【MLB】まだ2か月も…米メディア、困難に挑む大谷を評価 二刀流は「無条件で成功」
成績が低下しても評価は揺らがず? 「2か月が経過し、疑念はほとんど残っていない」
6日(日本時間7日)の本拠地ロイヤルズ戦で今季9度目の先発登板に臨むエンゼルスの大谷翔平投手。投手としては、5月は4試合登板で2勝0敗、防御率2.16、25イニングで31奪三振という好成績をマークしており、状態を上げてきている。一方で、打者としては打率.289と3割を切り、内野が右寄りに守る“大谷シフト”にかかるケースが多くなるなど、やや下降気味だ。ただ、米メディアはここまでのパフォーマンス、そして、二刀流という難しいテーマに挑みながらインパクトを残していることを高く評価した上で、今季については「無条件に成功だ」と断言。仮に疲労などでここから成績が落ちても、大谷に対する評価は揺らがないという。
大谷についての特集を組んだのは、米スポーツメディア「ジ・アスレチック」だ。「当初の懐疑論に反し、23歳のロサンゼルス・エンゼルスの二刀流はメジャーリーグキャリアの最初のたった数か月で期待を上回っている」とのタイトルで伝えている。
記事では、開幕前には大谷が「謎」の存在だったと指摘。「23歳の日本のスターは、建前では打撃も投球もオールスターレベルの二刀流と宣伝されてアメリカにやって来た」という中で、オープン戦では打率.125、防御率27.00と苦戦し、「開幕マイナー」を危惧する声まであがっていたことを紹介している。
だが、「2か月が経過し、疑念はほとんど残っていない」という。「シーズン最初の1/3の期間で、オオタニはベーブ・ルース以来の二刀流というだけでなく、現在のメジャーリーグで最も優れた選手の1人であることを確立した」「彼は文句なしに今季の球界最大の話題である」などと言及。二刀流のため、どちらも比較の対象とはならないかもしれないが、ブライス・ハーパーの.882を上回るOPS(出塁率+長打率).907、そしてスティーブン・ストラスバーグの3.20よりも良い防御率3.18をマークしているとして、投打での活躍を手放しで称えている。
大谷は開幕直後に爆発的なスタートダッシュを切ったが、特に最近は打撃成績を少し下げた。相手チームの研究も確実に進んできている様子だ。それでも、記事では「忘れられない今季最初の1週間の後、全国ニュースから大谷の名前が消えても、彼は優秀であり続けた」と言い切る。
大谷は「二刀流をオールスターレベルでこなすことが本当に可能であるということを示した」
「オオタニは完璧な選手ではない。左腕に苦戦しているし、いつも制球が良いわけではない」
「もちろんオオタニがシーズンを通してこの歴史的な成績を維持するとは限らない。彼の打率はすでに下がってきているし、投手の成績も簡単に落ちるかもしれない」
特集では、このように率直に指摘もしているが、それで評価が揺らぐようなことはないというのだ。それだけのインパクトはわずか2か月で残したということになる。
「現時点で、1910年代にベーブ・ルースがレッドソックスで投手と外野手としてプレーした以来となるパフォーマンスを見せている」
「オオタニは現時点で期待を著しく上回っていて、今後打率が20ポイント下がろうが、防御率が0.5上昇しようが、それでも無条件に成功だと、この10年で最も素晴らしい野球選手の1人だと言えるであろう」
「ここから、オオタニの名声は高まっていくだろう。オオタニのユニークさと注目度により、今季の成績がどうであっても、オールスターの候補になったであろう」
特集には大谷への賛辞が並ぶ。さらに、日本ハム時代の起用法を引き継ぎ、絶妙なバランスで使い分けて二刀流での成功を引き出しているエンゼルスについても「実行可能なバランスを見い出したように思える」と評価している。
日本で絶大なインパクトを残した大谷が、海を渡った後も二刀流を続けることで、メジャーの野球までも変え始めていることは確か。開幕前に二刀流は不可能と指摘していた多くの人が実際にプレーを見て自身の意見を変え、困難なテーマに挑む大谷に心を動かされ始めている。
「オオタニの最初の2か月は、二刀流をオールスターレベルでこなすことが本当に可能であるということを示した。オオタニが最終的にMVPになるかどうか、長期的に二刀流を続けるのかどうかに関わらず、彼は序盤の成績だけで現代の野球において何が可能なのかを再定義させた」
特集では、二刀流が可能かどうかについて「球界はその答えを見つけた」と結論づけている。開幕からわずか2か月。まだシーズンを通して活躍したわけではない。それでも、大谷がダイナミックなプレーで与えてきたインパクトは間違いなく大きい。(Full-Count編集部)