移動中のトラックから6500万円相当のiPhoneを盗み出すルーマニアのギャング
AppleのiPhoneシリーズは全世界で12億台以上を販売していますが、最新の「iPhone 7」ならば税別7万2800円からと比較的高価な端末でもあります。そんな移動中のトラックから運転手に気づかれないようにiPhoneを盗みだす窃盗が話題となっています。
Romanian gang arrested for stealing $590,000 in Apple iPhones from a moving truck
オランダのゲルダーラント地方にあるエデのコテージで5人の男性が逮捕されました。5人はルーマニアのギャングで、移動中のトラックから59万ドル(約6500万円)相当のiPhoneを盗み出したとされています。5人が隠れていたコテージは盗み出したiPhoneを保管するための隠れ家として使用されており、窃盗に使用されたと思しきバンも見つかっているそうです。オランダのニュースメディアであるDe Telegraafによれば、iPhoneを盗み出したルーマニアのギャングは2015年初頭から活動を開始しており、17台のトラックや配送車を襲った可能性があるとのこと。
By closari
移動中のトラックからどうやってiPhoneを盗み出すのかというと、ターゲットとなるトラックの走行時にバンを後ろにつけ、バンの屋根から車外に出てボンネットからトラックにアプローチするというごく単純な方法がとられています。必要な人員はバンを運転するための運転手が1人、自動車の屋根をつたって滑り止めマットを敷いたボンネットからトラックにアプローチする人員が1人。ボンネット上の人員はトラックの後部ドアを専用のデバイスで破壊し、トラックの中に入ってiPhoneを盗み出す必要があります。なお、バンの上で待機している人員も1人必要なため、最小3人で窃盗は可能になるそうです。
なお、バンはトラックの後ろの死角に隠れるように走行しているため、トラックの運転手は泥棒に遭っていることも、すぐ後ろをピッタリ走るバンの存在にも気づかないそうです。また、窃盗は盗みを働くバンの他に、トラックを減速させるために1台、トラックの運転手が車線変更するのを防ぐのに1、2台の自動車を使うこともあるそうです。
By Jean-Etienne Minh-Duy Poirrier
また、窃盗はバンを視認しづらくして他のドライバーの目撃を避けるために夜間に行われるのがほとんどとのこと。なお、窃盗が行われたのはダイフェン・アイントホーフェン間の道路や、ダイフェン・ダイフェン間の道路がほとんどだそうです。
EDによると、トラックの後ろにピッタリと自動車をつけて窃盗を働くこの手法は「ルーマニアンメソッド」と呼ばれているそうです。2008年にドイツのトラック運転が被害にあったところから始まり、2014年以降はベルギー・ドイツ・オランダといった場所で同様の手法による窃盗被害が報告されています。ただし、ルーマニアンメソッドで窃盗を働いているのが今回逮捕されたグループのみなのか、複数のグループが採用しているのかは現時点では不明です。
なお、2012年5月にルーマニア警察がヘリコプターから「ルーマニアンメソッド」での窃盗の決定的瞬間を撮影しており、この映像を見ればどのように窃盗をはたらいているのかがよくわかります。
Imagini DIICOT hoti TIR-uri - YouTube
猛スピードでトラックに接近してくる1台のバン。
その屋根から人影が出現。
ひとりはボンネット上でトラックの後部扉に何かを行っており、もうひとりは屋根から上半身を出してボンネット上の泥棒を支えています。
しばらくしてトラックの後部扉が開いたように見えますが、ムービー中ではトラックの中に忍び込む姿は見られませんでした。
手早く作業を済ませてトラックから離れていくバン。
iPadやiPhoneなどの高価な電子機器はこういった類いの窃盗の最大の標的であり、ギャングは電子機器メーカー向けの商品を運ぶ運送会社を攻撃することが多いそうです。警察はどの団体がどのような自動車をターゲットにしているかをほとんど知らないそうですが、ギャングたちがトラックの停留所などで運転手同士の会話に耳を傾けて何をどこへ運んでいるかの検討をつけていると推測しています。
なお、隠れ家で発見されたiPhoneは7月24日に窃盗されたものとされており、犯人は33歳から43歳の男性だそうです。