認知症を患う老犬の介護生活がインスタで話題「発作に痙攣とハードな毎日」
介護生活を送る飼い主さんにインタビュー
認知症を発症している16歳の豆柴しのと、しのに寄り添うネコのくぅ。“ほっこりする”と、話題になっている2匹を含めたネコたちの写真をインスタグラムに投稿しているのが、ひだまり日和さん(@hinatabocco.3)。
しのと、ひだまり日和さんの出会いは5年ほど前。
「迷い犬だったんです。保護したときに里親を探したんですが、見つからなくて。首から胸、お尻まで真っ赤にただれていて、皮膚病がひどかったのと、後ろ足が小刻みに震えて長い距離の散歩ができないような状態だったので」
当時、獣医師に11歳と推定されたしのは、先輩ネコ4匹のいるひだまり日和さんの家族となったことで、すっかり元気を取り戻していった。
1年後に保護され、同じく家族の仲間入りをしたネコのくぅとともに引っ越しを経験した3年ほど前から認知症の症状が出始める。
「壁に頭をぶつけて動けなくなったり、狭いところに入っていくけれど、自分では抜け出せなかったり、後ろに下がれなくなった姿を見て、“あれっ”と思いました。獣医さんに診てもらったら“認知症”と言われて。そのあとすぐに、ひどい痙攣(けいれん)を起こして倒れたんです」
突然のことに驚きながら再び獣医を訪ねると、老化した脳が萎縮して異常が起きているのだろう、効果的な治療法はなく、進行を抑えるサプリを飲むしかないと伝えられた。
初めて経験した発作と痙攣
「初めての発作のときは、ベロが真っ青になり、うんちもおしっこも垂れ流しの状態で死んでしまうんじゃないかと思いました。2〜3分で痙攣がおさまって立ち上がろうとするんですが、それができなくて鳴くんです。体を支えてあげると、起き上がって、そのまま部屋をグルグルと歩き続けました」
なぜか、早朝や朝日を見たときに痙攣を起こすことが多いと言う。
「最近は、前足が弱ってきたこともあって家の中でおしっこやうんちをしてくれるようになりました。以前は、トイレに行きたくなると早朝でも真夜中でも外に出たがったんです。日があるときは、目を手でおおったり、日陰を歩かせたりして気をつけていたんですが、それでも何度か倒れてしまって。犬用のサングラスを見つけてからは、それをかけさせてから散歩するようになりました」
1日8回食事をさせ、夜中でも1時間に1度トイレに
食事に関しても、3年前は平気だった固形のフードをいまは食べなくなったそう。
「皮膚病の療養食と総合栄養食を混ぜたウエットフードをあげていますが、ちょっとでも固形物があると上手に出すんです(笑)。最初は、床に置いたエサ入れから固形のフードを食べていたのが、白内障になったこともあって台の上に置いたエサを見つけられなくなって。いまは、スプーンでひと口ずつあげています」
ウエットフードは水分を含んでいるぶん、固形のものと違い、量に対しての栄養量が低い。体重を維持するためには、1日8回ほど食事をさせないといけない。また、水分が含まれているため、おしっこの回数も多くなる。生活が昼夜逆転してしまったいまは、真夜中でも1時間に1回はトイレで起こされている。
「実は、初めて飼った犬がしの。ほかを知りませんから試行錯誤です。とにかく、痛みも苦労もなく、ずっと元気で幸せでいてほしい。気をつけているのは、鳴かさないことですね。なにかつらいことがあるから鳴くと思うので」
食事に排泄、室内に作った円形のサークルを自力で歩行できるまで2〜4時間、体を支えてあげながら歩かせ、歩き疲れたら眠るというしのを見守る生活が続く。さらに、信頼のおける獣医師に診てもらうために片道1時間、車を走らせる。あまりのハードな生活に、体調を崩してしまったことも。そんなときに支えてくれたのが家族と、気分転換に始めたインスタグラムだった。
「投稿しないと、心配してくださった方からメッセージが届くんです。海外からも。
ネコたちの中でくぅだけが介護を手伝ってくれます。しのが困っていると教えてくれる。それに、くぅがそばにいると、しのはぐっすり眠るんです。私もすごく疲れたときは、くぅやほかのネコたちのお腹に顔をうずめて癒されています(笑)。そうすると、また頑張れるんです」