「僕は、平均的な選手にはなりたくない。特別な存在の選手になりたいんです。だから、1、2点取ったぐらいじゃ満足できない。10点ぐらい取らないと。そういうとみんな笑うけど、本気でそれを目指すには毎試合10本シュート打たないといけない。そのくらいゴールを見てプレーすることが大事だと思うんです」
 
 10点?とこちらは唖然としたが、中島は本気だった。
 
 そういう選手がポルトガルに行き、結果を出したことに何の不思議もなかった。そのために日々練習し、準備をしてきていたのだ。
 
 そして今回、日本代表に招集された。ロシア・ワールドカップに向けての最終テストにもかかわらず、緊張することもなく、楽しそうにプレーし、ゴールを狙い、自分らしさを発揮した。マリ戦では結果も出した。それ以上に、何かをやってくれそうな雰囲気を醸し出してプレーしていたのは中島以外いなかった。
 
 マリ、ウクライナと戦って見えた課題を克服するためにポルトガルに戻り、さらに練習に励むだろう。その作業は引退するまで終わらない。「練習の虫」は、「練習は裏切らない」ということを自分の人生で証明してきているからだ。
 
取材・文●佐藤俊(スポーツライター)