僕らはゲームの登場人物である【矢島雅弘の「本が好きっ!」】

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『矢島雅弘の「本が好きっ!」』、第5回のゲストは『スターウォーズは悟りの教科書』(ヒカルランド刊)を出版された松本青郎(まつもと・しげお)さんでした。

スターウォーズを題材にしながらも、自己啓発的な示唆に富んだ本書。フィクションの世界から現実世界の教えを学びとる松本さんの文章にいたく感動し、実際にお会いするのを楽しみにしていたインタビューでした。

そして、スタジオに現れた松本さんは、なんとジェダイの騎士オビ・ワン・ケノービの衣装! これには僕もスタッフもビックリ!! 「その衣装はどこで着替えたんですか?」と聞くと、なんと新幹線の中で着替えて、そのままスタジオまで移動してきたのだそうです。



流石に恥ずかしくないのかな、と思い聞いてみると「本にも書きましたが、自分は自分、他人にどう見られているかは関係なく、今できることをやるべきだと考えれば、恥ずかしくはないですよ」と、笑顔で答えて下さいました。

なぜ、こんなエピソードを紹介したかというと、松本さんはちょっと予想とは違う人だったんです。熱心な『スター・ウォーズ』のファンという感じではなく、どこか達観しているような、あるいは諦観しているような雰囲気を持たれている方でした。まさに書名の通り、悟りを開いているかのような雰囲気すら漂っていましたね。

その印象をそのままお伝えすると、松本さんは「(悟りについては)僕なんかまだまだですよ」と謙遜しつつ、以下のようなことを教えてくださいました。

よく日本では「頑張る」ことが美徳とされますが、この語源は「一定の場所から動かない」「我を張る」という意味です。反対に「諦める」とは本来「明らかに認める」という意味です。「諦める」という言葉は多くの日本人がネガティブな印象を受けるかと思いますが、本書を読むと、人生の悩みのほとんどは、「自らをありのままに認める」の域に達すると解決できることが分かります。

ジェダイの騎士がフォースの導きを受け入れるように、今すべきこと、集中するべきことは何なのか、他人や外的要因に惑わされずに自分自身を見つめることが大事なんですね。

そしてこれは収録が終わり、写真を撮影している時に教えていただいたいお話ですが、松本さんはアメリカで散歩をしている最中に以下のようなことをはっきりと感じたといいます。

実は、今、僕らが生きている世界はゲームの中のようなもので、僕らはゲームの登場人物であり、僕達を操作している、より高次の「観察する意識としての私」が確かにある。この体は素晴らしく高性能なラジコンカーのようなものでそれに乗り込んでいるような錯覚をしているだけなんです。この人生はかりそめであり、楽しむゲームなんです。



しかも、このゲームのすべてのイベントは、お釈迦様の解いた「因があり縁して果を得る法則」のように完全に進んで行く。僕達の決定や運命といったものは、筋書きがある映画のように、すでに決まっている。ならば、あれこれ悩む必要なんかなくて、この現実は体感して味わうゲームなんだから、映画館の特等席にデーンと腰を据えるように、楽しい事も苦しい事も感じきって味わえばいいんです。

僕は松本さんの言葉を聞いていて、これまで会ってきた自己啓発系の著者の方々と違い、頑張って成長するのではなく、赦し認めることで元々の最高の自分を取り戻すという、今までにない視点を持っておられると、強く感じました。そして、自己啓発書って突き詰めていくと、あるひとつの大きな存在に辿りつくんです。それは言葉ではなかなか表現しづらいのですが、松本さんは「この三次元は楽しむためのゲーム」に例えていたのが印象に残りました。

今、悩みを抱えている方、息苦しいと感じている方、スターウォーズを見たことのない方こそ、本書や松本さんの言葉でおだやかな心を手に入れてみてはいかがでしょうか?

(文/ブックナビゲーター・矢島雅弘)

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【矢島雅弘の「本が好きっ!」】
ブックナビゲーター・矢島雅弘による書評ラジオ。毎回、話題の本の著者が登場して、本について掘り下げるインタビューを届ける。
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