野球部と一体になり、夏の大会に挑む! 習志野高校吹奏楽部に直撃!
昨年夏、千葉大会決勝の会場である千葉マリンスタジアム(QVCマリンフィールド)を真っ赤に染め、チケットも完売するほどの盛り上がりを見せた習志野vs専大松戸の一戦。習志野といえば、野球だけではなく吹奏楽部も歴史のある名門校である。今回は応援を大いに盛り上げてくれる、習志野吹奏楽部にお話を伺ってきた。
全国吹奏楽コンクール金賞常連校!習志野吹奏楽部の練習風景
習志野吹奏楽部は全国吹奏楽コンクールの金賞常連校で知られているが、コンクールだけではなく、年間を通して様々な演奏会を行っている。そんな強豪校が、夏は部員総出で野球応援に出向く。吹奏楽コンクールには人数制限があるため、コンクール出場メンバーは練習に徹し、野球応援に行くメンバーが分けられているところも多いのだが、習志野吹奏楽部は、野球応援だけではなく、サッカーやバレーボール部の応援にも全員で行っている。
今年の部員数は203名。この人数で、しかも日本一の演奏の中で習志野野球部は今年の夏もプレーすることになる。野球部にとっても、大きな戦力であることは間違いない。
「コンクールは、吹奏楽コンクール、マーチングコンテスト、学校合奏コンクールに出場する3つのチームに分かれてしまうため、全員揃って演奏する機会といったら、定期演奏会か運動部の応援くらいしかありません。私たちは、何より全員で演奏できるこの機会を大事にしています」と、吹奏楽部顧問・瀧山 智宏先生は言う。
「普段の学校行事においても、野球部には大変お世話になっています。野球部も私たちの活動を応援してくれているので、吹奏楽部も全員で、全力で野球部の応援をしに行くんです」。野球部だけではなく、他の運動部もお互い尊重し合っていて、それを一番大事にしているのだと言う。
応援曲の選曲についても、「習志野野球部には、吹奏楽部ファンがいることも珍しいことではありません。野球部の方から、吹奏楽部しか知らないような、マニアックな曲を応援曲にと、リクエストされることもあります」。この言葉からも、野球部も吹奏楽部のことを普段から応援しているということが伺える。
このような習志野吹奏楽部の素晴らしい演奏、取り組みに惹かれ、「習志野吹奏楽部の応援の中でプレーがしたい」、「習志野吹奏楽部に応援されたら頑張れる」などといった野球部の声を耳にすることがある。それくらい、習志野の野球応援は伝統があり、素晴らしい学校行事の一つなのだ。
とはいえ、吹奏楽部も年間何十回という演奏会やコンクールをこなし、夏はいよいよ本番に向けて忙しい時期となる。そんな中で、吹奏楽部はどういう気持ちで野球応援に行っているのかを聞いてみた。
[page_break:レッツゴー習志野!目指せ甲子園!]レッツゴー習志野!目指せ甲子園!今年もスタンドから盛り上げます!
203名の部員を引っ張っていく部長の菊池 司さんは、「暑くて大変なこともありますが、吹奏楽部も選手の一人として、野球部と一体になったつもりで演奏しています。試合中は応援することに一生懸命になってしまうので、とにかく必死です。試合展開によっては、感動したり、悔しさで泣いてしまうことだって何度もあります」と、スタンドからの思いを語った。
特に昨年の夏、千葉マリンスタジアム(QVCマリンフィールド)を真っ赤に染め、チケットが完売してしまうほど盛り上がった千葉大会決勝の習志野vs専大松戸の対戦は、吹奏楽部にとっても一番印象に残っている試合なのだそう。
3対0と習志野のリードで迎えた7回裏、それまで無得点だった専大松戸がその回一挙7点を挙げ、試合をひっくり返す。「7回裏が終わってからは、本当に私たちの音量が変わったんです。6回表と、8回表では音も気合もガラリと変わって、応援席が一体になるというのを、その時にすごく感じました」そう答えてくれたのは、副部長を務める北村 尭士さん。
野球部に吹奏楽部ファンがいるように、吹奏楽部にも野球好きが多い。習志野吹奏楽部は、野球好きでなければやっていけないと言っても過言ではないくらいに、野球応援に重きを置いている。
お気に入りの応援曲を吹奏楽部員に訪ねると、やはりダントツで習志野オリジナルの伝統応援曲「レッツゴー習志野」という回答が多かった。もう一人の副部長、井比 杏奈さんは、「私は『ベン・ハー』が一番好きです。試合前に校歌と『ベン・ハー』を演奏するんですけど、最初のバスドラムが試合の勢いをつけてくれるような感じがして、とても迫力があります」と、習志野野球応援の定番を教えてくれた。コンクール前の多忙なスケジュールの中ではあったが、インタビューしていく中で、夏の野球応援を楽しみにしている様子が部員全員から伝わった。
最後に、普段の野球部とスタンドから見た野球部の印象について伺うと、「学校生活ではユニークな人が多い野球部ですが、試合になるとみんな別人のように見えます。目つきやオーラがガラリと変わって、私たちも本気で応援しようという気になります」と、選手たちを尊重している様子であった。
野球も吹奏楽も、とても歴史のある習志野。お互いが尊重し合い、お互い応援しあえる絆があるからこそ、「習志野の野球応援はすごい」と語り継がれているのだろう。習志野応援団以外の観客も、そんな習志野の野球応援を楽しみにして来ている人も多い。春は県大会出場を逃してしまった習志野野球部であるが、夏はもう一度、「レッツゴー習志野」で球場全体を沸かせてくれることを楽しみにしたい。
(取材・文=鈴木 沙弥加)
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