おごられて生きる…!? 21歳・無職・既婚の“プロ奢ラレヤー”に価値観を揺さぶられた
いつものように家でゴロゴロしながらTwitterを漁っていたら、「プロ奢ラレヤー」(@taichinakaj)という名の謎のアカウントを発見しました。しかも「21歳・既婚・住所不定」らしい。
超、気になる。取材したい。
しかしツイートを見てみると、「3日後にジャカルタに飛ぶ」的なことをつぶやいているではないですか。早急にアポを取らねばとTwitterで連絡したところ、すぐに返信が。
まさかの当日。スピード感が凡人じゃない。というわけで、すぐにお話を伺うことができました!
収入の詳細は「わからない」。夫婦でおごられて生きている
ライター・森:
急なお願いにもかかわらず、ありがとうございます! “プロ奢”さんはお名前の通りおごられて生活しているんですか…?
Twitterで「池袋、誰か奢れ!」ってつぶやいたりしてますけど。
出典 https://twitter.com
プロ奢ラレヤー:
確かにメシをおごられることはよくありますね。
ライター・森:
「プロ奢ラレヤー」になったのは、いつ頃からなんですか?
プロ奢ラレヤー:
半年前くらいですかね。2017年に出た、「VALU」という個人が株のようなものを発行して資金調達ができるサービスをすごく使ってたんですね。
で、『VALU生存教本』という電子書籍を書いたら、堀江(貴文)さんやキングコングの西野さんが宣伝してくれて、たくさんの人に買ってもらえたんですよ。
そこから並行して、片っ端からVALUのユーザーに会うようにしたんです。話して、VALUで投資してもらって…をずっと繰り返していたら、いつの間にか「プロ奢ラレヤー」になってましたね。
ライター・森:
収入源の内訳ってどうなっているんですか?
プロ奢ラレヤー:
うーん、わかんないっす。ナゾ。忘れちゃうんですよね。
覚えているのを挙げると、日記を書いて月に5万円くらいの“投げ銭”(noteなどのWebサービスでユーザーが金銭を受け取れる仕組み)をもらったり、個人スポンサーにもついてもらったりして、月に10万円は入ってきてますね。
ライター・森:
それはすごい… ちなみに、スロバキア人の奥さんがいるんですよね? 一緒に同じような生活をしているんですか?
プロ奢ラレヤー:
まあ彼女も働いてませんし、一緒の財布で生活をしているので、言い方次第では夫婦そろっておごられて生きているということになりますかね。
ライター・森:
奥さんも“おごられ”で養っていると…。すごすぎる。
おごられるのは「面白い人に会うための手段」
ライター・森:
そういった生活をする、目的は何なんでしょうか?
プロ奢ラレヤー:
別にうまいものが食いたいわけじゃなくて、メシはカロリー摂取が目的。極端にいうと食えればなんでもいいんですよ。
その代わり、「いかにカネをかけずにコミュニケーションをとれるか」を考えています。
ライター・森:
人とコミュニケーションを取りたいってことですか?
プロ奢ラレヤー:
そうですね。人間が好きなので、人間を“漁ろう”と思って。
僕を指して「変わった人間だ」と言う人は多いですが、あくまでやりたいことをやっているだけ。そのほうが普通じゃないですか?
ライター・森:
うーん…
プロ奢ラレヤー:
むしろ我慢して会社でやりたくもないことをできるほうが、生物としては変わっていると思うんですよね。だから他人にとても興味があります。
その中でも特に面白い人と効率よく会える手段をいろいろ試した結果、「プロ奢ラレヤー」と名乗って、おごられることを前面に押し出すことに行き着きました。
ライター・森:
なるほど。おごられることが目的に見えますが、あくまで面白い人と会うための手段なんですね!
プロ奢ラレヤー:
はい。自分が新しいことをやっていると、そこに飛び込んでこられる面白い人が寄ってくるんですよ。
“持ち主にとってのモノの価値”と“市場での価格”は違う
ライター・森:
ご飯以外にも、モノをおごられることはありますか?
プロ奢ラレヤー:
空き家をもらうとか、車をもらいかけるとかもありましたね。「僕へおごることが、投資になっている」という感じです。
ライター・森:
どういうことでしょう?
プロ奢ラレヤー:
「こいつに家をあげたら、なにか面白いことが起きるのでは?」と期待してもらってるんですよね。
ライター・森:
とはいえ、家をポンとあげるって結構なことですね。
プロ奢ラレヤー:
なんでですか? 確かに、家を手に入れるためにカネを仲介させると大変です。カネは汎用性が高くて、みんなが欲しいものなので。
だけどカネに変換せず、誰かにとっての余り物としての家をもらうだけなら、持ち主の心を動かせばタダでもらえますよ。
ライター・森:
「高価なモノはもらえない」と思うのが普通ですけど、余っているなら、むしろもらって感謝されるかもしれませんね。
プロ奢ラレヤー:
モノの価値って、“持ち主にとっての価値”と“市場での価格”が違うんですよ。そこに気が付けるかどうかが、カネのない一般人にとっては大事。
僕がもらってるものって、市場での価格は高くても、持ち主にとってほぼ0円のモノなんですよ。
何も人間性が伝わらない本名は“オワコン”
ライター・森:
ところで、「プロ奢ラレヤー」って面白い名前ですよね。この名前にしたのはなぜですか?
