映画「ハリー・ポッター」などにも登場した伝説の植物「マンドラゴラ(別名マンドレイク)」が、兵庫県内の観光施設で花開いたと報じられ、ツイッター上などで驚きの声が上がっている。

それは、マンドラゴラが小説やゲームなどに登場する架空の植物だと信じていた人が多かったかららしい。

引き抜くと叫び声を上げ、聞いた人は死ぬという伝説も

大きな青い葉の中に、可憐な小さい紫色の花が2輪咲いている。南あわじ市内にある「淡路ファームパーク イングランドの丘」では2017年12月19日、動物担当のスタッフが裏庭にある温室の中で偶然、マンドラゴラが花開いたのを見つけ、「えっ!?、えーっ 」と思わず叫んだ。


初めて咲いたマンドラゴラの花(以下、イングランドの丘提供)

マンドラゴラは、ヨーロッパの地中海沿岸などで育つナス科の多年草だ。栽培するのは難しく、花が咲くのは珍しいとされる。イングランドの丘では、15年以上前から植物園の展示用に1株だけ栽培していて、一向に花が咲かなかったため、スタッフも驚いたわけだ。

古くは薬草として利用されたというが、根には幻覚や幻聴などを起こす猛毒がある。葉も、ポテトチップスの一種のような臭いがするが、有毒だという。根は、人に似た形状に成長することもある。中世ヨーロッパの時代から、マンドラゴラを引き抜くと叫び声を上げ、それを聞いた人は死んでしまうとの言い伝えが残っている。

イングランドの丘では、5年前に一度枯れかけたが、スタッフが叫び声を聞かないよう耳栓をしてマンドラゴラを引き抜き、植え替えていた。


5年前に引き抜いたマンドラゴラの根

「この激レアな花を人目につかないところで咲かせておくのはもったいない!」。スタッフは、そう考えて、12月21日からコアラ館内の観覧通路入口付近で花が咲き終わるまで展示し始めた。

花は、4、5日で枯れてしまうが、27日ごろにまた別の2輪が咲いた。18年1月に入っても、次々に花開き、10日までに計9輪が咲いた。

ガラスケースにカギをかけており、引き抜きできない

1月10日夕現在も、数輪が咲いている。つぼみがまだ5つ残っているといい、今後10日〜2週間は花が見られるのではないかという。

マンドラゴラが咲いたことが10日に一部で報じられると、ネット上では、大きな反響を呼んだ。

関心が高まった結果、イングランドの丘のホームページへのアクセスが集中し、サーバーが一時ダウンするほどになった。

マンドラゴラを引き抜こうとする人がいるのではと心配されているが、イングランドの丘では、植木鉢をガラスケースの中に入れ、空気が通るようにメッシュのフタを被せてカギもかけている。今のところ、引き抜こうとする人はいないそうだ。

イングランドの丘で動物担当をしている後藤敦さん(35)は10日、「マンドラゴラが実在することを知らない人が多く、驚く声がたくさん出ていますね。根は、5年前に引き抜いたときは、人の形をしていませんでしたが、もしかしたら、今は人の形に成長しているかもしれません」とJタウンネットの取材に話した。