Suicaも「ピッ」できるディスプレイ、シャープが開発。透明NFCアンテナ内蔵で19年量産
シャープは、SuicaなどのNFCカードを読み取れるディスプレイを開発しました。表示性能を損なうことなく、画面の全領域で読み取りが可能。2019年より量産開始を目指します。

●タッチパネル技術の応用で実現

Suicaをはじめとする交通系ICや、決済・認証分野で導入が進むNFC(近距離無線通信)。このリーダー機能を備えるのが同ディスプレイです。タッチパネル技術を応用した透明NFCアンテナを画面に配置することで、NFCリーダーとの一体化を実現したといいます。

また、画面上のどこでもNFCを読み取れる「ポジションフリー」も売り。応答速度は1秒以下だといい、通信に関してもFelicaの基準である「2.5cm以上離れても通信できる」を満たしているといいます。また、同時に十数枚のNFCカードを読み取れる複数同時検出にも対応します。





「従来のNFCはリーダーとディスプレイが別々。画面に『カードリーダーにタッチしてください』と表示されていても、どこにタッチすればいいか躊躇する場面がありました。これを一緒にしたら使い勝手がいいんじゃないかと。画面とアンテナを一緒にすることで、直接ここにタッチしてくださいと表示できます。ユーザーフレンドリーなUIを構築できるんです」(シャープ ディスプレイデバイスカンパニー本部長の伊藤康尚氏)



伊藤氏によると、同ディスプレイは自動販売機やPOSレジ画面のほか、カーシェア向けの車載ディスプレイ、アミューズメントなどあらゆる用途に活用できるとのこと。

「例えば、コンビニエンスストアなどでレジ周りは大切な場所です。ここにNFCリーダーを置くのはもったいない。画面と一体化すれば省スペースですっきりします。(中略)一等地というものには、特別な機能が置いてあるものです。例えばクルマでも、ダッシュボードの一番わかりやすい場所にディスプレイがあります。カーシェアの場合、そこにNFCリーダーが備われば、一番わかりやすい場所でユーザーの認証ができるんです」(伊藤氏)

▲NFC内蔵のトランプと組み合わせた例。カードの種類を識別できるので、ゲームにも応用できる


シャープは同ディスプレイのうち、NFCの読み取り領域を固定したバージョンを2019年に量産予定。どこでもNFCを読み取れる「ポジションフリー」製品は2020年以降の量産を目指すとしています。