関連画像

写真拡大

文化審議会は3月5日、JASRAC(日本音楽著作権協会)が音楽教室から著作権使用料の徴収を認める答申をとりまとめた。この答申を受けて、ヤマハ音楽振興会など音楽教室でつくる「音楽教育を守る会」は「使用料徴収の是非について踏み込んだ判断をしてもらえなかった点で、大変残念だ」とする声明を発表した。

音楽教育を守る会は声明の中で、現在も具体的な徴収内容についての協議がないことから、JASRACが徴収を開始することは「不正義」と断じている。司法判断が確定したあとで、あらためて話し合って使用料規定を決めて、さかのぼって徴収すべきだとしている。また、文化庁長官に対しては、「不正義」を許さないよう、行政指導を求めている。

●両者に配慮した「答申」だった

音楽教室の著作権使用料をめぐっては、JASRACが昨年6月、音楽教室を運営する事業者から、受講料収入の2.5%を徴収する「使用料規定」を届け出て、今年1月から徴収する方針を示した。一方、ヤマハ音楽振興会などでつくる「音楽教育を守る会」は昨年12月、JASRACの徴収開始を保留するよう、文化庁に裁定を申し立てていた。

文化庁長官の諮問をうけた文化審議会は3月5日、「徴収開始を保留しないのが適当」とする答申をとりまとめた。事実上、JASRACによる徴収を容認しており、裁定日付でJASRACが届出た「使用料規定」を有効とするというものだ。

一方で、文化審議会は、音楽教育を守る会がJASRACを相手取って裁判を起こしていることを踏まえて、社会的混乱を引き起こしかねないとして、JASRACに対して、司法判断が確定するまでは使用料を請求したり、督促をしないように「期待する」としている。答申の内容は、両者に一定の配慮を示したかたちだ。

音楽教育を守る会は、弁護士ドットコムニュースの取材に「われわれの主張が通らず大変残念だ」としながらも「結局は裁判に勝てばいいことだ」として、引き続き法廷で全面的に争う姿勢をみせた。

(弁護士ドットコムニュース)