By fortfan

ポテトチップスやドリンクには、有名なメーカー品のほかに、スーパーマーケットチェーンが展開するプライベートブランド商品があり、メーカー品よりも安く提供されています。また、医薬品についてもも特許が期限切れになった先発医薬品をコピーすることで作られた安価なジェネリック医薬品があります。いずれも有名な「ブランド」商品と無名の商品という共通点がありますが、ブランド商品と無名商品は一体何が違うのか?ということについて、イラスト付きで科学的に解説したムービーが登場しています。

Brand Name vs. Generic - YouTube

食品に関しては、さまざまなスーパーマーケットチェーンがプライベートブランド(PB)で無名商品を販売していますが、多くの人が無名商品は有名なメーカー商品より品質が劣ると考えています。一方で、プライベート商品を安価に提供できるのは企業が持つ過剰性能などを活かした結果であり、その中身はほとんど変わりません。



2007年にピーナッツバターの有名ブランドであるピーターパンの製品がサルモネラ菌に感染している恐れがあるとしてリコールされたことがありましたが、同時にウォルマートのPB商品のピーナッツバターも同様の恐れがあるとしてリコールされました。これは2つの異なるメーカーが作った商品が、ほぼ同じ工程で製造されていたため。



同じ食品のブランド商品と無名商品の成分表示を比較してみると、どれくらい内容が酷似しているかがわかるはず。また、ある研究によると無名商品は平均30%も低価格であることがわかっています。また、食塩や砂糖についてはFDAで規制されており、食塩(塩化ナトリウム)を構成しているのは「Na(ナトリウム)」+「Cl(塩素)」の2つの元素のみ。食塩をブランド商品と無名商品で成分を変えることは不可能であり、銘柄の異なる2つの商品は全く同じものということになります。



なぜ多くの人がブランド商品と無名商品で品質が異なると感じてしまうのでしょうか。これは装飾的なブランド商品のパッケージの影響も考えられます。ある研究で、大学生に無料のコーヒーを配布し、味を評価してもらうという実験が行われました。ひとつはシルバートレイにのせたコーヒーで、装飾的な容器に入れたクリームと砂糖が添えられていました。もうひとつは発泡スチロール製のカップにでたらめなブランド名を書いたものですが、中身は両方とも同じコーヒー。大学生の評価はほとんどが前者に偏り、食品におけるプラシーボ効果の影響が確認されました。



医療品に関しても「ジェネリック医薬品」がありますが、その内容や効果はほとんど同じです。例えば解熱鎮痛消炎剤のイブプロフェンは、アメリカで「Advil」と「Nurofen」という異なる2つの銘柄が販売されています。一方で、どちらも1錠あたり200mgのイブプロフェンを配合しており、用量・安全性・薬品の強度・使用目的は全て同じです。



錠剤やカプセル剤の差異としてはデンプンやゼラチンなどの添加剤が挙げられますが、有効性はほぼ変わりません。いくつかの特定薬剤を使った治療では、製薬会社が指定されることがありますが、低価格なジェネリック医薬品が、先発医薬品と同じ効果を証明する研究が日夜進められています。



それでも長年親しんできた薬をジェネリック医薬品に変えるのは抵抗があるかもしれません。ある研究では、偽薬を鎮痛剤として飲んでもらい、小さな電気ショックを与えてどれほど効果があるかを調べる実験が行われました。1錠10セント(約10円)の鎮痛剤として通知されたグループは、61%が電気ショックに対する鎮痛効果を訴えましたが、1錠2.5ドル(約266円)と知らされた別のグループは、85.4%が鎮痛効果があると感じました。価格の差によって医薬品にも大きなプラシーボ効果の影響が生じることを示しています。



ブランド商品と無名商品は、実際に品質や有効性にほとんど違いはありません。「あのメーカーの商品だからおいしい!」というのは、実はプラシーボ効果による思い違いかもしれないということです。



なお、このムービーを制作したAsapSCIENCEは、続編としてブランド商品と無名商品のポテトチップスやコーラを飲み比べてもらい、違いがわかるのかどうか検証したムービーも公開しています。銘柄を伏せた状態で比較すると、コカ・コーラでさえも正解する人と間違う人が出ており、パッケージがなければ2つの商品に明確な違いはない、ということを証明しています。

Taste Test: Generic Vs. Brand Name - YouTube