東京・吉祥寺、井の頭公園の一角にある動物園、「井の頭自然文化園」で暮らしていたゾウのはな子が亡くなってから、2年近くが経つ。はな子が暮らしていたアジアゾウ舎は今でもそのまま残っており、空っぽのゾウ舎を眺めていると、さびしいような悲しいような、何とも言えない気持ちになる。

そんなゾウ舎の運動場(園内に面した屋外部分)を、2018年3月28日から4月1日まで特別開放すると、井の頭自然文化園が発表した。

在りし日のはな子(画像は2013年, uniunitwinさん撮影, Flickrより)

はな子が見ていた場所からサクラを

はな子が井の頭自然文化園にやってきたのは1954年。1949年に戦後初のゾウとして2歳(推定)のときにタイから来日。当初は上野動物園で暮らしていたが、7歳になって井の頭自然文化園に移った。当初は文化園左側にゾウ舎があったが、その後現在の位置(園内右手側)に2代目のゾウ舎が建てられたという。

それから60年以上、中型・小型動物が主に展示されている井の頭自然文化園の中では、珍しい大型動物として暮らしてきたが、2016年5月26日に亡くなった。亡くなったあともはな子を偲んでゾウ舎を訪れる人も多く、「生きているうちにもっと見ておけばよかった」との声がツイッター上などでは見られる。

そんなはな子が暮らしていたゾウ舎は、亡くなった後も一般公開されることはなく、記念館のような形で文化園内に残されていたが、今回初めて運動場部分を公開するという。なぜ、今公開することになったのか。

Jタウンネットが3月20日、井の頭自然文化園に取材を行ったところ、広報担当者は「特別な理由はありません」としつつ、次のように話してくれた。

「はな子が亡くなってから時間が経ち、はな子を思い出せるようにと考えました。サクラがきれいな時期でもあるので、はな子が来園したときにゾウ舎の周りに植えられたサクラを、はな子が見ていたのと同じ場所からご覧いただければと思います」

特にゾウ舎の解体などが予定されているわけでもない、とのことだが、現在は空になっており、使用されていない状態。そのため、今後の活用方法の検討は行われているという。

「仮にゾウ舎周辺をリニューアルすることになった場合、そのまま活用することは難しく、解体することになるかと思われます」

今後もゾウ舎の特別開放を行うかは決まっておらず、ひょっとすると今回が最初で最後の開放となるかもしれない。読者の皆さんも一度足を運んでみてはどうだろうか。