広島・新井のカープ愛に感動! いよいよ2016年プロ野球が開幕じゃ
今日3月25日、プロ野球の2016年シーズンが開幕する。待ちに待った春の到来だ。しかし、この半年間さまざまなことがあった。巨人で4選手の野球賭博が発覚。各球団も調査に乗り出す事態となった。広島カープからはエース・前田健太がMLBのロサンゼルス・ドジャースに移籍したが、基本年俸はなんと約3億7000万円。出来高が厚めに取られているとはいえ、その「安さ」には衝撃が走った。
ともあれ、開幕だ。ついに開幕だ。やっと開幕だ。この記事の筆者は大のカープ党である。浮かれている私は「安仁屋算」をする。「安仁屋算」とはカープOBの安仁屋宗八さんがシーズンに入る前に投手陣の勝ち星数の予想をし、それを合算すると、だいたい100勝くらいになるというネットスラング。100勝はかなり非現実的な数字だが、それでも期待はしている。
■背番号25「ARAI」が復活じゃ!
今年のカープの注目を挙げるとするならば、なんといっても日米通算200勝がかかった黒田博樹と、2000本安打が間近に迫った新井貴浩だ。特に新井は今年、背番号「25」が復活。2007年の涙のFA移籍以降、ファンにとって「ARAI 25」は触れてはいけないパンドラの箱のようなものだった。
しかし、昨年阪神を自由契約となった新井が8年ぶりにカープに復帰。13年ぶりとなったホームでの開幕戦、代打として背番号「28」がグラウンドに登場すると、スタジアムの雰囲気は最高潮を迎える。そのときの心境を、新井は自身の著書『赤い心』(KADOKAWA刊)で次のように記している。
====(以下『赤い心』p3より引用)
そしてその時がやってきた。ベンチから「新井、行くぞ」と声がかかった。
「来た!」
ベンチ裏から階段を上がり、グラウンドに出た。
その瞬間、球場全体から「ウォー」という、ものすごい歓声が起こった。ブーイングではない、正真正銘の歓声だ。「アライー」と、名前を呼ぶ声も聞こえる。
「ウソだろう?」と思いながらネクストに立つと、全身に鳥肌が立ってくるのがわかった。足が震え、思わず泣きそうになってしまったほどだった。
====
新井は2015年のカープをけん引した選手だ。4番に座り、ホームランは7本にとどまったが、ベテランらしい勝負強い打撃を見せてくれた。去年の8月13日の対ヤクルト戦、マツダスタジアムにいた私は3回裏に新井の満塁本塁打を見た。その瞬間、轟音のような歓声が上がり、体が震えた。まぎれもなく、2015年のハイライトの一つである。
■新井が特に気をかけている選手は「堂林翔太」
『赤い心』は2016年シーズンに向かう決意や、仲間たちについて素直な気持ちが語られている、カープ愛に溢れた一冊である。
昨年引退し、今シーズンから1軍打撃コーチを務める東出輝裕は、新井と同じ年のドラフトで入団した「同期」だ。新井がカープ復帰に悩んでいたときの東出とのやりとりが書かれているが、2人の関係をそのまま表しているようで微笑ましく感じる。
また、意外にも「あとがき」を除いた部分で本の最後を締めくくる節に登場するのが、堂林翔太だ。「個人的に特に気になる」と前置いた上で、「若い時の自分とすごくだぶってしまう」のだとか。確かに新井も若手の頃、期待され続けたが、思うように結果が出ないシーズンが続いた。だからこそ、思うところがあるのだろう。
「僕の復帰によって彼が発奮してレギュラーに定着できたら、それだけで自分がカープに戻ってきた意味があると思う」(『赤い心』p182より)
新井と堂林の師弟関係を強く感じる一文である。
■日米通算200勝に近づく黒田
2016年のもう一つの注目が、黒田の日米通算200勝だ。あと7勝まで迫ったこの大記録。通過点としてほしいが、やはりファンとしては気になってしまう。それでも黒田ほどの大投手。平常心でシーズンに入るはずだ。
黒田が心境を語った本としては、カープ復帰について語られたパートが増補された『決めて断つ』(ベストセラーズ刊)が昨年3月に出版され、明日3月26日にはオーディオブック版が配信開始する。また、日めくりカレンダー『【日めくり】黒田博樹 一言入魂』(ワニブックス刊)から4月27日に出版される予定だ。黒田の言葉を受け取る環境は整っている。
そして、何よりファンが望むのが1991年以来の25年ぶりの優勝である。前監督・野村謙二郎氏のもとでレギュラーを獲得した若手選手たちが円熟期に入り、若手投手たちも育ってきている。今シーズン、カープがどのような戦い方をするのか、見守っていきたい。
(カナイモトキ/新刊JP編集部)
■背番号25「ARAI」が復活じゃ!
