「5年で年収4倍」を可能にする出世コース
風邪をこじらせて、数日会社を休んでしまったが、周囲のフォローもあって、滞りなく自分の仕事は進捗した。
そんなとき、同僚に感謝しつつも「自分はしょせん替えのきく人材にすぎないのでは……」と不安が頭をよぎったことはないでしょうか。
結果的に仕事が忙しくなることの是非は別として、職場での能力的な存在感を高めて「替えのきかない人」になることは自分にためになることです。
『No.2という働き方』(日本経済新聞出版社刊)の著者である細島誠彦さんは、替えのきかない人材になるための一つの方法として、「組織の中でナンバー2を目指す」ことを推奨しています。
細島さんがいうナンバー2とはどのような存在なのかを中心にお話を聞きました。
――まずは、本書のキーワードである「ナンバー2」がどのようなものを指すのかをお聞かせいただけますか。
細島: 通常、「ナンバー2」と聞いたら、専務取締役のようなポジションを思い浮かべる人が多いかと思います。
ですが、本書でいうナンバー2とは、そのようなものではありません。多忙な社長の代わりに、経営判断から末端の業務指示まで行なうことができる、いわば「その人がいないと会社がまわらない」というような存在を指しています。
――細島さん自身もナンバー2の経験をお持ちなのですよね。
細島: はい、新卒で入ったベンチャー企業で、入社五年目にCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)という立場へ引き上げてもらい、事業面からも会計面からも会社に強い影響力をおよぼすようになっていました。
入社時は「月収18万円、ボーナスなし」、つまり年収216万円からのスタートでしたが、CFOになったころには年収800万円を超えていました。
ナンバー2は、実質的に経営をコントロールする立場にあり、社内外から一目置かれる存在です。替えのきかない人材であるがゆえに、もらえる給料は格段に高くなるというわけですね。
決して「給料をたくさんもらうためだけに、ナンバー2を目指しましょう」と言いたいのではありません。ナンバー2を目指すなかで人材価値を高めることができれば、転職も独立も可能になる。つまり、選択肢の幅が広がるのだということをお伝えしたいのです。
――先ほど冒頭で、ナンバー2とは「その人なしでは会社がまわらない」存在であるというお話がありましたが、もう少し具体的にいうと、どういうことなのでしょうか。
細島:社長が現場出身の人で、会計のことがまったく分からないというケースで考えてみましょう。
社長がどんなに素晴らしい事業アイディアを持っていたとしても、それだけだと金融機関はお金を貸してくれません。金勘定について納得の行く説明がなければ、お金を貸すほうとしては不安で仕方ありませんからね。
そこで、お金を借りる側に「うちの会社にはこんな仕事があり、これだけのお客がいて、このようにお金が入ってくる仕組みになっているが初期投資にこれだけのお金が要る」といったような話を論理的に説明できるメンバーが必要になる。
――その説明をするのが、ナンバー2の役割だということですか。
細島:その通りです。言い換えると、このようなメンバーがいなければ、会社はたちまち回らなくなってしまう。
これまで経営コンサルタントとして数多くの組織を見てきましたが、ナンバー2がしっかりしている会社ほど組織として強いという印象があります。
――逆にいえば、「ダメなナンバー2がいる会社は組織として弱い」とも言えるのかなと思ったのですが、いかがですか。
細島:たとえば、「イエスマン」をナンバー2に置くような会社は弱い組織であることが多いですね。それもそのはずで、イエスマンをナンバー2に置くということは、社長の「人を見る目」に問題がある証拠。ナンバー2にどのような人材を据えているかを見れば、その組織の質はある程度見えてくると言えるでしょう。
誰しも反対意見は聞きたくないものですが、経営をしていく以上、答えは一つではありません。経営者は、賛成、反対含めてできるだけ多様な意見を聞いた上で意思決定することが求められます。それなのにイエスマンを身近なところに置こうとするということは、「反論を避けたい」と意思表明しているようなもの。経営者失格と言わざるを得ません。
――つまり、ナンバー2はときとして「トップにノーを言う」ことが求められるわけですね。
細島:はい。ノーを言うということは、トップと戦うことにもなるので、相当な覚悟が必要です。でも、特別な才能は一切必要ありません。経営者の判断に対して、「正しい」と思ったときは従い、「正しくない」と思ったときは、待ったをかける。