プロ奢ラレヤー:
んー、本名って“オワコン”じゃないですか?
ライター・森:
え…どういうことでしょう?
プロ奢ラレヤー:
僕、本名は中島っていうんですけど、「中島です」と名乗っても、人間性はなにも伝わらないじゃないですか。でも「プロ奢ラレヤーです」って言えばなんとなくわかりますよね。
ライター・森:
活動内容がわかると。
プロ奢ラレヤー:
特に僕がよく使っているTwitterでは、140字のつぶやきと一緒に見えるのはアイコンとアカウント名だけじゃないですか。
「プロ奢ラレヤー」という名前にしておけば、一瞬で最低限のことを伝えられて、より興味を持ってもらえるチャンスが広がりますよね。そんなことを考えて肩書きを自分でつくりました。
ライター・森:
たしかにそうなのかもしれない…
おごられるためには、とにかく移動すべき
ライター・森:
おごられることにとても興味が湧いてきたんですけど、どうやったらそんな風になれるんですかね。
意識してやっていることはありますか?
プロ奢ラレヤー:
まずはとにかく移動して珍しい体験をすることですね。さらに相手の欲しがっているモノを捉えて、ぴったりの話をするようにしてます。
ライター・森:
移動する、とは…?
プロ奢ラレヤー:
「アイデアの量は移動した距離に比例する」とか言うじゃないですか。
あれは正しいと思っていて、ほかの人が行ったことないところに行くだけで、ネタになるし、それがおごられる理由になるんですよ。
ライター・森:
なるほど。おごりに来てくれる人は、何が目的なんですか? みなさん満足しているとのことですが。
プロ奢ラレヤー:
「一緒にこういうことしたい」っていう提案を持ってくる人もいるし、でも大体は「ちょっと話してみたい」という人かな。
ネタさえ持っとけば“無限おごられ状態”ですよ。だからカネをもらったら、今度はそれをいかに希少価値の高いネタに変換するかを意識してます。
そうすれば、ただカネを貯めているよりも結果的に増えて、よりおもしろい体験ができるようになる。まあ、なにに投資するかはセンスが必要なんですけどね。
ライター・森:
ZOZOTOWNの前澤社長も「お金はどんどん使うことで増える」とおっしゃっていました!
予期せぬ体験を増やすために、月に3つ以上は予定を入れない
ライター・森:
「プロ奢ラレヤー」は当分続けるつもりですか?
プロ奢ラレヤー:
いや、わかんないですね。明日やめる可能性もなくはない。
今のところ楽しいけど、飽きたらやめます。あんま先のことは考えてません。
ライター・森:
面白いことをたくさんやるためには、計画を立てたほうがよくないですか?
プロ奢ラレヤー:
スケジュールはあえて埋めません。月に3つ以上、予定があるとダメ。
ライター・森:
1日ではなく、1カ月に3つですか!?
プロ奢ラレヤー:
だって、来週に東京で用事が入ってたら、今日からブラジル行けないでしょ?
ライター・森:
それは…そうですね。
(価値観が違いすぎる…)
プロ奢ラレヤー:
それってつまんないじゃん。来週に予定がなければ急にブラジルへ行けたかもしれないのに。未来の予定を決めれば決めるほど、予期せぬ面白いことを体験できる可能性が下がってしまうんですよ。
そういう考え方なので、スケジュールを埋める生活はできません。連絡はめっちゃくるんですけど、ほぼ無視してます。
ライター・森:
今日お会いできてよかったです(笑)。
プロ奢ラレヤー:
僕のようにSNSのフォロワーが1万人を超えてくると、急に誘いがきて、優先順位がころころ変わるんですよ。
ライター・森:
なるほど。SNSでどんどん連絡が来るんですね。
プロ奢ラレヤー:
目が覚める場所が、毎日のように違う人生のほうがいろんなことが起きて楽しい。だから僕はスケジュールをびっしり詰めるような生活はできません。
とりあえず明後日からジャカルタに行ってきます!
〈取材・文=森かおる(@orca_tweet1)/取材・撮影・編集=葛上洋平(@s1greg0k0t1)〉
取材協力/参考資料
プロ奢ラレヤー|Twitter
https://twitter.com/taichinakaj
プロ奢ラレヤー|note
https://note.mu/taichinakaji