第8世代CPU搭載VAIO S13レビュー。独自チューンで高速化され第7世代モデル所持者は涙目
第8世代インテルCoreプロセッサー搭載のVAIO S11/S13が発表されました。すでに予約はVAIOストアやソニーストアオンラインで開始され、最短で1月26日に手に入りますが、一足早く触れたのでレビューします。筆者は、2017年9月に発売開始したVAIO S11を購入したので、正直涙目です。第8世代搭載モデルがこんなに早く登場するとは思いませんでした。まぁ、これまで使っていたVAIO Pro 11に限界を感じていたので、次の新製品が発売されたら買おうと思っていたため、第7世代だろうがいいやという気持ちではいたのですが......。ただ、今回ベンチを測ってその速度差を見てしまうと、やっぱり第8世代モデルが欲しくなっちゃいます。

今回お借りしたのがVAIO S11/S13 | ALL BLACK EDITION。特にデザインは変わっていないのですが、天板のロゴとヒンジ部分のシルバーだった部分が黒く塗られています。光の加減によってはロゴが見えにくくなりますが、どこから見ても「VAIO」と見えるよりは、個性を主張していると思います。

▲VAIO S11 | ALL BLACK EDITION。正面の写真だと違いがわからない。


▲こちらはVAIO S13 | ALL BLACK EDITION。


▲違いは、ロゴ部分とヒンジの部分、ゴム足が黒く塗られたバージョンになっている。

もともと、インターフェース部分は電源コネクターを除いて黒で統一されていました。排熱用フィンも黒く塗られている徹底ぶりです。本来は塗装せず銅板むき出しのほうが、排熱効率はいいのですが、銅板の色が見えてしまうのを嫌って塗装する選択をしています。


▲排熱用フィンは外からどうしても見えてしまう。それも黒く塗ることで目立たないようにしている。これは全モデル共通。

そして今回、第8世代プロセッサーのみに性能アップさせるチューニング「VAIO TruePerformance」(以下VTP)が適用されています。第7世代で適用しなかった理由について、VAIOによるとコア数が関係したそうです。

第7世代で採用されたプロセッサーはCore i7-7500U(2.7GHz/最大3.5GHz)とCore i5-7200U(2.5GHz/最大3.1GHz)で、いずれも2コア4スレッドでした。第8世代ではCore i7-8550U(1.8GHz / 最大4GHz)とCore i5-8250U(1.6GHz / 最大 3.4GHz)で、いずれも4コア/8スレッドとなり、動作周波数は低くなっていますが、そのぶんコア数が倍になっています。

電力を増やすと動作周波数が上がりパフォーマンスがアップしますが、1コアあたり同程度電力を上げても、周波数の増加は2コアより4コアのほうが大きくなります。1コアあたりのパフォーマンスアップが4コアの方が大きい上にコア数が多いため、第8世代プロセッサーだとかなりのパフォーマンスアップが期待できますが、第7世代プロセッサーの2コアではあまり旨味がなく、VTPの適用は見送られたわけです。

VTPの仕組みは、こちらの記事でもお話しましたが、インテルターボ・ブースト・テクノロジー2.0をより長時間高いレベルで継続的に動作させることで実現しています。このため供給する電力をアップさせるため電源強化とCPUパッケージパワーのリミット値を調整。それに伴い放熱用のヒートパイプの熱輸送力を従来モデルより33%向上させ、放熱用フィンの熱交換率を10%向上させることで高温になることを防いでいます。


▲CPU-Zでストレステストをした時の各コアの動作周波数を表示したもの。持続可能なパフォーマンスに落ちたとき、VPTオンとオフとでは、およそ200MHz違う。


▲VAIOの資料より。一度最大パフォーマンスで動作したあとは、持続可能なパフォーマンスに落として動作する。このときより高いパフォーマンスで動作させたのがVTPだ。

VAIO S13の第7世代モデルもお借りできたので、ベンチマークを実行してみました。VTPは、VAIOの設定ツールで「CPUとファン」で「パフォーマンス優先」にするとオンになります。今回は、「標準」と「パフォーマンス優先」を選択してVTPオフ/オンとして計測しています。また、第7世代モデルでは同様の設定で「パフォーマンス優先」にして計測しています。いずれも電源アダプター接続時の結果です。


