トヨタにホンダに川重…。人型ロボットの開発が再加速し始めた!
トヨタの玉置章文パートナーロボット部長は「T―HR3をそのまま日常生活に導入することは難しい。だがT―HR3を実現させた技術はあらゆる分野に展開できる」と説明する。
例えばT―HR3の操縦システムは上半身のリハビリに有効だ。システムを介してリハビリ用の動作を教えつつ、身体の動きや力を精密に測れる。リハビリ効果を解析し、個人に合わせたメニューを組むためのデータが得られる。
玉置部長は「目の前の課題を解決するロボット開発は当然やる。ただ、それだけでは蓄積できない技術がある。ヒューマノイドは長期の技術開発を引っ張る最良のテーマ」と強調する。
本田技術研究所は災害対応を目標にヒューマノイドを開発する。階段では腰を反転させ、膝が人間の逆に曲がる鳥脚で登る。がれき上は両腕をついて4本脚で歩く。屋外や雨でも動けるよう防塵防水機能も実現した。
川崎重工業は東京大学とヒューマノイドを開発した。産業用ロボのモーターを利用してコストを抑え、メンテナンス性を高めた。モーターの回転を直動に変換し、人体の筋肉のような動きで身体を動かす。東大の垣内洋平特任講師は「転倒しても壊れにくい」と説明する。
さらに油圧と電動を組み合わせて衝撃に耐える関節機構も開発。今後、ヒューマノイドに搭載して、より耐久性を高める。
民間企業が製品として機体を提供すると研究全体が加速する。産業技術総合研究所の金広文男ヒューマノイド研究グループ長は「機体開発は体力のある組織でなければ続けられなかった。1台しかない機体を壊さないように実験するのと、機体を壊れるまで酷使して実験するのでは研究のスピードがまったく違う」と指摘する。
さらに機体が安定供給されることで、用途開発やコンテンツ開発が促される。機体を持たない複数の組織が同じ方向を向いて長期投資できるようになる。
川崎重工の掃部(かもん)雅幸課長(神戸大学客員准教授)は「オールジャパンで進めたい。センサーや操縦インターフェースなど、大学や企業が得意技を持ち寄り世界で戦えるヒューマノイドを作りたい」と展望する。
(文=小寺貴之)
