コンビニの「万引き」がなくならない。盗まれやすい商品の傾向とは
私たちの身近にあるコンビニの知られざる裏話を、業界の内情に詳しいライターの日比谷新太さんが紹介していく当シリーズ。前回の「発注ミス」の話題に続いて、今回取り上げるのは、コンビニにおける万引きの実態について。街の書店などでは、度重なる万引きによって閉店の危機に追い込まれているところも多いと聞きますが、方やコンビニも厳しい状況なのは同じなようで……。
万引き犯に狙われやすいコンビニの商品とは
コンビニも含めたあらゆる小売店が、その対応に苦心しているものといえば万引き。1件1件の被害は微々たるものですが、積もり積もれば大きな額となり、経営を圧迫する要因にもなりかねません。
その手口ですが、レジカウンターから死角になる場所で、商品をカバンなどに入れて持ち逃げするパターンが一般的。その際、トートバックなどの取り出し口が大きく開くカバンを活用することが多いです。
狙われやすい商品としては、おにぎり等の片手で持てる食べ物類や「ウィダーインゼリー」などの健康食品ゼリー、またはレジ横に陳列してあるタバコなど、手にしやすい小さなものが多い傾向です。また女性の万引き犯だと、ネイル・口紅などのメイクアップ化粧品。さらに比較的高価(1000円〜3000円)で、オークションなどで転売がしやすいということで、スマホやケータイ用のモバイルバッテリーもよく狙われます。
また、換金がしやすいということで言えば、年末年始に売り出す年賀状も被害に遭いやすい商品です。店側としても、ターゲットになりやすいことは重々承知しているので、たいていはレジ前に設置した什器の上など、店員の目が届きやすい場所に置いておきます。
しかし、ある店舗に現れた2人組の万引き犯は、店内に堂々と1人が入ってきたと思いきや、年賀状が陳列されている什器をまるごと抱え上げて、そのまま店外へ。外でバイクに乗って待っているもう1人と原チャリ2人乗りで、アッという間に去っていったといいます。ここまで来ると、もはや万引きというより強盗ですが……。
最近は小学生による犯行も珍しくない
そんな万引き犯たちの人物像ですが、老若男女を問わずまさに多種多彩。最近では、小学生による万引きも珍しくありません。
とある店舗に、毎日のように来店していた小学生。いつも従業員の目を気にしながら、店内をウロウロしていたのですが、ある日チョコレートやカードゲームをカバンに入れていたところを、現行犯で確保されました。
これまでの犯行を聞き出してみると、過去にも複数回万引きを行っていたことが判明し、これは悪質だと判断。親御さんや小学校はもちろん、警察にもしっかり連絡をし、再発防止に向けて取り組んでもらうことになりました。自分の子供によるまさかの犯行に激高したお父さんが、「退学させる!」としきりに怒鳴っていたのが印象的だったと、対応した店員さんは語っていました。
いっぽうで、繁華街などにある店舗で多いのがホームレスによる犯行です。彼らが主に狙うのは、「ワンカップ」など小容量でアルコール度数が高いお酒。ただ店の外に持ち出した後に、店頭ですぐ飲み始めるケースが多いため、検挙率は高いそうです。
万引き対策は大声で「いらっしゃいませ!」
このように日々増え続ける万引き被害に対して、コンビニもただ手をこまねいているだけでは、もちろんありません。
なかでも即効性の高い対策が、防犯カメラの設置・位置変更・増設。併せて、防犯用ミラーの設置も検討します。しかしギリギリの採算でやっていて、そういった設備投資が厳しい店舗も多く、そういった場合はダミーのカメラを取り付けることも。そういう店舗では、狙われやすい高額商品をレジ前やレジから見えやすい場所に極力置くといった、レイアウトの工夫で万引きを未然に防ぐようにします。
また、お客さんが入店した際に、大きな声で「いらっしゃいませ!」と呼びかけるというのも、意外に効果的だとか。この時、お客さんの目を見て挨拶をすると、さらに抑止効果が上がるそうです。
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文/日比谷 新太(ひびや・あらた)
日本のコンビニエンスストア事情に詳しいライター。お仕事の依頼はコチラ→のメールまで: u2_gnr_1025@yahoo.co.jp
出典元:まぐまぐニュース!