日本でも増加中! 超年上妻×年下夫カップルは、婚活市場の新たな起爆剤となるか
ここ最近、年齢差のある年上妻と、年下夫のカップルが急増中。厚生労働省の「婚姻に関する統計」(2010年)の調査によると、初婚夫婦のうち妻が年上の構成比は、23・6%。長所・短所も含め、そんな年上妻の実態をご紹介します。女性が年上という選択も受け入れたら、婚活市場ももっと活性化するはず!
39歳の若さで史上最年少のフランス大統領となったエマニュエル・マクロン氏。エリート養成校「国立行政学院」(ENA)を卒業後、投資銀行勤務を経て大統領府入りを果たすなど、超エリートにしてイケメンな風貌が話題を呼んでいるけど、とりわけ世間の関心を集めたのが25歳年上のファーストレディー、ブリジットさん! マクロンが15歳、ブリジットさんが40歳のときにふたりは出会い、彼女はマクロンが通う高校の教師で、彼が所属した演劇部の顧問だったというからさらにビックリ。自由と平等と博愛を掲げるフランスといえども、さすがに規格外のカップルなのでは!?
「フランスには年配の女性がいくつになっても男性を意識するという文化や風習が根づいている」と教えてくれたのは、評論家にして官僚時代にENAへの留学経験を持つ八幡和郎さん。いくつになっても身だしなみや気品を大切にするフランスでは、年をとったからといって女性の価値が下がることはないのだとか。
「とはいえ、15歳からの思いを成就してしまったマクロンは例外といえる。興味深いのは、ブリジットが今でもマクロンを“指導”しているという点。演劇部の顧問だったという手腕もあり、演説のテキストのチェックから、スピーチの抑揚のつけ方まで教えているのだとか。夫婦ではあるけれど、先生と生徒という関係性は健在。そのあたりがマクロンが彼女に惚れ続ける理由でしょう」(八幡さん)
ブリジットさんは地元で有名なチョコレートメーカーを経営する一族に生まれ現在では服から小物まであの「ルイ・ヴィトン」(!!)がスタイリングを手がけるなど、まさにフランスのセレブの代表のような存在。
「フランス人はド・ゴールやミッテランのような、高い理想のもと権力を大胆にふるう人物に対し、いかにもフランス的だと称賛を与える。彼女のコーチングによって、マクロン人気がさらに飛躍することもありうる」(八幡さん)
年上女性を称える欧州特有の世界観
フランスには、ジョゼフィーヌとナポレオンという世界的な“姉さん女房成功例”があるだけに、ことさらブリジットさんの手腕に期待が集まる。
「ナポレオンしかり、もともとヨーロッパでは青年のお相手といえば年上……往々にして子持ちの既婚女性という構図は珍しくない」と続けるのは、歴史作家にしてフランス文学に明るい堀江宏樹さん。
「中世ヨーロッパの騎士道のロマンスが部分的に生きているとはいえ、当時の騎士道は基本的に肉体の愛はご法度。年上の貴婦人に騎士がプラトニックな愛を捧げるというスタイル。若い女性は結婚まで処女を守らなければならないという縛りのある社会だったので、恋愛は既婚女性だけが謳歌(おうか)できたわけです。それが転じて、年上の既婚女性が、若い男性に性教育を兼ねた性愛を教えるという構図ができあがったのです」(堀江さん)
その一方で「“好き”だけでは結婚までこぎつけられないといった人生のホロ苦さを若い男性に教えるというところまでがセットだった」と堀江さんは語る。確かに、ブリジットさんは3人の子を持つ母親。しかも当時は長女がマクロンの同級生という。そんな状況を知った多感な年ごろだったら非行に走ってもおかしくないような状況。当然、周囲は大反対するわけで、実際にマクロンは両親によって150キロ離れた別の高校に転校させられる。
「ところがマクロンさんの場合は、古式ゆかしい恋愛スタイルを踏襲しながらも、最終的に結婚までこぎつけてしまった。現代っ子でありながら、最後まで貫徹する意志の強さは、政治家に必要な要素。もしかしたら歴史に残るような優れた大統領になるかもしれませんよ」(堀江さん)
日本でも年上妻は重宝された!
