中大杉並、盤石な試合運びで快勝!攻守の中心は正捕手で主将の澤野雄哉

 中大杉並、帝京八王子と両校の選手のスイング、体つきを見ると力量差は互角のように感じた。だが8対1と想像以上に差がついたのは守備力の差だった。

2回表、4番澤野 雄哉(3年)の右前安打と失策で二塁まで進塁。その後、二死一、三塁から帝京八王子の先発・新海 航輝(3年)のボークで1点を先制すると、さらに二死満塁から1番小西智也(3年)が走者一掃の三塁打、2番中之薗 憲(3年)か三塁打を放ち、一気に5対0とする。さらに3回表にも一死一、三塁から敵失を1点を追加する。

さらに9回表、二死二塁から5番吉田耕平(3年)の適時二塁打、さらに6番鈴木朋宏(3年)の二塁打で8対0とする。9回裏に1点を返されたが、しっかりと逃げ切り、3回戦進出を果たした。帝京八王子の新海はトルネード気味のフォームから、125キロ〜後半の速球、切れのある変化球を投げていたが、甘く入ったところを中大杉並打線は見逃さなかった。

 帝京八王子は要所で腰が高く浮いたり、しっかりとボールを待ち構える姿勢になっていなかった。対照的に中大杉並の選手はしっかりと腰を低くして、ボールを待ち受けることができていた。腰が低ければという話ではないのだが、腰が浮いて、身体が硬くなれば、ボールは対応できない。失策は起こるべくして起こっていたところがある。頭ではわかっているはず。今までの練習でも、指導者の方から何百回も言われてきたところだろう。しかし公式戦で出てしまう。これが夏の怖さともいえる。

 帝京八王子のミスをうまく突いた中大杉並だが、光っていたのが主将の澤野のハツラツとしたプレーである。174センチ78キロとがっしりとした体格をしていて、打撃は力強く、レフトにも、逆方向にも強い打球を打てる。肩もスローイングタイム2.00秒前後を計測したように、盗塁阻止した時のスローイングは実に素晴らしかった。中大杉並の先発・吉田 圭佑(2年)は球威自体、帝京八王子の先発・新海より劣るのだが、緩い変化球をコーナーへしっかりと投げた。澤野もこの緩い変化球を決め球として打ち取れるようなリードを展開。キャッチングを見ると捕球した瞬間、余計にミットを動かさずにしっかりと受け止めるキャッチングも良い。そして投手、ナインもうまく盛り上げており、まさに扇の要として活躍していた。

 中大杉並の安定した試合運びは澤野が攻守をしっかりと引き締めているのもあるのだろう。強豪校相手にもどんな試合展開を見せるのか、楽しみである。

(文=河嶋 宗一)

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