不動産投資 稼げる人と稼げない人に決定的な違い

写真拡大

 老後のために、そしていざという時の副収入のために、資産運用は不可欠な手段。
 なかでも代表格であり王道といえるのが「不動産投資」です。

 ただ、不動産投資は物件購入時のローン返済や経費、税金など「出ていくお金」も多額。賢くやらないと「あれこれ手をかけたのに手元に全然お金が残らない」という残念なケースになることもあります。
 こんな事態を避けるために、『図解 プライベートカンパニーを活用して、不動産投資をしよう!』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者、成田仁さんが提唱しているのが、法人を設立し、個人ではなく会社として不動産投資を行う方法。この方法の良さはどんな所にあるのか、成田さんがお話してくれました。
 
――『図解 プライベートカンパニーを活用して、不動産投資をしよう!』についてお話をうかがえればと思います。まず基本的なところで、不動産投資を個人ではなく「プライベートカンパニー」として法人化して行うというのは、今のところあまり一般的な方法ではないのでしょうか。

成田:現状、法人を作ってまでやろうという人は少ないです。地主の方などは法人でやっている人もいますが、それ以外の人ということですとあまりいないのではないかと思います。

――この方法で不動産投資をしている人が少ない理由としてはどんなことが挙げられますか。

成田:法人を作ると個人よりひと手間いりますし、税理士への依頼事項もでますので、費用が少しかかったりします。また、私の会社の顧客を例にするなら、不動産を買いたいと言っていらっしゃる方はほとんどサラリーマンの方です。普段会社勤めをされている方ですと、法人を作るというアイデア自体が出てきにくいということもあるのかもしれません。

ただ、前著の『プライベートカンパニーを活用して、不動産投資をしよう!』や今回の本を通して、法人で不動産投資をするメリットに気づいて、「自分も法人で不動産を買いたい」といって相談に来られる方は増えていますね。

――税金の観点でいえば、不動産投資は個人で行うよりも法人化した方がメリットが大きいことは明らかですが、こうしたことはあまり知られていません。

成田:会社員として働きながら副業として不動産投資を考えている方は多いと思いますが、そういった方は、会社員としての収入が高いほど法人化のメリットは大きくなります。

個人の場合は所得から税金を払い、残ったお金を使うことができる、というスタイルですが、法人化すれば所得からまず経費にあたるお金を使い、残ったお金から税金を払っていくというのが基本的なスタイルです。両者では手元に残るお金は当然変わってきます。

たとえば、会社員で課税所得が1000万円ある人が、副業の不動産投資でも一年で1000万稼いだとすると合計2000万円ですから、所得税率で40%になってしまいます。どんなに自分の不動産に手をかけて、満室になるように努力しても、個人でやっている限りはそれだけ持っていかれてしまいます。

法人であれば、自分の配偶者や家族を社員や役員にして給与を支払うことで所得を分散させて、一人あたりの実行税率を低くすることができますし、給与所得控除を受けられますから課税所得を抑えることもできます。もちろん、給与を支払うわけですからそれなりの勤務実態がないといけませんが、「役員」であれば意思決定が仕事ですから、勤務実態として自由が利きますよね。

――先ほど、法人化には手間がかかるというお話が出ましたが、本の中で「プライベートカンパニー」を作るにあたっては、「プロ」と組んでやるのがいいと書かれていましたね。

成田:すごく勉強すれば一人でできないことはないのですが、法人を作る時というのはとにかく提出書類が多いですし、設立後の税金周りのことやコンプライアンスのことも考えると税理士など専門家と組んでおく方がいいのではないかということですね。特に会社員しかやったことがない方だと、どんな出費を経費に入れていいのかといったことで結構迷ってしまうものなんです。法人を作る最初の段階で専門家のアドバイスを受けておいた方がのちのちスムーズにいくということは言えると思います。

――不動産をめぐる税制の「今後」についても詳しく解説されていました。予想される税制の変化について、お話できる範囲で教えていただきたいです。

成田:不動産に限ったことでなく、世の中全般に言えることとして、個人にかかる税金は上がっていく傾向にあって、特に所得の多い人の税負担は今後増えていくはずです。

一方で、国内の企業を海外に出したくないという国の思惑から法人税は下がる傾向にあります。不動産投資を法人で行うというのはこの流れに沿ったものです。
(後編につづく)