連続バント攻撃で攻略・鹿児島城西

本塁打を放った寺井 勇樹(鹿児島城西)

 鹿児島城西は1点差に詰め寄られた4回裏、四球を挟んで4連続バント攻撃で大きく主導権を手繰り寄せた。

 試合途中から雨が振り出し、3回表の鶴丸の攻撃中に26分間の中断があった。試合は再開されたがグラウンドはぬかるみ、相手のバントに対してこちらの捕手が捕球にもたつき、内野安打にした。このシーンが4回にバント攻撃を仕掛ける伏線になった。

 2点先取したが、鶴丸の左腕・有木 和也(3年)は低めに良いボールが決まっており、奥 虎太郎監督は簡単には攻略できそうにないと読んだ。ならば「このゆるいグラウンドと足の速い選手を生かす」ためのバント攻撃は必然の選択だった。

 先頭の6番・寺井 勇樹(3年)が三塁線へのセーフティーバントを決めて出塁。7番・福田 翼(3年)、8番・平 将太(3年)が送りバントを決め、二死ながら三塁に走者を進める。9番・貞包 康貴(2年)は四球を選び、1番・橋口 永久(3年)のところで奥監督は意表を突くセーフティーバントのサインを出す。

 「練習していたので決める自信はあった」と橋口。三塁のライン上でピタリと止まる「練習でも決めたことがない」(奥監督)絶妙のタイムリー内野安打になり、3点目を挙げて守備がもたつく間に、二三塁へ進塁。2番・花城 音弥(3年)がセンター前に2点タイムリーを放ち、理想的なかたちで追加点を挙げることができた。

 バントに関してはこのチームが始動したころから持ち味にしていたが「昨秋の決勝戦でうまく決められなくて負けてから、より一層高い意識で練習するようになった」と橋口は言う。普段のシート打撃練習でも「送りバントを決め、その後の打者が必ず返すよう意識づける練習を徹底してやってきた」(奥監督)。それに加えて橋口ら足の速い選手は個人練習でもマシーンを相手のバントに時間を割いて技を磨いてきた。

 3、4、5回ときっちり送りバントを決めて、相手の守備のミスも絡んで着実に得点を重ねた。7回には先頭の寺井のソロホームランも飛び出し、計9得点でコールド勝ちした。「7点打線がしっかりできたのが良かった」と橋口。4回戦は4得点しかできなかったが、2回戦の種子島中央戦の7得点、3回戦の鹿児島情報戦の8得点に続いて、チームの目標にしている「7点以上とれた」ことに手ごたえを感じていた。

(文=政 純一郎)

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