実はここ最近、日本でも年齢差のある年上妻と年下夫のカップルが増加中。厚生労働省の「婚姻に関する統計」(2010年)の調査によれば、初婚夫婦のうち妻が年上の構成比は全体の23・6%。つまり約4分の1が年上妻ということに! しかも、そのうちの約25%が、4歳以上離れた年の差婚というデータもあるほど。
表(※外部配信先の記事にはありません)にあるように、昨今は芸能界でも超姉さん女房が増えてきている。自身も18歳年下の韓国人夫・ジョンウォンさんを持つ作家の岩井志麻子さんは、
「日本には、“年上の女房は金の草鞋(わらじ)を履いてでも探せ”なんて言葉もあったほど。もともと日本は年上妻万歳文化だったはず」と分析する。
「明治以前の日本社会では、子持ち女性は子どもを産む力のある女性として、純潔女性よりも付加価値のあった存在。近代になっても“一姫二太郎”と言われるように、しっかりとした長女がいたほうが男の子の成長によいといわれている。家族には、姉さん女房的な役割を担える存在がいたほうが円滑に進むんです」(岩井さん)
岩井さんご自身は、ジョンウォンさんとお付き合いしているときに、何か特別な気遣いを持って接していたのでしょうか?
「このまんまですよ! 人間って異性に安らぎとときめきを求めていると思うんだけど、彼はおばあちゃん子だったこともあり、ときめきよりも安らぎを求めているタイプでしたね。年上女性を好きになる男性って、より安らぎを求める人に多いのではないかと思います」(岩井さん)
そういえば、かのマクロン大統領も、両親が医師として多忙を極めていたためおばあちゃん子だったのだとか。
「安らぎや安心を求めている男性に、若作りをしても意味がない。だって、定食屋さんの肉じゃがを求めているのに、よくわからない創作料理店のチーズだらけの料理なんか出されても喜ばないでしょうに! 先日、詐欺容疑でタイで拘留された、山辺節子容疑者を見て安心感を抱きます? 自然体の姿だからこそ、安らぎを求める年下男性に好かれるんですよ」(岩井さん)
ギャップはある!? 年下夫の本音とは
気になるのは年下夫の本音。6歳上の妻がいる40代の男性に話を聞くと、
「ジェネレーションギャップはあるけど、わざわざ夫婦で思い出話をすることはないですよね。話の内容は最近起こったことや、今後どうするかといったことですから、必要なのは普通に会話ができる関係性だと思う」と、年の差を意に介していない様子。
また、人気のバウムクーヘン「マダムブリュレ」で知られる「マダムシンコ」の川村信子会長と、夫の川村幸治社長も、信子会長が20歳年上のおしどり夫婦としても有名だ。
幸治社長は、「妻のほうが人生経験が豊かなので、“一周回ってのところ”を知っている」と、ご自身の経験からひも解く。
「僕が調子に乗っているときなどブレーキを踏んでくれる存在です。“〇〇をしたら△△になるよ”と年の差があるからこその助言は思わず唸ってしまうほど。みなさんご存じのように、会長は個性の塊ですから(笑)、自分にないものを持っている。尊敬や安らぎを感じれば感じるほど、年の差は関係なくなるのでは」(幸治社長)
とはいえ、20歳年上ということで苦労したりすることはないのでしょうか?
「僕と同世代の友人たちが集まる場に会長を連れていくと、みんなが会長のパワーに圧倒されてしまう(苦笑)。結果、僕のほうが会長世代が集まる場所に行くことのほうが多いため、緊張するシーンが多くなることくらいですかね。でも、そういう場だからこそ、夫としても経営者としてもしっかりしなければいけないと再認識します。圧倒的にプラスのほうが多いですね」
年上妻には、年を重ねてきた人生の“豊かさ”や“深さ”がある。
「“年下夫は伸びる”と言われていますが、彼らは男のプライドを含めた変なこだわりを持たない“心の扉が開いている男性”だから伸びると思うんです。現代の日本人男性って閉じている人が多いですよね。彼らがもっと素直になれば、さらに年上妻と年下夫の夫婦は増える。
僕としては、女性のほうが年齢に対し気にしすぎているのではないかと思います。あの『源氏物語』でも、源典侍(げんのないしのすけ)という年増の女性が、光源氏と頭中将という富も地位もある美男子のふたりから恋の駆け引きを仕掛けられる場面があるのですが、作者の紫式部はそれを“年がいもなく……”といった視線で描くんですよね。女性同士のマウンティング精神が、年齢を欠点の材料としている気がします」(堀江さん)
最後に、岩井さんは追い風が吹いていると檄を飛ばす。
「小柳ルミ子さんが結婚したときは、“年下夫をつかまえて何をやってるんだ、けしからん!”みたいな風潮があったけれど、最近は“でかした!”という風潮に変わってきた。“女性は若いほうがいい”なんて旧時代的価値感が崩れつつあるということで、とてもいいことだと思うんですよ。それに安らぎを求める年下夫は、沽券(こけん)を保つために暴力をふるうなど女性が嫌がることをしないはず。年下夫が増えれば、平和な家庭も増えるのでは?」
超年上妻×年下夫のマッチングこそ、日本の婚活市場の新たな起爆剤になるかもしれない!?