歩道を歩いていると、気にも留めないがどこにでもあるのがマンホール。世間で関心を集めるとすれば、「大雨でマンホールのふたが外れた」という類のものかもしれない。

だが、そんなマンホールのふたをカードにした「マンホールカード」があるのをご存じだろうか。Jタウンネット編集部は、カードを企画している「下水道広報プラットホーム(GKP)」に2018年1月17日、取材し話をうかがった。


東京都多摩市のマンホールカード・表面(下水道広報プラットホーム提供)

「下水道のイメージ改善と観光促進になる」

マンホールカードとは、各自治体に実在するマンホールのふたの写真と、場所、ふたのデザインの由来などを記したカードで、各自治体の下水道処理場、観光案内所などで無料配布されている。例えば、サンリオピューロランドのある東京都多摩市では、ハロー・キティが描かれたふたがカードになっている。


東京都多摩市のマンホールカード・裏面(下水道広報プラットホーム提供)

2016年4月に静岡県富士市などで30種類の配布を開始。以降、4か月に1度のペースで毎回40〜50種類が新たに配布されている。2018年1月現在、252自治体に、293種類あり、17日現在で配布140万枚を突破するなど、巷で流行っているカードだ。

国土交通省主導の下、下水道への理解を深めてもらうために活動するGKPと、各自治体が共同開発している。

マンホールカードはなぜ配布されているのか。GKPプロジェクトリーダーの山田秀人さん(42)は、

「下水道のイメージを高めるとともに、観光PRにつなげるため」

と話す。

一般的に、下水道のイメージは「汚い」などのように悪く、そもそも世間の関心も薄い。そこで収集できるカードを開発し、下水道に対し「良い」イメージを楽しみながら興味を持ってもらいたい、との理由から始まった。

また、マンホールは各自治体により、ふたのデザインが異なる。隣の市町村に行けば、自分が暮らす市町村とは異なるマンホールのふたがある。日本には約1700もの自治体があり、そのぶんだけのデザインが存在している。

だが、マンホールカードは1自治体につき1つだけ、とは限らない。1市町村につき複数種類のマンホールカードがあれば、カードをもらいたい人は様々な場所へと足を運ぶ。カードには、マンホールが置かれている緯度・経度が書かれている。これをスマートフォンの地図などに入力すると場所が表示され、写真と同じ場所に行くことができる。

それがやがてはその地域を知るきっかけともなり、観光促進につながるのだという。

実際、観光にも寄与している。もらいに行く人の約6割が、県外から訪れているのだそうだ。

山田さんは「マンホールカードは観光を動かすものだと思う」と強調し、マンホールカードが持つ観光効果を期待した。

配布は1人1枚までで、配布場所の詳細はGKP公式サイトに掲載されている。

写真を撮って投稿する姿が多く見られる

ツイッターでは、マンホールカードについて

と、マンホールカードの写真と一緒に投稿する人が多く、人気を呼んでいるようだ。