8%・「どちらかと言えば満足」26.1%とかなり低くなっています。