彗星探査機ロゼッタ最後のミッション・サイボーグバッタで爆弾探し・木星の巨大オーロラ(画像ピックアップ39)

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1週間のあいだに拾いきれなかったニュースを集めてお伝えします。今週は「彗星探査機ロゼッタ、最後のミッションでフィラエのもとへ」、「サイボーグバッタで爆弾探し」、「木星に地球よりも大きなオーロラ発生」などをお届けします。

バッタの脳をハッキングしてサイボーグ化、用途は爆弾探し



セントルイス・ワシントン大学の研究チームが、脳ハッキングによって遠隔操作可能にしたサイボーグバッタで爆発物を探し出すという実験をしています。バッタは意外と嗅覚に優れており、これを爆発物検知に応用したのがこの実験の特色です。

バッタはレーザー光線に導かれるように飛行し、ひとたび爆発物の匂いを嗅ぎ取ると、脳に仕込まれた電極がその感覚を電気信号として読み取り、バックパックに内蔵するアンテナを通じてアラートを発します。

バッタを使う理由はその脳の構造が単純だから。それともうひとつ、低コストかつ調達が容易だから。ここで、「なんだか聴いたことある話だな」と気づいた人は記憶力に自信を持ってください。これはサイボーグゴキブリによる災害救助の研究でも使われた言葉です。

[Source : Washington University in St. Louis]

木星の極に地球よりも大きなオーロラが発生



欧州宇宙機関(ESA)が、NASAハッブル宇宙望遠鏡で撮影した木星のオーロラ写真を公開しました。ESAが探査機ジュノーの木星接近に伴い観測していたときに発生したもので、大きさは地球を遥かに超えるサイズ。このオーロラは、太陽からのプラズマ粒子の流れ(太陽風)が磁場によって大気中へと加速流入することで大気粒子が一時的に励起され、それが元の状態に戻る際に発光します。

地球のオーロラはほとんどが夜間に発生するものですが、木星のそれは昼夜を問わず発行し続けるのが特徴なのだそう。ただ、上の写真は木星の可視光画像に紫外線観測したオーロラ画像を合成したもの。実際にはこのようにくっきりはっきりと見えることはありません。

なお、探査機ジュノーは現在時速11万kmで木星に接近中。7月4日には木星周回軌道に入り、2018年まで様々な観測を実施する予定です。

サンショウウオの骨格を再現したロボット



スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、サンショウウオのレントゲン画像をもとにその骨格を3Dプリントで再現した歩行ロボットPleurobotを開発しました。このロボットはサンショウウオの歩行のしかたを模倣し、本物とまったく同じように歩きます。

研究チームは、Pleurobotによって脊椎動物の脊椎刺激と運動の様子を理解し、将来的には神経機能を代替するデバイスの開発に繋げたいとしています。

[Souece : EPFL]

テスラのライバルとされるFaraday Future、フォーミュラEに参戦



テスラの新たなライバルと目されるEVスタートアップ企業、Faraday FutureがFIAによるEVフォーミュラカー選手権 フォーミュラE に参戦すると発表しました。といっても独自のチームを編成して殴りこみをかけるわけではなく、2014-2015年の第1シーズンから参戦しているDragon Racingとのタイアップという格好で、これによりチーム名もFaraday Furute Dragon Racing(長い)に変更となります。

Faraday Furute Dragon Racingは今年秋から始まる第3シーズンから参戦予定。

一方、日本ゆかりのチーム・アグリは今季限りでの撤退を発表しました。チーム・アグリは4月、チェアマンの鈴木亜久里氏が数か月以内にチームを離れると発表しており、今回、参戦ライセンスの売却先が決まったとしてチーム・アグリとしての参戦を終了することになったとのこと。

[Source : Faraday Future]

彗星探査機ロゼッタ、9月30日で全ミッションを完了。最後は相棒フィラエのもとへ



欧州宇宙機関(ESA)が、12年におよんだ彗星探査機ロゼッタのミッションを来たる9月30日で終了すると発表しました。ロゼッタは2004年3月に打ち上げられ、10年をかけてチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に接近しました。

2014年11月の着陸機フィラエの投下はロゼッタミッションのハイライトとも言える出来事でした。フィラエの着陸は予定通りとは行かず、ESAはその行方を見失ってしまったものの、フィラエはなんとか地表にとどまり、貴重なデータを地球へと送信してきました。

ただフィラエは着陸位置が悪く、程なくしてバッテリーが尽きて沈黙。その後は一時的にフィラエが復活したこともあったもののほぼロゼッタ単独での観測を継続していました。2015年10月には彗星表面に大量の酸素分子が発生していることを確認、さらに今年5月には彗星の成分から地球由来でないアミノ酸の一種グリシンを発見しました。グリシンは2004年にNASAの探査機スターダストがヴィルト第2彗星から採取した成分にも含まれていたものの、地球からの汚染が含まれていた可能性がありました。

さて、9月30日でその役目を終えることになったロゼッタの最後のミッションですが、なんと着陸機フィラエと同様、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への着地となることをESAが発表しています。とはいえロゼッタは着陸を考慮した設計ではなく、さらに木星付近まで太陽から遠ざかったことによる電力不足と通信遅延や帯域不足のため制御は難しく、実際には彗星へのクラッシュランディングとなる見込みです。

なお、ESAはロゼッタ(とフィラエ)の道程をグラフィカルに表示した特設サイトを公開しています。12年前、自分は何をしていたかを振り返りつつ、その道程を眺めてみてはいかがでしょうか。