料理をおいしく美しく仕上げるためには、下ごしらえが必須。一見面倒に思えますが、その意味と手法を理解すると調理に自信がもてるうえ、作業がはかどり、結果時短にも。もちろん食感や味もよく仕上がります。

ここでは、東京家政大学の青木幸子さんに、肉と魚、合計10パターンの下ごしらえを教わりました。料理がおいしくなる、肉の下ごしらえ

肉の下ごしらえには、包丁をつかった細かい作業がつきもの。ここで下ごしらえの方法を学んだら、実際に手を動かしてトライしてみることも大切です。●筋を除く


鶏のササミなどのかたくて細長い部分を「筋」と呼びます。
そこを下にして置き、包丁で肉を押さえながら、筋の片端をしっかり持って包丁でしごくようにして取り除きます。●筋切り


豚ロース肉や鶏モモ肉などは、肉と脂肪層の間にかたい筋があるので、包丁の刃先を使って、筋に直角に2、3mm幅の浅い切り目を入れます。●そぎ切り


包丁を寝かせ、左端からひと口大にそぐように薄く切ります。●細切り


まな板にはりつけるように肉をのばして置き、端から細く切ります。●肉をたたく


めん棒などで肉をたたくこと。肉の繊維がつぶれてやわらかくなり、焼き縮みも防げます。●タコ糸をかける


ローストビーフや焼き豚など、かたまり肉をタコ糸で軽く縛っておくこと。長時間加熱するときに形がくずれません。料理がおいしくなる、魚介の下ごしらえ

魚介の下ごしらえをきちんとすると、味や舌ざわり、見た目などがよくなります。料理のできをランクアップさせたいなら、必須のひと手間です。●エビの背ワタ取り


エビの背を丸くして持ち、頭から2、3節目辺りに横から楊枝を刺し込み、背ワタを引っかけてそっと上に引き出します。●アサリの砂出し


貝の表面の汚れを洗い落とし、海水と同じ濃度(約3%)の塩水に1時間程度つけ、皿などでフタをして砂を吐き出させます。吐いた砂を再び吸い込まないよう、ザルに入れて容器の底から浮かせておくといいでしょう。●塩じめ


生の魚に適量の塩をふること。表面に浮き出た水気はペーパータオルなどでしっかり押さえて除きます。身が引き締まって生臭さが抜けます。●タコの塩もみ


内臓を取り除き、たっぷりの塩を加えてよくもんでから水洗いすること。ヌメリがなくなるまで繰り返すと舌ざわりがよくなります。

【監修/青木幸子さん】
東京家政大学・東京家政大学短期大学部教授。著書に『おとなの「家庭科の教科書」』(笠倉出版社刊)などがある

<イラスト/大森巳加 取材・文/ESSE編集部>