フィフィが木村拓哉さんへの取材を回想し、独立する3人に「表現の幅が広がる」
木村拓哉さんは本当に“考える人”
一連のSMAPを巡る騒動のなかで、SMAPの元メンバーたちは被害者だという声も耳にしますが、私は彼らは被害者ではないと思うんだよね。
もちろん事務所とのあいだのいざこざに巻き込まれてしまったとは思う。だけど、そこには彼らの意思もある程度はあったんじゃないかと。
なぜなら、一番年下の香取さんももう40才。これくらいの年代になってきたら、歌って踊るアイドルグループという枠にとらわれることなく、それこそ個々で活動するなり、自分なりにいろんな表現の仕方をしてみたいんじゃないかな。そして彼らにはそれができると思う。
というのは、10年ほど前に私は、映画『HERO』の番宣企画で、木村拓哉さんにインタビューする機会があったんですね。周りを6人くらいの事務所の方たちが取り囲む中で、与えられた質問をしていったんです。
私が第一声で「フィフィって知っていますか?」と聞いたら、「知ってるよ、ファラオの申し子でしょ?」とおっしゃってくれたところから始まり、木村さんは社会問題でもある重いテーマについて、自らの哲学も語ってくれたんです。
もちろん哲学を語ると、どうしても色が付いてしまうため、その部分はオンエアではカットされてしまいましたが、本来設けられていたインタビュー時間を延長してまで喋ってくれたんですね。
このことは正直意外でした。
SMAPは、学業を優先させることもなく、常にアイドル第一でやってきた世代ゆえ、世の中のことには多少無知なところもあるんじゃないかと思われてしまう節もあります。実際、私もここまで木村さんが色々と考えている方だとは、それまで思っていなかったわけで。
2011年の震災を受け、自身の番組で義援金を求めたりする姿も印象的だったけど、少なくとも木村さんは、それ以前から社会についての自分なりの哲学をきちんと持った、考える人でした。
事務所を辞めることで、自分たちの言葉で語れることも増えるのではないか
今回3人がジャニーズ事務所を辞めるということで、ファンの方々もいろいろな不安を抱えているはず。だけど私は、これからは彼らが自分の言葉で語れる場所を持てるかもしれないということが楽しみでもあるんです。
タレントを守るためとはいえ、アイドルでここまで徹底した制約を設けているのはジャニーズ事務所以外、日本にほとんどないじゃないかっていうくらい、彼らが自分たちの言葉で語れるチャンスって少なかったんじゃないかな。
だからこそ、そこを辞めることによって、今まで見せることのできなかった顔を見せたり、自分の哲学で社会のことを語ってくれたりする機会も増えるんじゃないかと。
SMAP以前に一世を風靡したアイドルたちは、個々でやっていけるほど、個性は強くなかった。だけどSMAPは個性も強いし、木村さんをはじめ、しっかりとした考えを持っている。
だからきっとSMAPは、これまで同様、これからも日本の新しいスターの形を切り拓いていく存在になるはず。噂になっているアジア進出もそう。移籍したとしてもその先もあるよ、ということをみせてほしいな。
今回の一連の騒動も、ゴタゴタに巻き込まれているというより、むしろ彼らが一層伸びていくためのストラグルなんじゃないかな。
<構成・文/岸沙織>