2017年1月13日に東京ビッグサイトで「Nintendo Switch」のプレゼン&体験会が開催された。このコラムでは、明らかになったNintendo Switchの情報をまとめるとともに、この任天堂の新型ハードがどのような狙いを持っているのか? を考察していきたい。

 

Nintendo Switchの発売日や価格をどう見る?

13時から全世界に向けて始まったプレゼン。ステージ上に任天堂の君島達己社長が現れ、発売日や価格などの基本情報が発表された。まとめると以下の4点になる。

●3月3日に世界同時発売

●日本での価格は2万9980円(税抜)

●海外のゲームも遊べるリージョンフリー

●オンラインサービスは当面無料だが2017年秋から有料予定

 

まずは発売日。3月下旬を予想していたので、3月3日はやや驚きだった。発売日までの短い期間でNintendo Switchの需要をどれだけ喚起できるのか? ゲームハードはスタート時につまずくと取り返すのに時間がかかる。3月3日という早めの発売日には、少々不安を感じる。

 

続いては価格。2万9980円という細かい刻みには、なんとしても3万円を切りたいという任天堂の強い意志を感じた。6.2インチのタブレット型で、ドックやコントローラもセットなのを考えると、2万9980円は本当にギリギリの価格設定ではないか。

 

ただ、ネット上では「高い」という声も多い。確かに、歴代の任天堂据え置きハードはスーファミからWii U(ベーシックセット)まで、すべて初登場時は2万5000円で発売されており、そこに大きな壁が存在した。今回、それが破られてしまった。なので、任天堂のハードとしてはやや高いが、タブレットとして考えると手ごろというのが2万9980円の評価だろう。

 

リージョンフリーとオンラインサービスの有料化はゲーム機市場の流れで、任天堂も他社に追随した格好だ。ただ、リージョンフリーに関しては、任天堂はこれまで地域の特性や文化を考慮してローカライズしてきた面があり、ついに一歩を踏み出したという印象。Nintendo Switchは携帯機と据置機の壁をなくすコンセプトだが、同様に国内と海外の壁も取り去ろうという意図がありそうだ。

 

Nintendo Switchの核となるJoy-Con、どう見る?

君島社長に続いて登場したのが、Nintendo Switchの総合プロデューサー・小泉歓晃氏。小泉氏からは主にコントローラ「Joy-Con」の機能が紹介された。Joy-Conは着脱式で本体ディスプレイの左右に装着するというのはプレゼン前に明かされていたが、ほかにもJoy-Conには秘密があった。

●モーションコントロール機能搭載

●多彩な振動表現が可能な「HD振動」

●「Joy-Con[R]」には「モーションIRカメラ」を内蔵

●「Joy-Con[L]」にはキャプチャーボタンを搭載

 

Joy-Conは小さいわりにかなり高性能。左右どちらにも加速度センサー、ジャイロセンサーが搭載され、「Wiiスポーツ」のような体感ゲームが楽しめる。しかも、「Wiiスポーツ」では画面に向かってプレイしていたが、今回のNintendo Switchは2人対戦時に相手と向き合って、「ピンポン」「ガンマン」などのゲームが遊べる(ローンチソフトの「1-2-Switch」に収録)。コントローラをデジタル玩具のように使い、画面はあくまでサブ。相手の顔を見ながら対戦するというのは、既存のゲームの常識をくつがえす新提案だ。

↑モーションIRカメラが搭載され動きや距離を感知する

 

ローンチタイトルと注目ソフト、どう見る?

プレゼンの後半はソフトの情報が占めた。注目ソフトをごく簡単にまとめると。

 

●「スプラトゥーン2」 2017年夏予定

●「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」 本体同時発売

●「ドラゴンクエストヒーローズI・II」 本体同時発売

●「スーパーマリオ オデッセイ」 2017年冬予定

 

Wii Uの末期に驚異的なヒットを見せた「スプラトゥーン」の続編が本体と同時発売ならば最高だったが、夏だとしばらくの間、ファンに様子見されてしまうのが痛いか。

↑「スプラトゥーン2」は夏発売

 

↑マリオは2017年冬のホリデーシーズンに登場予定

 

ローンチの目玉は、プレゼンでもトリを飾った「ゼルダ」の新作。体験会で20分ほどプレイできたが、背景は空気感があって美しく、この箱庭世界をもっと冒険したいという気持ちになった。「ゼルダ」新作で開幕し、夏の「スプラトゥーン2」へ。任天堂的にはこの流れにうまく乗って、スタートダッシュしたいところ。ソフトラインナップに関しては、量は少なめだが粒揃いと言えそう。

↑目玉のひとつ「ゼルダの伝説」最新作

 

↑体験プレイで箱庭的世界を満喫

 

プレゼンを見た感じ、Nintendo Switchは変幻自在のハード。プレイヤーのTPOにハード側が寄り添う、柔軟性のあるゲーム機に映った。また、ドックに差したり、Joy-Conを着脱したりと合体ロボ的なおもちゃ感も魅力。この部分はいかにも任天堂らしく、PS4との差別化も図れている。

 

成功か、失敗かは、ありきたりだがソフトにかかっている。ただ、今回のNintendo Switchには、屋内外でのプレイ、8人マルチプレイ、トイ感のあるJoy-Con、スマホ連携、過去の名作のオンラインプレイなど、成功につながる種や仕掛けがあちこちにまかれている。これを最大限に活かすソフトをどれだけ早く、的確に市場に出せるか。個人的には願いも込めて、成功の可能性が高いハードと結論づけたい。

↑本体を持ち運んで、続きをプレイできる点も魅力