▲パフォーマンス優先にするとVTPがオンになる。ちなみに、筆者が持っているモデルのVAIOの設定ツールの仕様が変わり、電源アダプター使用時とバッテリー駆動時で設定が変えられるようになっていた。


▲Cinebench R15での結果。

ご覧のように、Cinebenchでは第7世代と第8世代ではコア数が違うので圧倒的に違いますが、さらにVTPありなしで差が出ています。数値的にはあまり差がないように思われますが、動作時間でみるとかなりの差があります。


▲CPU-Zのベンチ結果。マルチスレッドではVTPオフの方が高くなったりしたが、計測時間が短いため最大パフォーマンスで動作しているため、あまり違いが出ない結果に。


▲3DMarkのTIME SPY 1.0でCPUスコアに着目。VTPオンとオフではかなりの差が出た。ちなみに、動作的にはカクカクして話にならないレベル。


▲PCMark10のベンチマーク結果。僅かではあるがVTPオン時が高くなった。

また、CPU-Zのベンチ結果の通り、短時間勝負なものではほとんど差が出ません。これは、インテルターボ・ブースト・テクノロジー2.0により、出だしは最大パフォーマンスで処理するため、その動作時間内だとVTPのオン/オフが関係なくなってしまうからです。持続的に処理するようなもの、たとえばエンコードやRAW現像とか長い時間負荷がかかる処理にはかなり効果的といえます。

とにかく、第7世代は軽く凌駕しVTPオンでさらにパフォーマンスアップが図られていることが、ベンチ結果を見ても明らかになりました。今回Core i5搭載モデルをお借りできなかったため比較はできなかったのですが、VAIOの発表によるとVTPをオンにするとCore i7でVTPオフのパフォーマンスを凌駕する結果が出ています。どちらも4コア/8スレッドであり、元々の性能差が小さいというのも逆転現象を生み出した要因でしょう。


▲VAIOのサイトより。Core i5のVTPオン時がCore i7のVTPオフ時より速い結果に。

もちろん、VTPオンにすれば、そのぶん電力を消耗するので、バッテリー駆動時間時間は短くなります。スペック上はS11が、約14.0〜15.0時間と第7世代モデル時の約14.5〜16.0時間と30分から1時間減。S13が約11〜12時間と第7世代モデル時の約11.5〜12.5時間から30分減となっています。重量もサーマル部品の追加により約10g増加していますが、ごく僅かな差なので問題ないです。

VAIO S11のいいところについては、こちらの記事で語っておりますかので、こちらを御覧いただきつつ、今回第8世代搭載モデルの登場により、さらに魅力が増したといえるでしょう。筆者は第7世代のCore i5モデルを購入したのですが、今回購入するとしたら、やはりCore i5モデルになるでしょう。先述のとおり、VTPオンにすればCore i7でVTPオフモデルを凌駕できるのが大きいですね。その分16GBのメモリーを積んで、LTEも積んで、指紋認証も積んで、という選択をお勧めします。VAIO S11/S13ともに、ほぼサイズが違うだけで、インターフェースも同じなので、持ち運び重視なのか、キーボードと液晶サイズ重視なのかで選択するといいでしょう。


▲VAIO Sシリーズの魅力は、キーボード周り。タイピングしやすいし、音も静かだし、指紋もつきにくいし、いいことづくめ。


▲SSDのCrystalDiskMark 6.0で計測。SSDは必ず爆速仕様を選択するように。

今回の特別モデルALL BLACK EDITIONは、Core i7搭載モデルのみなので、最高性能を満喫しつつ他の人との差別化をしたい人にお勧め。またS11だけに用意されたビンクも、実際見てみましたが、そんなにビビットでもなくいい感じの色合いなので、意外と女性だけでなく男性にもいいのではないでしょうか? iPhoneでローズゴールドを持っている人なら、合わせて購入するのもオススメです。

第7世代モデルを買った筆者が、涙目なのもわかるでしょ?

【ギャラリー】VAIO S11/13 (27枚)