東京23区北部に展開する、中華料理チェーン「福しん」をご存じだろうか。東京・池袋を中心に39店舗(2014年6月現在)あり、定食や一品料理はもちろん、「チョイ飲み」にも適しているお店だ。



福しんの魅力は、なんと言っても「やさしさ」。落ち着いた味付けだけでなく、セットメニューに至るまで、細部にわたって優しさがにじみ出ている。たとえば――。

プラス100円で「半ラーメン」追加

公式サイトを見てみると、まずメニューから優しさが伝わってくる。1杯390円の看板商品「手もみラーメン」をはじめ、490円の「特製タンメン」、450円の「焼豚チャーハン」など、低価格商品がズラリと並んでいる。

低価格なだけなら、日高屋や幸楽苑といったライバルは多いが、福しんの優しさは彼らの比ではない。メニューをよく読むと、「手もみラーメン」なら503.03キロカロリー、「焼豚チャーハン」なら811.78キロカロリーと、なんとカロリーが小数点以下2位まで表示されているのだ(なぜか公式サイトでは、カンマで区切られている)。



これだけも十分特徴があるのだが、福しんには最大のメリットは「おともラーメン」。いわゆる半ラーメンのことで、定食や丼に100円追加することで、スープがラーメンに化ける。わずか100円の差であれば、「おとも」を付けなきゃ男がすたる。


A定食(一口ライス)+おとも

取材するにあたり、あらためて定番の「A定食」(レバニラ炒め)を頼んだ。もちろん「おとも」は付けるが、ダイエット中なので「一口ライス」にしてもらう。しめて620円。これだけ安いのに、半年先まで使える「サービスチケット」までくれた。味付たまごや冷奴、杏仁豆腐(ハーフ)がタダで食べられる、優しさのかたまりのような1枚だ。



つまみにするなら「ウンパイロウ」

ひとたび口に入れると、じんわりしみる。癒し系の味にはファンも多く、60代の先輩編集者も「自分には日高屋よりも、福しんの方が合ってる」と話していた。優しさはメニューにとどまらず、雨天時には傘を貸してくれるサービスもあったりする。

1杯ひっかけるなら、つまみは160円の「ウンパイロウ(雲白肉)」。耳慣れないメニューだが、要は湯がいた豚肉にタレをかけた料理だ。これにビール中瓶(470円)か、生ビール(390円)を付ける。冷奴やザーサイ、もやしナムル(各100円)を頼んでもよい。


昼すぎでも客は絶えない

惜しむらくは、きわめてローカルな地元密着チェーンだという事。ほとんど東武沿線か西武沿線に展開されている。東京都外にあるのは、埼玉県蕨市の「ワラビ店」のみ。なぜカタカナ表記なのかは不明だが、これも難しい漢字を読みやすくしようという、福しんのやさしさなのだと信じている。

ちなみに福しんには、謎のツイッターアカウントがある。公式にしてはぶっ飛んでいる、しかし非公式にしては「福しん愛」にあふれている――とはいえ彼の投稿を読んでいると、公式か非公式かなんて問うのは、野暮なんじゃないかと思わされる。それだけ魅力に満ちた福しんは、きょうも都民の胃袋を満たしている。


チャーミングすぎるロゴマーク