ある種、当たり前のことを当たり前に全うすることさえできれば、誰でもナンバー2になれると考えています。
(新刊JP編集部)
そんなとき、同僚に感謝しつつも「自分はしょせん替えのきく人材にすぎないのでは……」と不安が頭をよぎったことはないでしょうか。
結果的に仕事が忙しくなることの是非は別として、職場での能力的な存在感を高めて「替えのきかない人」になることは自分にためになることです。
『No.2という働き方』(日本経済新聞出版社刊)の著者である細島誠彦さんは、替えのきかない人材になるための一つの方法として、「組織の中でナンバー2を目指す」ことを推奨しています。
細島さんがいうナンバー2とはどのような存在なのかを中心にお話を聞きました。
細島: 通常、「ナンバー2」と聞いたら、専務取締役のようなポジションを思い浮かべる人が多いかと思います。
ですが、本書でいうナンバー2とは、そのようなものではありません。多忙な社長の代わりに、経営判断から末端の業務指示まで行なうことができる、いわば「その人がいないと会社がまわらない」というような存在を指しています。
――細島さん自身もナンバー2の経験をお持ちなのですよね。
細島: はい、新卒で入ったベンチャー企業で、入社五年目にCFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)という立場へ引き上げてもらい、事業面からも会計面からも会社に強い影響力をおよぼすようになっていました。
入社時は「月収18万円、ボーナスなし」、つまり年収216万円からのスタートでしたが、CFOになったころには年収800万円を超えていました。
ナンバー2は、実質的に経営をコントロールする立場にあり、社内外から一目置かれる存在です。替えのきかない人材であるがゆえに、もらえる給料は格段に高くなるというわけですね。
決して「給料をたくさんもらうためだけに、ナンバー2を目指しましょう」と言いたいのではありません。ナンバー2を目指すなかで人材価値を高めることができれば、転職も独立も可能になる。つまり、選択肢の幅が広がるのだということをお伝えしたいのです。
――先ほど冒頭で、ナンバー2とは「その人なしでは会社がまわらない」存在であるというお話がありましたが、もう少し具体的にいうと、どういうことなのでしょうか。
細島:社長が現場出身の人で、会計のことがまったく分からないというケースで考えてみましょう。
社長がどんなに素晴らしい事業アイディアを持っていたとしても、それだけだと金融機関はお金を貸してくれません。金勘定について納得の行く説明がなければ、お金を貸すほうとしては不安で仕方ありませんからね。
そこで、お金を借りる側に「うちの会社にはこんな仕事があり、これだけのお客がいて、このようにお金が入ってくる仕組みになっているが初期投資にこれだけのお金が要る」といったような話を論理的に説明できるメンバーが必要になる。
――その説明をするのが、ナンバー2の役割だということですか。
細島:その通りです。言い換えると、このようなメンバーがいなければ、会社はたちまち回らなくなってしまう。
これまで経営コンサルタントとして数多くの組織を見てきましたが、ナンバー2がしっかりしている会社ほど組織として強いという印象があります。
――逆にいえば、「ダメなナンバー2がいる会社は組織として弱い」とも言えるのかなと思ったのですが、いかがですか。
細島:たとえば、「イエスマン」をナンバー2に置くような会社は弱い組織であることが多いですね。それもそのはずで、イエスマンをナンバー2に置くということは、社長の「人を見る目」に問題がある証拠。ナンバー2にどのような人材を据えているかを見れば、その組織の質はある程度見えてくると言えるでしょう。
誰しも反対意見は聞きたくないものですが、経営をしていく以上、答えは一つではありません。経営者は、賛成、反対含めてできるだけ多様な意見を聞いた上で意思決定することが求められます。それなのにイエスマンを身近なところに置こうとするということは、「反論を避けたい」と意思表明しているようなもの。経営者失格と言わざるを得ません。
――つまり、ナンバー2はときとして「トップにノーを言う」ことが求められるわけですね。
細島:はい。ノーを言うということは、トップと戦うことにもなるので、相当な覚悟が必要です。でも、特別な才能は一切必要ありません。経営者の判断に対して、「正しい」と思ったときは従い、「正しくない」と思ったときは、待ったをかける。
ある種、当たり前のことを当たり前に全うすることさえできれば、誰でもナンバー2になれると考えています。
(新刊JP編集部)