大久保の3年連続得点王は驚異的な記録。ベストイレブンとは別に「特別賞」を授けたいぐらい。

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「2015Jリーグアウォーズ」が12月21日、都内にて行なわれた。今回はセルジオ越後氏に、「Jリーグ最優秀選手賞」「Jリーグベストイレブン」「ベストヤングプレーヤー賞」を受賞した個々の選手について訊いた。
 
◆2015 「Jリーグベストイレブン」
 
▼FW
大久保嘉人(川崎)
 
 チームの成績とは関係なく“最優秀選手”を選んでもいいのなら、彼が受賞しても良かったね。それぐらい3年連続得点王は驚異的で、これから何十年も破られないかもしれない。ベストイレブンとは別に「特別賞」を授けたいぐらい。宇佐美の失速に助けられた感もあるけれど、コンスタントに決めたからこそ成し得た記録。日本代表のハリルホジッチ監督は、年齢を理由に大久保を選ばないけれど、指揮官の起用法次第で周りにも良い影響をもたらすはず。この3年間、誰よりも結果を残しているFWはもっと評価していいね。

宇佐美貴史(G大阪)
 
 第1ステージの働きは出色だった。序盤からコンスタントにゴールを積み重ねて、その存在感を際立っていたね。ただ、代表で毎試合起用されてから、徐々に調子が落ちたような印象は否めない。シーズン途中のポジション変更も影響していたのだろうね(編集部・注/夏場を境に、主戦場がFWから左MFに)。それにしても、第1ステージと第2ステージで、得点ペースの落差が激しかった。19ゴールは立派な成績だし、アシストで貢献していたとはいえ、1年間を通じて活躍していたかと言えば、やっぱり疑問符が付くよ。
 
ドウグラス(広島)
 
 広島が優勝した一番の原動力は、彼の働きだった。とりわけ終盤戦のガンバ戦をはじめ、大事なゲームでゴールを決めたのが大きかったと思う。第1ステージはどこか大人しかったけど、第2ステージは15ゴールと活躍したし、チームと個人の成績を踏まえると“今季の最優秀選手”でも良かったぐらい。彼がここまで結果を残していなかったら、広島の優勝はなかったと言ってもおかしくない。良い意味でのサプライズだったよ。
 
 
 
▼MF
青山敏弘(広島)
 
 中長距離のキック精度は国内屈指で、代表の長谷部誠や山口蛍より遥かに上じゃないかな。今季の広島は「良い守備から良い攻撃へ」というスタイルを貫いていたけれど、その戦術において、彼のキックは大きな武器になっていた。とりわけ後半途中に浅野拓磨が投入されると、その特長が一層際立ったね。アメリカンフットボールで言えば、まさにクォーターバック。チームの中心として、上手くパスを散らしていた。
 
遠藤保仁(G大阪)
 
 例年と同じような存在感だった。キックの精度は依然として高く、セットプレーからチャンスを何度も演出していた。鹿島の小笠原満男や横浜の中村俊輔、川崎の中村憲剛と同じように、チームに不可欠の存在と言えるね。よく走っているとはいえ、年齢による陰りが垣間見えたのも事実。浦和の柏木陽介や川崎の大島僚太らのパフォーマンスも目を引いたけど、まだ遠藤を脅かすほどではなかったとも言えるね。
 
金崎夢生(鹿島)
 
 海外から戻ってすぐに活躍しただけに、「カムバック賞」を与えたいぐらいだね。名古屋時代に比べて大きな怪我もなくコンスタントにプレーし、攻撃面で良いアクセントになっていた。彼のプレースタイルが鹿島の戦術に合致した印象だね。怪我で離脱したダヴィの穴埋めを、彼ひとりでこなしていた。代表にも選出される充実ぶりだったし、今季を象徴する選手のひとりと言える。
 
 
▼DF
槙野智章(浦和)
 
 ひと言でまとめると、良い時と悪い時の波が激しい。良い時は「さすが代表選手」という水準だけれど、逆に悪い時は「これが代表選手」というような不用意なミスを犯す。攻撃時の積極的な上がりや絡みは評価できるけど、守備の安定感が課題だろうね。代表での活躍は光るとはいえ、まだ森重と定位置を争っている状態。代表でCBの人材は枯渇気味なだけに、槙野には一層の奮起を期待したい。