1930年に民俗学者の柳田國男が出版した『蝸牛考』によると、「デンデンムシ(デデムシ)」「マイマイ」「カタツムリ」「ツブリ」「ナメクジ」などの呼称が、京都を中心に波紋状に分布していたそうだ。これを元に柳田が唱えた「方言周圏論」は、今も方言に関する重要な学説として知られている。

方言離れが顕著な現在、86年前の結果との比較を試みるべく、Jタウン研究所では「柳田國男『蝸牛考』を再考する」というテーマで都道府県別にアンケート調査を行った(総得票数721票、2016年9月28日〜10月25日)。

果たして結果は――。

京都では今なお「デンデンムシ」


「蝸牛のことなんて呼ぶ?」調査結果(Jタウンネット調べ)

結果は「カタツムリ」の大勝で、得票率66.6%(480票)だった。いまや「カタツムリ」の名が全国で標準化しているといえるだろう。大差をつけられたものの、「デンデンムシ(デデムシ)」が30.7%(221票)と健闘してみせた。

そのほかの候補に関しては「マイマイ」が9票、「ナメクジ」が2票と消滅の危機に瀕しているほか、「ツブリ」は0票と絶滅してしまった可能性さえある。

「カタツムリ」と「デンデンムシ」の定着は、今も歌い継がれる童謡「かたつむり」の歌に「♪でんでんむしむし かたつむり」と二つの名称が登場することが理由のひとつかもしれない。

古くから都が置かれてきた「中心地」である京都では、今も変わらず「デンデンムシ(デデムシ)」の支持率が高かった。関西や中部地方でも使用例が多く、まばらではあるが、「カタツムリ」と「デンデンムシ」が交互に波紋状に広がっているようにもみえなくもない。


「蝸牛のことなんて呼ぶ?」調査結果(Jタウンネット調べ)