なぜ京浜東北線は東北までつながっていないのか JR東日本と国交省に聞く
「京浜東北線」という電車の路線があるが、東北地方までつながっていないのはなぜなのか。そんな素朴な疑問がインターネット上に投稿され、にわかに注目されている。
J-CASTニュースは、同路線を運営するJR東日本と、鉄道事業を所管する国土交通省に取材してその理由を探った。
南は横浜から、北は大宮までをつなぐ京浜東北線
発端はあるツイッターユーザーが2017年6月19日、「『京浜東北線はなぜ東北までつながってないんや』 素朴な疑問」などと投稿したことだ。
京浜東北線はJR東日本が運営しており、南は横浜駅(横浜市)から、東京駅を経由して、北は大宮駅(さいたま市)までをつなげている。東京と横浜を通るので「京浜」は分かるが、「東北」については東北地方どころか北関東にも達していない。
首都圏のベッドタウンである神奈川県・埼玉県双方の巨大ターミナル駅をつなぐ路線とあって、京浜東北線の利用者は非常に多い。JR東日本がウェブサイトで公開している、最新2015年度版の駅別1日あたり乗車人数のデータによると、トップ10にランクインしている東京都外の駅は横浜駅(4位)と大宮駅(8位)のみだ。
首都圏の鉄道利用者にとってはなじみがある京浜東北線だが、名前につく「東北」に疑問を持っていたユーザーは少なからずいたようだ。ツイートには「最近まで東北まで行けると信じてた」「京浜大宮線と改名すべきでしょ」といった返信が届いており、4000件超の「いいね」が付いた。
「京浜東北線という名前は旅客案内上の通称」
なぜ京浜東北線なのに東北まで行かないのか。J-CASTニュースがJR東日本に取材したところ、広報担当者はこう説明する。
「京浜東北線の『東北』は、『東北地方』ではなく『東北本線』に由来していると聞いています。法律にもとづく届出上正式には、京浜東北線の横浜-東京間は東海道本線に、東京-大宮間は東北本線にそれぞれ含まれています。京浜東北線という名前は旅客案内上の通称なのです」
鉄道事業を営むには、鉄道事業法にもとづいて国土交通省に鉄道事業基本計画の届出をし、免許を受けなければならない。JR東日本の場合、横浜駅-東京駅と東京駅-大宮駅を含む区間でそれぞれ東海道本線、東北本線という名称で免許を得ている。なお東北本線は東京駅を始発駅に、東北地方である岩手県の盛岡駅まで続いている。
また、取材に答えた国土交通省・鉄道局・都市鉄道政策課の担当者によると、横浜-東京と東京-大宮の両区間で免許を得ている以上、これらをつなげた横浜-東京-大宮の区間で新たな届出をする必要はない。その理由を「届出の際は便宜上、東北本線や東海道本線などの『路線名』を記載しますが、免許がおりるのはあくまで『区間』だからです」と説明する。そのため、免許を得た区間内で京浜東北線を運行するのは問題がないのだという。