今年のカープの注目を挙げるとするならば、なんといっても日米通算200勝がかかった黒田博樹と、2000本安打が間近に迫った新井貴浩だ。特に新井は今年、背番号「25」が復活。2007年の涙のFA移籍以降、ファンにとって「ARAI 25」は触れてはいけないパンドラの箱のようなものだった。
しかし、昨年阪神を自由契約となった新井が8年ぶりにカープに復帰。13年ぶりとなったホームでの開幕戦、代打として背番号「28」がグラウンドに登場すると、スタジアムの雰囲気は最高潮を迎える。そのときの心境を、新井は自身の著書『赤い心』(KADOKAWA刊)で次のように記している。
====(以下『赤い心』p3より引用)
そしてその時がやってきた。ベンチから「新井、行くぞ」と声がかかった。
「来た!」
ベンチ裏から階段を上がり、グラウンドに出た。
その瞬間、球場全体から「ウォー」という、ものすごい歓声が起こった。ブーイングではない、正真正銘の歓声だ。「アライー」と、名前を呼ぶ声も聞こえる。
「ウソだろう?」と思いながらネクストに立つと、全身に鳥肌が立ってくるのがわかった。足が震え、思わず泣きそうになってしまったほどだった。
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新井は2015年のカープをけん引した選手だ。4番に座り、ホームランは7本にとどまったが、ベテランらしい勝負強い打撃を見せてくれた。去年の8月13日の対ヤクルト戦、マツダスタジアムにいた私は3回裏に新井の満塁本塁打を見た。その瞬間、轟音のような歓声が上がり、体が震えた。まぎれもなく、2015年のハイライトの一つである。
■新井が特に気をかけている選手は「堂林翔太」
『赤い心』は2016年シーズンに向かう決意や、仲間たちについて素直な気持ちが語られている、カープ愛に溢れた一冊である。
昨年引退し、今シーズンから1軍打撃コーチを務める東出輝裕は、新井と同じ年のドラフトで入団した「同期」だ。新井がカープ復帰に悩んでいたときの東出とのやりとりが書かれているが、2人の関係をそのまま表しているようで微笑ましく感じる。
また、意外にも「あとがき」を除いた部分で本の最後を締めくくる節に登場するのが、堂林翔太だ。「個人的に特に気になる」と前置いた上で、「若い時の自分とすごくだぶってしまう」のだとか。確かに新井も若手の頃、期待され続けたが、思うように結果が出ないシーズンが続いた。だからこそ、思うところがあるのだろう。
「僕の復帰によって彼が発奮してレギュラーに定着できたら、それだけで自分がカープに戻ってきた意味があると思う」(『赤い心』p182より)
新井と堂林の師弟関係を強く感じる一文である。
■日米通算200勝に近づく黒田
2016年のもう一つの注目が、黒田の日米通算200勝だ。あと7勝まで迫ったこの大記録。通過点としてほしいが、やはりファンとしては気になってしまう。それでも黒田ほどの大投手。平常心でシーズンに入るはずだ。
黒田が心境を語った本としては、カープ復帰について語られたパートが増補された『決めて断つ』(ベストセラーズ刊)が昨年3月に出版され、明日3月26日にはオーディオブック版が配信開始する。また、日めくりカレンダー『【日めくり】黒田博樹 一言入魂』(ワニブックス刊)から4月27日に出版される予定だ。黒田の言葉を受け取る環境は整っている。
そして、何よりファンが望むのが1991年以来の25年ぶりの優勝である。前監督・野村謙二郎氏のもとでレギュラーを獲得した若手選手たちが円熟期に入り、若手投手たちも育ってきている。今シーズン、カープがどのような戦い方をするのか、見守っていきたい。
(カナイモトキ/新刊JP編集部)